リハビリテーション通則 (平成24年診療報酬)

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通則:リハビリテーション料

1 リハビリテーションの費用は、特に規定する場合を除き、第1節の各区分の所定点数により算定する。

2 リハビリテーションに当たって薬剤を使用した場合は、前号により算定した点数及び第2節の所定点数を合算した点数により算定する。

3 第1節に掲げられていないリハビリテーションであって特殊なリハビリテーションの費用は、第1節に掲げられているリハビリテーションのうちで最も近似するリハビリテーションの各区分の所定点数により算定する。

4 心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料又は呼吸器リハビリテーション料については、患者の疾患等を勘案し、最も適当 な区分1つに限り算定できる。この場合、患者の疾患、状態等を総合的に勘案し、治療上有効 であると医学的に判断される場合であって、患者1人につき1日6単位(別に厚生労働大臣が 定める患者については1日9単位)に限り算定できるものとる。

5 区分番号J117に掲げる鋼線等による直達牽引(2日目以降。観血的に行った場合の手技料を含む。)、区分番号J118に掲げる介達牽引、区分番号J118-2に掲げる矯正固定 、区分番号J118-3に掲げる変形機械矯正術、区分番号J119に掲げる消炎鎮痛等処置 、区分番号J119-2に掲げる腰部又は胸部固定帯固定、区分番号J119-3に掲げる低出力レーザー照射又は区分番号J119-4に掲げる肛門処置を併せて行った場合は、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーショ ン料、呼吸器リハビリテーション料、がん患者リハビリテーション料又は集団コミュニケー ョン療法料の所定点数に含まれるものとする。

6 区分番号B001の17に掲げる慢性疼痛疾患管理料を算定する患者に対して行った心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション 料又は呼吸器リハビリテーション料を算定すべきリハビリテーションに係る費用は算定しない。

7 リハビリテーションは、適切な計画の下に行われるものであり、その効果を定期的に評価し 、それに基づき計画を見直しつつ実施されるものである。

 

 


診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項(第7部 リハビリテーション)


1  リハビリテーション医療は、基本的動作能力の回復等を目的とする理学療法や、応用的動作能力、社会的適応能力の回復等を目的とした作業療法、言語聴覚能力の回復等を目的とした言 語聴覚療法等の治療法より構成され、いずれも実用的な日常生活における諸活動の実現を目的 として行われるものである。


2  第1節リハビリテーション料に掲げられていないリハビリテーションのうち、簡単なリハビ リテーションのリハビリテーション料は、算定できないものであるが、個別に行う特殊なリハ ビリテーションのリハビリテーション料は、その都度当局に内議し、最も近似するリハビリテ ーションとして準用が通知された算定方法により算定する。

3  各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては、全ての患者の機能訓練の内容の要 点及び実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記録を診療録等へ記載すること。

4  心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリ テーション料及び呼吸器リハビリテーション料(以下この部において「疾患別リハビリテーシ ョン料」という。)に掲げるリハビリテーション(以下この部において「疾患別リハビリテー ション」という。)の実施に当たっては、医師は定期的な機能検査等をもとに、その効果判定 を行い、別紙様式21から別紙様式21の5までを参考にしたリハビリテーション実施計画を作成 する必要がある。また、リハビリテーションの開始時及びその後(疾患別リハビリテーション 料の各規定の注4(運動器リハビリテーション料においては注5)にそれぞれ規定する場合を 含む。)3か月に1回以上(特段の定めのある場合を除く。)患者に対して当該リハビリテー ション実施計画の内容を説明し、診療録にその要点を記載すること。また、疾患別リハビリテーションを実施している患者であって、急性期又は回復期における リハビリテーション料を算定する日数として、疾患別リハビリテーション料の各規定の注1本 文に規定する日数(以下「標準的算定日数」という。)を超えて継続して疾患別リハビリテー ションを行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の注4(運動器リハビリテーション 料においては注5)にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、治療を継続することにより状 態の改善が期待できると医学的に判断される場合(特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一 号に掲げる患者であって、別表第九の九第一号に掲げる場合)は、継続することとなった日を 診療録に記載することと併せ、継続することとなった日及びその後1か月に1回以上リハビリテーション実施計画書を作成し、患者又は家族に説明の上交付するとともにその写しを診療録 に添付すること。なお、当該リハビリテーション実施計画書は、1これまでのリハビリテーシ ョンの実施状況(期間及び内容)、2前月の状態との比較をした当月の患者の状態、3将来的 な状態の到達目標を示した今後のリハビリテーション計画と改善に要する見込み期間、4機能 的自立度評価法(Functional Independence Measure、以下この部において「FIM」とい う。)、基本的日常生活活動度(Barthel Index、以下この部において「BI」という。)、関 節の可動域、歩行速度及び運動耐用能などの指標を用いた具体的な改善の状態等を示した継続 の理由、などを記載したものであること。

4の2  疾患別リハビリテーションを実施している患者であって、標準的算定日数を超えて継続 して疾患別リハビリテーションを行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の注4(運動器リハビリテーション料においては注5)にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、患者 の疾患、状態等を総合的に勘案し、治療上有効であると医学的に判断される場合(特掲診療料 の施設基準等別表第九の八第二号に掲げる患者であって、別表第九の九第二号に掲げる場合) は、継続することとなった日を診療録に記載することと併せ、継続することとなった日及びそ の後3か月に1回以上、リハビリテーション実施計画書を作成し、患者又は家族に説明の上交 付するとともにその写しを診療録に添付すること。なお、当該リハビリテーション実施計画書 は、1これまでのリハビリテーションの実施状況(期間及び内容)、2前月の状態とを比較し た当月の患者の状態、3今後のリハビリテーション計画等について記載したものであること。 なお、標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーションを提供する場合にあっては、 介護保険によるリハビリテーションの適用について適切に評価し、適用があると判断された場 合にあっては、患者に説明の上、患者の希望に基づき、介護保険によるリハビリテーションを 受けるために必要な手続き等について指導すること。


4の3  同一の疾患等に係る疾患別リハビリテーションについては、一つの保険医療機関が責任 をもって実施するべきであるが、言語聴覚療法に係る疾患別リハビリテーションについては、 言語聴覚療法を実施できる保険医療機関が少ないことを考慮し、当分の間、別の保険医療機関 において実施した場合であっても算定することができるものとする。また、障害児(者)リハ ビリテーション料については、その特殊性を勘案し、疾患別リハビリテーション料又はがん患 者リハビリテーション料を算定している保険医療機関とは別の保険医療機関で算定することが できるものとする。

5  届出施設である保険医療機関内において、治療、訓練の専門施設外で訓練を実施した場合に おいても、疾患別リハビリテーションとみなすことができる。

6  疾患別リハビリテーション料の点数は、患者に対して20分以上個別療法として訓練を行った 場合(以下この部において、「1単位」という。)にのみ算定するものであり、訓練時間が1 単位に満たない場合は、基本診療料に含まれる。

7  疾患別リハビリテーション料は、患者1人につき1日合計6単位(別に厚生労働大臣が定め る患者については1日合計9単位)に限り算定できる。

当該別に厚生労働大臣が定める患者のうち「入院中の患者であって、その入院する病棟等に おいて早期歩行、ADLの自立等を目的として心大血管疾患リハビリテーション料(I)、脳 血管疾患等リハビリテーション料(I)、運動器リハビリテーション料(I)又は呼吸器リハ ビリテーション料(I)を算定するもの」とは、訓練室以外の病棟等(屋外を含む。)におい て、早期歩行自立及び実用的な日常生活における諸活動の自立を目的として、実用歩行訓練・ 日常生活活動訓練が行われた患者であること。ただし、平行棒内歩行、基本的動作訓練として の歩行訓練、座位保持訓練等のみを行っている患者については含まれない。

8  疾患別リハビリテーション料は、患者の疾患等を総合的に勘案して最も適切な区分に該当す る疾患別リハビリテーション料を算定する。ただし、当該患者が病態の異なる複数の疾患を持 つ場合には、必要に応じ、それぞれを対象とする疾患別リハビリテーション料を算定できる。 例えば、疾患別リハビリテーション料のいずれかを算定中に、新たな疾患が発症し、新たに他 の疾患別リハビリテーションを要する状態となった場合には、新たな疾患の発症日等をもって 他の疾患別リハビリテーションの起算日として、それぞれの疾患別リハビリテーション料を算 定することができる。この場合においても、1日の算定単位数は前項の規定による。


9  疾患別リハビリテーションを実施する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、疾患名及び当該 疾患の治療開始日又は発症日、手術日又は急性増悪の日(以下この部において「発症日等」という。)を記載すること。また、標準的算定日数を超えて継続して疾患別リハビリテーション を行う患者(疾患別リハビリテーション料の各規定の注4(運動器リハビリテーション料にお いては注5)にそれぞれ規定する場合を除く。)のうち、治療を継続することにより状態の改 善が期待できると医学的に判断される場合(特掲診療料の施設基準等別表第九の八第一号に掲 げる患者であって、別表第九の九第一号に掲げる場合)は、1これまでのリハビリテーション の実施状況(期間及び内容)、2前月の状態との比較をした当月の患者の状態、3将来的な状 態の到達目標を示した今後のリハビリテーション計画と改善に要する見込み期間、4FIM、 BI、関節の可動域、歩行速度及び運動耐用能などの指標を用いた具体的な改善の状態等を示 した継続の理由を摘要欄に記載すること。ただし、リハビリテーション実施計画書を作成した 月にあっては、改善に要する見込み期間とリハビリテーション継続の理由を摘要欄に記載した 上で、当該計画書の写しを添付することでも差し支えない。なお、継続の理由については、具 体的には次の例を参考にして記載すること。

本患者は、2008年9月21日に脳出血を発症し、同日開頭血腫除去術を施行した。右片麻 痺を認めたが、術後に敗血症を合併したため、積極的なリハビリテーションが実施できる ようになったのは術後40日目からであった。2009年2月中旬まで1日5単位週4日程度の リハビリテーションを実施し、BIは45点から65点に改善を認めた。3月末に標準的算定 日数を超えるが、BIの改善を引き続き認めており、リハビリテーションの開始が合併症 のために遅れたことを考えると、1か月程度のリハビリテーション継続により、更なる改 善が見込めると判断される。

(参考資料:別添1(医科点数表) [4,181KB]