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2024.04.24

田中まさし議員「日本のリハ専門職教育を高度化していく必要がある」【国会質疑】



4月24日に開催された参議院予算委員会にて、参議院議員の田中まさし議員(理学療法士)が登壇。総理や閣僚議員に対して質疑を行った。

田中まさし議員は、能登半島地震における災害リハビリテーション支援チームの活動状況の資料を示し、「避難所の環境整備、転倒転落の防止、生活不活発状態の改善等の多岐にわたる役割を発揮していた」と説明。松村祥史議員(防災担当大臣)に対して「防災基本計画へのリハビリテーション専門職の明記すべきだ」と提言した。

これを受けて、松村防災担当大臣は「高齢化が進む中で、災害対応におけるリハビリテーション関係の皆様方の専門職の必要性、重要性は非常に高まっている」と述べ、「指摘されたリハビリテーション関係の専門職を防災関係に位置づけることについては、所管する厚労省としっかりと協議をしていきたい」と答弁した。

続いて、田中まさし議員は世界の理学療法士養成課程の最低学位に関する資料を示し「教育課程を調べられた126カ国のうち、約86.5%は学士以上。一方、3年制課程はわずか約13.5%。この13.5%に我が国の教育が入っている」と現状を指摘。「日本のリハビリテーション専門職教育をグローバルスタンダードに高度化していく必要がある」と、厚生労働省の武見敬三大臣に対して提起した。

文部科学大臣の盛山正仁議員に対しては、「障害を持つ児童、生徒、個々への学級担任による教育指導をより充実するという観点から、特別支援教育におけるリハビリテーション専門職の配置し支援を推進すべき」と質疑を行った。



(以下、全文文字起こし)

[田中昌史 議員]

自由民主党の田中昌史です。今日は質問の機会をいただきまして関係の皆様方に心から感謝を申し上げます。


政治資金規正法の改正と再発防止

[田中昌史 議員]
まず私からも、政治と金の問題について最初から質問させていただきます。

この度の自民党派閥の政治資金パーティーに関わる政治資金収支報告書の記載によって、国民の皆様方に多大な政治不信を抱かせていることに深くお詫びを申し上げたいと思っております。この問題が生じて以来、全国の20代30代の若い方の声を私はずっと聞いてまいりました。法で決められたことをちゃんと守ること。これが第一点であります。

二点目としては、年齢や立場の違いはあっても、法律や社会通念上適切なあるべきではないことを是正できる組織に変えていただきたいということ。それから政治資金規正法の適切な改正を行い、再発防止を徹底していただきたいということを望む声が非常に多かったと思っております。

総理は今回、今国会における政治資金規正法の改正を行うこととされていますが、同時に重要なことは常に自己規律のもとで自ら法遵守するという姿勢にあると思います。総理の再発防止に向けたご見解と意気込みを伺いたいと思います。


[岸田文雄 内閣総理大臣]
今回の一連の事案を巡っては、自民党の聞き取り調査等において、この還付金等の収支報告書の記載のあり方に対し、この疑問や違和感を有した議員やその秘書等がいたにもかかわらず、それが是正に繋がらず、結果として不記載の慣行が長年続けられてきた、こういったことが明らかになっています。そして、その原因、背景としては、コンプライアンス意識の欠如や、長いものには巻かれるといった風土、こういったものがあったと感じています。

党としても、このような事実、これは真摯に反省し、コンプライアンスの遵守の徹底、委員が御指摘の通りであります。この徹底は重要であると考えます。そして、風通しのよい政治に向けた改革を進めていく。こういった決意で常に党則や党規、規律、規約あるいは党のガバナンスコードの改定を行って、会計責任者のみならず政治家の責任の明確化、これを図った他、党所属の国会議員、国会議員関係政治団体の事務所職員等に対して定期的な政治資金に関する研修を行うこと等を明記したところであります。

国会議員には高い法令遵守の意識が求められる、ご指摘の通りであります。政治資金規正法の改正により制度面から再発防止を図る、これは当然のことであり、この国会においてこの法改正を実現しなければならないと思っておりますが、運用面においても党の改革を進めていかなければならない。これをあわせて行うことによって、再発防止という結果に繋げていかなければならない、このように考えております。


[田中昌史 議員]
最近、党本部でも所属議員の意見をしっかりと聞きながら改革しようという強い意志を感じているところでありますので、総理、総裁を先頭にしっかりと進めていただければと思っております。


復興基金の創設

[田中昌史 議員]
続きまして、復興に関しての質問であります。私も奥能登の方をしばらくずっと見てまいりました。非常に甚大な被害が各地に広がっており、がれきの撤去、道路の復旧と今まだ進んでいない状況の中では、現地の方からですね、今後長期化していくこの復旧復興に不安を覚えていらっしゃる方が数多くいらっしゃったと思っております。

またですね、支援が今後も少なくなっていくのではないかということを危惧されている方も非常に多くいらっしゃるということでありました。地域の暮らす方々、被災者の方々の気持ち、復興にかける思いをしっかりと前向きにしていく。こういった景色を変えていく必要が私はあるのではないのかと思っております。

地域の住民、事業者、行政、こういった方々が一体となって、我が町の将来を見据えて創造的かつ弾力的な復興へと歩んでいかれることを政府としてしっかりと支援すべきではないかと思います。その上では、復興基金の創設もしっかりと必要なのではないかと考えますが、総理のご見解を伺います。


[岸田文雄 内閣総理大臣]
ご指摘の復興基金ですが、復興基金というものを国庫補助を補い、国の制度の隙間の事業について対応する、例外的な措置としてこれまでも実施されてきたものであります。よってまずは国による支援策、これをしっかり充実させること、これが第一であります。

スピード感を持って国による支援策を充実させ実施していく。これをまず強力に進めていくことが大事であると考えておりますが、その上で、ご指摘の復興基金については、昨日の能登半島地震復旧復興支援本部においてお示ししたように、地方議会の日程等を踏まえまして、6月を目処に設置できるよう取り組みを進めていきたいと考えています。


[田中昌史 議員]
はい、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。


防災基本計画の見直し:リハビリテーション専門職の明記

[田中昌史 議員]
続きまして防災基本計画について伺いたいと思います。今年の3月7日の委員会で防災救助法についての質問をさせていただきました。今日は防災基本計画について伺いたいと思います。パネル1をご覧ください。

日本災害リハビリテーション支援協会による調査であります。能登半島地震における支援状況を資料に示させていただきました。4月14日時点で延べ974チーム、人員にして5784名の方が人員支援にあたりまして、避難所の環境整備、転倒転落の防止、生活不活発状態の改善等の多岐にわたる役割を発揮していただいております。

一方ですね、この防災基本計画には、この日本災害リハビリテーション支援協会やリハビリテーション専門職の職名、団体は明記されておりません。また、国が行う研修、人材育成支援の対象にもなってないという状況であります。

地域の高齢化とともに、これらの専門職の支援は益々重要になってくると考えております。リハビリテーション専門職がその役割を強く自覚し、総合的かつ有益な支援を行うためにもですね、これら専門職の職名や団体名、国等が研修等の支援を実施することを防災基本計画に明記すべきだと私は考えております。松村大臣のご見解を伺いたいと思います。


[松村祥史 防災担当大臣]
お答え申し上げます。その前に今回の能登半島地震におきましても、理学療法士の皆様方、いま田中委員からお話があったようにチームを組んでいただいて大変なご支援をいただいております。改めて感謝を申し上げたいと思います。

また、田中委員におかれましても、発生直後からいろいろとアドバイスをいただいておりますことにも感謝を申し上げたいと思います。その上で、お尋ねの防災基本計画でございますが、これは災害対策の不断の見直しを行う観点から、毎年修正の検討を行っております。

どんな検討を行うかというと、各省庁の政策の進捗状況、こういったものを点検いただいて、ご意見をいただき、議論を進めているところでございます。高齢化が進む中で、災害対応におけるリハビリテーション関係の皆様方の専門職の必要性、重要性、非常に高まっていると思っております。

私といたしましても、今回の災害対応を振り返る中で防災力を高める方策について総合的に検討してまいりたいと考えておりますし、ご指摘いただきましたリハビリテーション関係の専門職の皆様方を防災関係に位置づけることにつきましては、所管する厚労省としっかりと協議をしてまいります。


[田中昌史 議員]
ありがとうございます。通告はしてないんですが、松村大臣からですね厚生労働省としっかり連携していくというお話でございました。武見大臣、ぜひしっかりと連携の上、おすすめご検討いただければと思いますが、いかがでございましょうか。


[武見敬三 厚生労働大臣]
防災大臣としっかりと連携をして、厚生労働省としてもしっかりと検討していきたいと思います。


[田中昌史 議員]
ありがとうございます。よろしくお願いいたします。


アジア・アフリカ等におけるユニバーサルヘルスカバレッジへの支援

[田中昌史 議員]
続きまして、ユニバーサルヘルスカバレッジに関連して何本か質問させていただきます。

SDGsのゴール3に位置づけられております、このユニバーサルヘルスカバレッジ。これは全ての人が適切な予防や治療、リハビリテーション等の保健医療サービスをお支払い可能な費用で受けられるということを指します。

2016年のG7伊勢志摩サミット、G7神戸保健大臣会合で、我が国が首脳会談級の主要テーマとされ、国際社会、国際機関と連携して、アジア・アフリカ等での確立を支援すること、さらに国際的議論において我が国が主導的な役割を果たしていくことを表明されています。昨年の第76回WHO世界保健総会でもこのことが挙げられておりまして、日本の役割は非常に重要であると考えております。

健康というものは幸福な生活、そして経済活動、国力の基盤であると私は思っております。国内の健康増進、アジア・アフリカ等におけるユニバーサルヘルスカバレッジへの支援について、総理のご見解を伺います。


[岸田文雄 内閣総理大臣]
ご指摘のユニバーサルヘルスカバレッジですが、まず日本においては既に国民皆保険を実現しており、さらに全ての国民が健やかで、心豊かに生活できる持続可能な社会の実現を目指して、国民健康づくり運動「健康日本21」、これを推進しています。引き続き、国民の健康増進に積極的に取り組んでまいりたいと思いますが、その上で日本は長年、世界全体のUHCの達成に向けて国際的な議論を主導してきました。

委員ご指摘のG7伊勢志摩サミットに加えて、私が議長を務めた昨年5月のG7広島サミットでも、各国のUHCの達成に向けて貢献していく重要性について認識が共有され、また昨年9月の国連総会でのUHCハイレベル会合において、私自身、国際社会の取り組みをさらに主導していく決意を表明いたしました。

これを受けて先般、日本政府は、アジア・アフリカ等の途上国のUHC達成に向けた取り組みを支援するために、WHOさらには世界銀行と連携し、UHCナレッジハブを2025年に日本に設立すること、これを表明したところであります。

UHCの達成には、財務保健当局が連携して対応することが重要であり、国際的に先進的な取り組みとなるよう、WHOそして世界銀行と連携していきたいと考えています。今後とも、世界でのUHCに日本として主体的に取り組んでいきたいと考えています。


[田中昌史 議員]
ありがとうございます。ナレッジハブ、私も大変期待しておりますので、ぜひ力強いリーダーシップでお願いできればと考えております。


日本の先進的リハビリテーションシステムをアジア・アフリカ等への支援として推進

[田中昌史 議員]
続きましてユニバーサルヘルスカバレッジに関連して質問させていただきます。昨年の76回WHO世界保健総会では、この保健医療システムにおけるリハビリテーションの強化に関する歴史的な決議が承認されたということであります。

この決議では、保健システムにおけるリハビリテーションの拡大と統合、プライマリーケアにおけるリハビリテーションの重要性、それから災害への備え、対応の重要性を強調しております。リハビリテーションはユニバーサルヘルスカバレッジの必須項目であります。

WHOによれば、世界にはリハビリテーションが有効な健康状態にある方が24億人いると推定され、現在そのニーズはほとんど満たされていないということが指摘されています。

我が国におけるリハビリテーション専門職によるプライマリーケアの対応には若干の課題はまだありますけれども、日本の先進的なリハビリテーションシステムをアジア・アフリカ等への支援として推進していくことについて、武見大臣のご見解を伺いたいと思います。


[武見敬三 厚生労働大臣]
ユニバーサルヘルスカバレッジに含まれます、このリハビリテーションにつきましてはWHOの総会において決議書が承認されたことは周知しております。そして、UHC達成のため、各国の保健システムの強化が極めて重要であると認識をしております。

我が国では医療保険や介護保険において、リハビリの提供に対する報酬上の評価も行っております。また、チーム医療やタスクシフト・シェアの推進とともに、地域包括ケアシステムの深化を図る中で、リハビリ専門職は急性期から慢性期の各分野に至るまで幅広く活躍をしております。

我が国としてはユニバーサルヘルスカバレッジを積極的に推進してきた立場からも、このリハビリ専門職が活躍する包括的な社会システムが、我が国の経験について、アジア・アフリカ等にも共有していくことは極めて重要と考えているところであります。


[田中昌史 議員]
ありがとうございます。武見大臣はUHCの第一人者でいらっしゃいますので、是非その高い知見を基にリードしていただきたいと考えております。


日本におけるリハビリテーション専門職の教育課程について

[田中昌史 議員]
続きまして、このUHCと関連したリハビリテーション専門職の教育に関しての質問であります。

我が国、日本の理学療法士、あるいは作業療法士の数は世界のトップランクであります。例えば、我が国の理学療法士数はアジア、西太平洋地域の国の平均と比べ約10倍という非常に多い状況であります。しかしながら、日本の専門職の教育はグローバルスタンダードに追いついておりません。

理学療法士、作業療法士などリハビリテーション専門職のグローバルスタンダードは最低でも学士教育であります。アメリカでは専門職博士課程となっておりますが、我が国ではまだまだ3年制専門課程となっております。

このパネル2をご覧ください。世界理学療法連盟、ここに128カ国が加盟しておりますが、教育課程を調べられた126カ国について示しました。約86.5%は学士以上であります。3年制課程はわずか約13.5%。この13.5%に我が国の教育が入っているという現状であります。

この専門職も各協会では既に東アジア13カ国と協定を締結して、日本の教育とか、あるいは技術を支援したり、あるいは国内に招聘して研修をする機会などを既に行っているところでありますが、アジア・アフリカは学歴社会でありまして、日本の質の高いリハビリテーションをアジア・アフリカに提供しようとしたときに、この教育課程がバリアになっているという状況にあります。

アジアのいくつかの国では既に5年制教育に移行しているところもあり、我が国の教育よりも上回っているという状況で、国際通用性が担保できない状況が今あるという状況であります。

日本のリハビリテーション専門職教育、これをグローバルスタンダードに高度化していく必要があると私は考えておりますが、武見大臣のご見解を伺いたいと思います。


[武見敬三 厚生労働大臣]
厚生労働省におきましては職能団体、学校協議会、臨床従事者等を構成員とする検討会を開催をし、求められる知識技能の変化や臨床や教育の現場の状況等を踏まえながら、この養成カリキュラムなどの見直しを行っているところでございます。

委員ご指摘の養成期間を現行より延長することについては、平成29年の検討会において国際的な水準等も踏まえた検討が必要であるとの意見があった一方、令和2年度から新カリキュラムによる影響を見極めるべきであると、他の医療職の養成機関とのバランスにも留意すべきだといった意見もございました。

各国での医療事情が異なる中で、我が国においてどのような教育内容が適切であるのか、また、専門職を目指す方々や養成施設への影響を踏まえまして、慎重に検討する必要があると考えております。まずは令和2年度からの新カリキュラムについて、単位数を増加させ、内容を充実させた影響をしっかりと見極めていきたいと思います。


[田中昌史 議員]
ありがとうございます。内容は充実していくのですが、非常に多い教育量を同じ3年制で教育するということは、一つ一つの内容が薄くなるという可能性があるわけです。国民に質の高い医療保険のサービスを提供するという観点では、これを合わせてしっかりとご検討いただければと考えております。


自立支援機器の積極的な国際展開の推進

[田中昌史 議員]
続きまして、リハビリテーション機器や福祉用具の海外展開について伺います。このユニバーサルヘルスカバレッジ、アジア・アフリカ健康構想などでに賛同する業界団体あるいは企業などが国際的な展開会合など様々な取り組みを行ってらっしゃると思います。WHOはリハビリテーション2030のイニシアティブにおいて、障害を持つ人々に対するリハビリテーションのアクセシビリティの改善を目指しています。

世界トップの高齢社会の我が国には、視覚障害あるいは聴覚障害の方への支援機器、杖、義足、補装具、様々な支援機器があります。これらの生活自立を支援する機器の積極的な国際展開を推進すべきではないかと私は考えますが、我が国としてどのような取り組みをしていくべきかを含め、武見大臣のご見解を伺いたいと思います。


[武見敬三 厚生労働大臣]
我が国の保健医療福祉分野の豊富な知識、それから経験技術を諸外国と共有をし、官民で連携して国際展開を図っていくことは極めて重要であると思います。こうした考え方のもとで、厚生労働省では経済産業省とも連携をしながら、日本企業が製品やサービスをグローバルに展開できるよう、様々な取り組みを進めております。

具体的には、人材養成の観点から、日本の専門家の現地派遣や諸外国からの研修生を日本の医療機関等で受け入れることを通じて、リハビリ機器や技術の現地での普及を促進をしております。また、経済産業省においても、産業振興の観点からヘルスケア製品・サービスの新興国等での展開に向けた実証の調査などを行っているものと承知しております。

民間の企業戦略に基づく海外進出と政府による政策を組み合わせて、官民が連携してこの国際貢献を果たしていくということが重要であり、各国の状況も踏まえつつ、グローバルな課題に対して的確に対応していきたいと思います。


[田中昌史 議員]
ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。


日本のインクルーシブ教育の現状

[田中昌史 議員]
次にですね、インクルーシブ教育に関連して伺いたいと思います。

インクルーシブ教育、我が国でも障害の有無に関わらず全ての子供たちにとって良い効果をもたらすという考えのもとで、共生社会の形成に向けてこのインクルーシブ教育システム構築のために、特別支援教育を推進すべく各種の政策を進めておられます。一方、日本のインクルーシブ教育の体制不備に関しては国連より是正勧告が出ていると思います。

障害者権利条約の批准国である我が国の提出したレポートに対して、国連障害者権利委員会より見解書が発出されていると思います。この中のエデュケーション、教育に関する基本項目の中で教育体制のあり方について、医学的な診断に基づく障害のある子供たちにおいて、通常の環境での教育が受けられないようにし、隔離された特別支援教育が継続していることなど6項目の指摘がされています。

政府は、全ての人が生きがいを感じられる多様性のある社会、そして包摂社会の実現に取り組まれています。この国連からの指摘を踏まえ、我が国のインクルーシブ教育を現状と考え、どう取り組まれていくおつもりか岸田総理のご見解を伺いたいと思います。


[岸田文雄 内閣総理大臣]
インクルーシブ教育については、政府において障害のある子供を包容する教育を推進すべきであるというご指摘の障害者権利委員会の勧告の趣旨、これを十分受け止めて、インクルーシブ教育システムの推進に向けた取り組み、これを進めているところですが、具体的には障害のある子供の自立と社会参加を見据え、障害のある子供とない子供が可能な限り共に学べる環境の整備を進め、さらに今年度からは特別支援学校と地域の小中学校等を一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデル、これを創設して取り組みを進めていると承知しています。

今後とも学校において子供一人一人の障害の実態や、教育的ニーズを的確に捉え応える指導や支援が提供できるよう取り組んでまいりたいと思います。このように、障害者権利委員会の勧告の趣旨、これを政府としましても、しっかりと受け止め、具体的な政策を進めていきたいと考えます。


[田中昌史 議員]
ありがとうございます。やっぱり一人一人の成長と可能性を最大限に発揮できるような特別支援教育、政府先頭でしっかり頑張っていただければと心から願っているところでありますので、どうかよろしくお願いをできればと思っております。


特別支援教育におけるリハビリテーション専門職の配置

[田中昌史 議員]
続きまして、この特別支援教育におけるリハビリテーション専門職に関して伺いたいと思います。特別支援学校は在籍する生徒に教育を施すだけではなくて、地域の幼稚園、小中高等学校の要請に応じて在籍する生徒の教育に関する助言、援助、いわゆるセンター的機能を担うとされています。

文部科学省では、特別支援学校がセンター的機能を有効に発揮するためには高い専門性を有する教員が適切に要請配置されることが必要とされています。このことについては本当に現場からも数多くのご意見を私も頂戴しているところであります。

パネル3をご覧ください。国立特別支援教育総合研究所が行いました全国の小中学校における肢体不自由特別支援学級の学級担任を対象にした研究報告書によりますと、今後活用したい特別支援学校のセンター的機能にかかる上位3項目を赤字で書いております。姿勢や体の動き、運動体育に関すること72.3%、自立活動の指導の実際に関すること70.1%などと並んでいるところであります。

障害を持つ児童、生徒、個々への学級担任による教育指導をより充実するという観点から、姿勢や動作、技術活動や環境調整などを専門とする理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等を特別支援学校に配置してセンター的機能を発揮すること、また、特別支援学級は通級での指導においても、これら専門職による支援を推進すべきと考えますが、森山大臣のご見解を伺いたいと思います。


[盛山正仁 文部科学大臣]
各自治体や学校におきましては、学校における自立活動の指導の充実に繋げていくため、障害のある児童生徒の姿勢や歩行、日常生活や作業上の動作等について理学療法士や作業療法士などの専門家から教員が助言等を受けながら、具体の指導例を行っている例もございます。

文部科学省においてはこのような取り組みを促進するため、各自治体等において外部専門家を活用した指導体制を整備できるよう、理学療法士、作業療法士などの外部専門家の配置に係る経費を令和6年度予算に拡充して計上するなど、その支援の充実を図っているところです。

また、特別支援学校の専門的な知見や経験などを生かし、小中学校等の教員や保護者に対する指導助言等を行うセンター的機能の強化に向けては、都道府県教育委員会等へ通知を発出し、その取り組みを促すとともに、特別支援学校のセンター的機能の強化のための教員定数の加配措置などを講じているところです。

これらの取り組みを通じて、引き続き小中学校等に在籍している障害のある児童生徒への支援の充実に取り組んでまいります。


[田中昌史 議員]
ありがとうございます。保護者の方からも非常に多数のご要望、ご提案をいただいているところであります。一人一人の子供が健やかに、しっかりと成長していく。そんな特別支援教育の充実に向けて大臣を先頭にしっかり頑張っていただければと思います。

以上で質問を終わります。ありがとうございました。

引用:参議院インターネット中継 2024年4月24日  参議院予算委員会(参議院HP)

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