理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が集うリハビリ情報サイト

PT-OT-ST.NET

トピックス

2022.09.16

母子手帳「母体の身体トラブルチェック」必要性を訴え



理学療法士の河合麻美氏(NPO法人ReMind代表理事)は、「母子手帳に『母親の身体トラブルに関するチェック項目』を追加する必要がある」と、自民党の人生100年時代戦略本部会議で訴えた。

現在の母子手帳には、心の変化や母乳の出方などのチェック項目がある一方、「母体の身体トラブル」に関するチェック項目がない。そのため、母親が身体のトラブルに悩んでいたとしても、その発見に繋がりにくいことが課題とされている。

今回、河合氏らは妊娠中出産後の母体身体トラブルの実態と諸課題への影響に関する実態調査「#1万人のママの声を聞かせて」を実施。調査で得られた6,505名(出産回数 11,570回)の回答から、数身体トラブルの実状と育児、家事、職場復帰、2人目妊娠、精神的状況への影響について報告した。

e41c6e531686e0640d470d4efd63f1c3.png

 

妊娠出産時、母親の身体には大きな負担

母親の身体には胎児の成長や出産に伴い大きな変化が生じる。その変化の影響として、腰痛や股・膝関節痛、骨盤痛、尿もれなどの身体トラブルが生じる場合がある。

しかし、母親は身体の悩みを抱えても、どうしても赤ちゃんのことが優先になり、自分の身体のケアは後回しになってしまう場面も多い。また、妊娠や出産時による身体トラブルを抱えていたとしても、悩みを打ち明けることが出来ない母親も少なくないと河合氏は指摘する。

fc1d38af433f177c9b1d78af5b6d20f1.png


91%に腰痛や尿もれなどの身体的トラブル

今回の調査で、妊娠中または産後に女性のうち約9割の方は腰痛や尿もれなどの身体的トラブルがあったと回答。また、その身体トラブルは家事・育児にも影響があったと4割が回答した。

身体トラブルが原因で復職復帰に不安に感じたり、場合によっては復職や次の妊娠をあきらめてしまう者もいる。さらには、妊娠中産後の身体トラブルがあった方のうち5割の母親が不安を抱えており、4割の母親は孤独を感じていることが調査結果にて明らかとなった。

妊娠中、出産後の身体トラブルは決してマイナーなトラブルでは無く、むしろ、日々の生活や復職、次の妊娠など母親のライフコースに大きく影響している可能性が示された。

c07a8f79b7a6cd46f8e03d8e93fd58a5.png

「お産は病気ではない」社会認識を大転換が必要

出産はまさに命がけであり、出産時の母体へのダメージは交通事故に匹敵する。しかし、「お産は病気ではない」という社会の認識があること、受診しようとしても妊娠出産時の身体トラブルは保険適応外になってしまい治療にうけられない。

河合氏は、「お産は病気ではない」という現状の認識を大転換し、女性が妊娠・出産・育児・就労等への意欲を持てる制度・仕組みの構築が早急に必要であると提言。

出産前後の女性に対する心身ケアを充実するために。その一つとして、母子手帳に「母親の身体トラブルに関するチェック項目」を追加する必要があると訴えている。


引用・参考:
特定非営利活動法人ReMind
2022妊娠中出産後の母体の身体トラブル実態調査 #1万人のママの声を聞かせて

関連タグ
出産 育児 母子保健
PT-OT-ST.NET:LINE公式アカウント「最新ニュースをLINEでお届け」友達追加

この記事が気に入ったらいいね!しよう

もっと見る 省略する

情報提供

ページ上部へ戻る