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2022.09.23

肩こりや首の痛みを発症させるリスク要因とは? ー 10本の研究結果から

 (c) Africa Studio - Fotolia .com
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はじめに

肩こりや首の痛みは、頭痛や腰痛と並んでとても多い症状の1つです。仕事中や勉強中に、肩こり・首の痛みにお悩みの方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、肩こりや首の痛みを発症させるリスク要因について、これまでに公開されてきた10本の研究結果をまとめた研究をご紹介します(参考文献①)。



肩こり・首の痛みを発症させる要因を調べた10本の研究から

この調査では、過去の医学論文を検索して質の高い論文のみをまとめることで、現在わかっていることと、そうでないことを明らかにする研究手法(システマティックレビュー)が用いられました。

まずはじめに、医学文献のデータベースから、肩こりや首の痛みを発症させる要因を調査した過去の論文を検索したところ、候補となる論文が746本見つかりました。その中から、質が高く、今回の研究の条件に適したものを厳選していき、最終的に10本の研究を用いました。

なお、今回の調査の対象にする研究は「研究の開始時点では、肩こりや首の痛みがなかった人の、その後の痛みの発症を調査したもの」のみとしました。



首の痛みの発症につながる危険因子

《憂うつな気分や仕事量が肩こり・首の痛みを生じるリスクを増大させる》
対象となった10本の研究のうち7本が、精神的な要因と肩こりや首の痛みを生じるリスクについて調査していました。

その結果、憂うつな気分が強い場合、肩こりや首の痛みを生じるリスクが3.36倍増加することが明らかになりました。

また、職場で求められる仕事量が多い場合にも、肩こりや首の痛みを生じるリスクが2.14倍に増加していました。


《BMIが高すぎる場合は要注意》
身体的な要因との関連で見てみると、BMIが30kg/m2を超えると、30kg/m2未満の場合と比べて、肩こりや首の痛みを生じるリスクが2.21倍になることが明らかになりました。

BMIが高すぎる場合には、肩こりや首の痛みだけではなく、糖尿病や心臓の病気になるリスクも上がるため、できる範囲から生活習慣を改善する必要があるでしょう。


《首・肩の筋肉に頻繁にハリを感じている場合にもリスクは増大する》
仕事中頻繁に、首や肩の筋肉にハリを感じている場合には、肩こりや首の痛みが発症するリスクが4.04倍も増大することが明らかになりました。



肩こりや首の痛みを発症させる要因の多くは改善可能

今回の研究で、筆者らは「肩こりや首の痛みを発症させる要因の多くは、適切なサービスや情報の提供によって改善が可能である」ということを強調しています。

今回明らかとなった要因について、近年研究によって明らかになってきた対策や、当サイトで過去に紹介してきた対策について見てみましょう。


《憂うつな気分やストレス》
ご自分でできる対策として、近年注目されているストレスと向き合う方法であるマインドフルネスを実践してみるのもおすすめです。

また、日頃の運動によって憂うつな気分が予防できることも、過去の研究から明らかになっています(参考文献②)。休みの日や仕事の前後に、ウォーキングや筋力トレーニングなどの運動を取り入れてみるのも良いでしょう。


《肩や筋肉のハリ》
首や肩に、筋肉のハリを感じている場合は、就寝前などに首や肩の筋肉のセルフストレッチを実践して、筋肉のコリやハリを和らげてみるのがいいでしょう。


《職場の雰囲気や仕事量を整えることも重要》
今回紹介したように、肩こりや首の痛みを発症させるリスク要因は、個人の中だけではなく、求められている仕事の量など、職場の環境も大きく影響していることが明らかになりました。

職場の環境をつくる立場にある人は、働いている人が精神的にも身体的にも、十分に力を発揮できる状態にあるかどうか、見直してみる必要があるでしょう。

仕事量を調整する具体的な方法として、タスク管理アプリ等を職場で利用することで、全体の仕事量を可視化し、「特定の人に過度に仕事が集中していないか」などを把握する取り組みも効果的かもしれません。



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【参考文献①】
タイトル:Identifying risk factors for first-episode neck pain: A systematic review.
雑誌名:Musculoskelet Sci Pract. 2018 Feb;33:77-83.
DOI:10.1016/j.msksp.2017.11.007

【参考文献②】
タイトル:Exercise and the Prevention of Depression: Results of the HUNT Cohort Study.
雑誌名:Am J Psychiatry. 2018 Jan 1;175(1):28-36.
DOI:10.1176/appi.ajp.2017.16111223


この記事を書いた人

株式会社バックテック

肩こり・腰痛対策支援サービス ”ポケットセラピスト” を運営。
「全人類が健康に活き活きと暮らし、社会に貢献できる世界をつくる」をミッションに、慢性痛に悩む労働者を医療職がオンライン上でマンツーマンサポートしていくサービスを提供しています。ポケットセラピストにご興味がある方は、是非お気軽にお問い合わせください。

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