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SJF学会関東支部
関節ファシリテーション( Synovial Joints Facilitation SJF)とは、「関節運動学(arthrokinematics)に基づく関節内運動および関節の潤滑機構に基づく接近(close)技術を用いて、Mennellの関節機能障害(joint dysfunction)を治療し、自動・他動運動における関節の動きを、量的・質的に改善する運動療法技術である.」(宇都宮初夫RPT)
関節が正常の範囲で動くためには、関節の構成体である骨・軟骨・関節包・靱帯に異常がないだけでは得られない。
骨運動が起こればその運動の拮抗側に存在する筋・神経・皮膚等の軟部組織に十分な伸展性(elasticity)が必要となる。
ROMとは“関節”の可動範囲とされていて、可動域制限はimpairmentとして捉えられるが、器官(organ)としての“関節”には神経・筋など他の器官は含まれない。“関節”の機能は“動かされる”とうい他動的な機能のみである。
ところがROMを制限する原因には、関節を取り巻くこれら関節包外器官の伸展性の喪失も含まれる為、治療にあたってはその原因を検査によって明確にしなければならない。勿論原因によってその治療法が異なるので、単に“動かない”から“動かす”では治療効果は望めない。
検査によってROMの制限因子を確定することは、臨床では必ずしも容易ではないが、他動的に骨運動とは別に関節包内運動のみを起こすことが可能な為、これを利用すれば関節包外と包内の原因を区別するときの助けになる。
ROMの改善は運動療法の治療目的の中で最初になされなければならない。関節包内運動を利用した治療技術の臨床応用で得られた効果は、単にROM拡大のみに留まらず、体幹の関節治療によって四肢にある痛み(関連痛)の消失、筋スパズムの消失、シビレ感の消失など想像を越すものがあった。しかしPTとしてどうしても見逃せなかったものに治療後ROMの拡大はないが、制限域内で得られる運動の“軽さ”があった。これは量的には表現が困難であり質的な改善といえよう。関節に対する直接的な治療技術の効果が、関節運動の量的・質的な動きの改善にあり、関節運動を“容易にする”ことから、この治療技術の名称を“関節ファシリテーション”とした。運動を動かす側である“筋の強さ”と、動かされる側である関節の“動きの軽さ”としてその関係を考えてみると、(表2)のようになり、関節の“動きの軽さ”が運動にとって最も重要だということが分かる。更にその治療効果が得られた時、他動的な関節の問題点の解決は全てその術者の行為によるものであるといえる。ところが筋の問題点の解決には、患者自身の動機付けを初めとして、脳の命令を受けた筋自身の収縮なしでは得られない。すなわち患者の努力の結果が効果として現れるのみである。関節以外の運動療法治療においては、PTの技術の優劣はそれほど影響しない。
実際に使用するに到った大半の治療技術は、運動学の知識を元に考え出したものではなく、患者の呈する症状が緩和し且つ使用中の技術に痛みを伴わないもので、患者からフィードバックされた、すなわち患者から学んだものであり、我々はこれらの技術を患者の中に発見しただけである。
(SJF関節ファシリテーションおよび関節ファシリテーションEdition5より引用)
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