8月21日に開催された「入院・外来医療等の調査・評価分科会」(第9回)にて、退院前リハビリテーション指導料、リハビリテーションに係る書類の取り扱いについて議論された。
退院時リハビリテーション指導料の算定状況と入院日数の傾向や、リハビリテーション総合実施計画書と目標設定等支援・管理シートに重複項目が多いことが取り上げられ、指導料の評価の在り方と書類作成の効率化について議論が交わされた。
退院時リハビリテーション指導料を算定した患者、疾患別リハビリテーション料の算定なし33%
退院時リハビリテーション指導料は、患者が入院治療を終えて退院する際に、リハビリテーションの継続や生活上の注意点などを適切に指導することを評価する仕組みとして、診療報酬上で位置付けられている。
退院日に1回限り算定できる同指導料は、直近5年間で算定回数が増加しており、平成27年の約11万回から令和6年には約20万回と、ほぼ倍増していることを、厚生労働省は資料を用いて報告した。
一方、分科会では、退院前リハビリテーション指導料を算定した患者のうち、33%は疾患別リハビリテーション料を算定していないことがDPCデータより示された。
また、在院日数が短いほど、疾患別リハビリテーションを実施せずに退院時リハビリテーション指導料のみを算定する患者の割合が高い傾向にあることを報告した。
委員からは、そのような背景を踏まえて「在院日数が短い患者にリハビリテーションを行わない例があるため、早期リハ開始を促す観点から、退院時リハビリテーション指導料に入院中のリハビリについて要件化が必要ではないか」との意見が挙げられた。
リハビリテーション関連書類の重複項目を議論
分科会では、リハビリテーションに係る書類の重複項目についても議論された。
厚生労働省は、以下の書類について、診療報酬上の評価や取り扱いを説明するとともに、項目の重複等について報告した。
・リハビリテーション実施計画書
・リハビリテーション総合実施計画書
・目標設定等支援・管理シート
疾患別リハビリテーション料の算定には、リハビリテーション実施計画書や総合実施計画書の作成が必要とされている。
目標設定等支援・管理料は、当初、要介護被保険者の維持期リハビリテーションを介護保険へ移行させることを主目的として平成28年度に創設された。
しかし、平成31年3月31日をもって入院中以外の要介護被保険者への算定上限日数を超えた疾患別リハビリテーション料が廃止となり、目標設定等支援・管理料の算定回数は、入院の初回の場合で増加傾向、その他の場合は横ばいで推移している現状にある。
検討会では、これまでの制度の変遷があるなかで、これらの書類には重複する項目が多数存在していることを踏まえて、リハビリテーションに係る書類作成の現状についてどのように評価するか議論が交わされた。
検討会に出席した委員からは、可能であれば統合することや、点数増やし処理を一本化し、処理の枚数を減らす対応などが提案された。
書類作成については、多職種協働による質の高いリハビリテーション提供体制の構築と、現場の事務負担軽減のバランスをいかに取るかが重要な論点となる。
これまでも、書類作成に伴う現場の負担を軽減する観点から、
リハビリテーション実施計画書の様式の整理等が議論されてきた。
2026年度診療報酬改定に向けて、退院時リハビリテーション指導料の評価と、リハビリテーションに係る書類作成の課題についてどのような解決策が提示されるのか、今後の議論の動向が注目される。
引用・参考
◾️令和7年度 第9回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(厚生労働省)
入ー1(PDF)
入ー2(PDF)