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2026.03.12

「介護職員等処遇改善加算の運用ルール(案)」厚労省が通知【令和8年度改定】



厚生労働省は3月4日、令和8年度の介護報酬改定に伴う「介護職員等処遇改善加算」の見直し内容と事務処理手順について「現時点の運用ルール(案)」を事務連絡しました。

今回改定の最大の特徴は、これまで加算対象外だった職種・サービスへの対象拡大です。リハビリテーション専門職(PT・OT・ST)を含む介護従事者全員が給与改善の対象となるほか、訪問リハビリテーション・訪問看護など従来は対象外だったサービスが令和8年6月から新たに加算を算定できるようになります。

届出については、令和8年度に限り4月・5月分と6月以降分を1回の計画書提出でまとめて対応できる特例措置が設けられるなど、基本的考え方と事務処理手順が示されています。

なお、内容については現在調整中とされており、今回の通知について厚生労働省は「令和8年3月中旬を目途に正式に発出する予定であり、新年度からの加算取得等に係る事務の便宜に資するため、 現時点の案としてお示しするもの」としています。 

「何が変わったのかよくわからない」「うちの事業所は何をすればいい?」という課題の整理に向けてけに、令和8年度から新しくなるルールをわかりやすくまとめました。



変更点① PT・OT・STも給与改善の対象になった

これまで処遇改善加算の対象は主に「介護職員」に限られていました。令和8年度からはPT・OT・STを含む介護従事者全員が対象に広がります。

訪問リハビリや通所リハビリで働くセラピストも、事業所が加算を取得していれば給与改善の恩恵を受けられる立場になりました。「自分には関係ない制度」ではなくなっています。


変更点② 訪問リハビリ・訪問看護が初めて加算の対象に(令和8年6月〜)

これまで処遇改善加算の対象外だった以下のサービスが、令和8年6月から新たに対象となります。



加算率は従来のサービスより低めですが、これまでゼロだったものが支給されるようになります。

訪問リハビリ事業所にとっては大きな変化で、6月の算定開始に向けた届出準備が必要です。

訪問リハビリへの処遇改善加算新設とPT・OT・STの給与改善について、詳しくは「【介護報酬改定】訪問リハビリも処遇改善加算の対象に、PT・OT・STの給与改善へ ー 令和8年度・期中改定」で解説しています。


変更点③ 6月から加算率が上がり、区分の名前も変わる

令和8年4月・5月は従来通りの区分(Ⅰ〜Ⅳ)で算定しますが、令和8年6月以降は加算率が引き上げられるとともに、区分の体系が変わります。

令和8年4月・5月の加算率(主なサービス)



令和8年6月以降の加算率(主なサービス)

6月以降は区分名が「Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ」に変わり、全体的に加算率が上がります。



変更点④ 生産性向上に取り組む事業所向けに新区分(Ⅰロ・Ⅱロ)

令和8年6月以降の新区分のうち、Ⅰロ・Ⅱロは今回新たに設けられた上乗せ区分です。

ICT活用や他事業所との連携(協働化)など、生産性向上の取り組みを行っている事業所がさらに高い加算を受け取れる仕組みです。

この区分を取得するには、後述する「令和8年度特例要件」を満たすことが条件になります。


変更点⑤ 増えた加算額はベースアップで還元することが原則に

令和8年度に令和7年度より加算額が増えた分については、基本給や毎月支払われる手当を一律に引き上げる「ベースアップ」で還元することが原則として明文化されました。

ボーナスや一時金だけで対応することは基本的にNGとなります。

ただし、賃金体系の整備がまだ途中の場合など、ベースアップだけでは対応が難しい事情があれば、手当や一時金との組み合わせも認められています。


変更点⑥ 令和8年度特例要件が新設された

今回の改定で新しく設けられたのが「令和8年度特例要件」です。
これは主に2つの使い方があります。

使い方①:上乗せ区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を取得するための条件として使う
使い方②:キャリアパス要件などの条件整備を令和9年3月末までの猶予

特例要件として認められるのは、以下のいずれかの取り組みです。

● ケアプランデータ連携システムを利用している(訪問・通所系等の事業所)
● 生産性向上推進体制加算Ⅰ・Ⅱを取得している(施設・居住系等の事業所)
● 社会福祉連携推進法人に所属している

「まだ条件を整えきれていないが上位区分を取りたい」という事業所にとって活用しやすい仕組みです。

ただし、「令和9年3月末までに対応する」と誓約した場合は、必ず実行しなければなりません。

誓約だけして対応しなかった場合は加算の返還を求められる可能性があります。

賃上げ・職場環境改善支援事業の詳細については、「【厚労省】介護分野の賃上げ・職場環境改善支援事業「Q&A(第1版)」公開」も参考にしてください。


変更点⑦ 届出のスケジュールが今年度は特殊

例年と異なり、令和8年度は4月・5月分と6月以降分をまとめて1回の計画書提出で対応できるようになっています。

また、6月から新たに対象となる訪問リハビリテーション等のサービスは、別途6月用の期限が設けられています。

提出様式に関しても、フォーマットが示されています。こちらよりご確認ください。


計画書は法人単位で一括作成が可能ですが、管轄する都道府県・市区町村それぞれへの提出が必要です。




変更点⑧ 職場環境等要件の「生産性向上」取り組みが必須化

職場環境等要件の中でも、生産性向上に関する取り組みの位置づけが今回強化されました。

加算Ⅰ・Ⅱ(Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ)を取得する場合、生産性向上のための取り組みを3つ以上実施することが必要で、そのうち以下のいずれかが必須となっています。

● ⑰「生産性向上ガイドライン」に基づく業務改善活動の体制構築
 (委員会・プロジェクトチームの立ち上げ等)

● ⑱ 現場の課題の見える化
 (課題抽出・業務時間調査の実施等)

これらは、上位区分の算定には必須の取り組みになっています。


令和8年度の変更点一覧



今回の改定で変わった主なポイントを一覧で整理しました。

6月からの新しいルールに向けた届出の準備は、想像以上に時間がかかることが予想されます。早めに計画書の作成に取りかかることが推奨されます。

運用ルールに関する正式文書は、3月中旬を目途に厚生労働省から発出される見込みです。

引用・参考:◾️「介護保険最新情報Vol.1474」(令和8年3月4日)「介護職員等処遇改善加算等に関する基本的考え並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度) (案) 」の送付について(厚生労働省HP)

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