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2026.03.06

【診療報酬改定】リハビリ実施計画書の説明・署名ルールが見直し― 医師説明・患者署名から「多職種説明・記録確認」へ



令和8年度診療報酬改定に伴い、リハビリテーション実施計画書およびリハビリテーション総合実施計画書の説明方法や患者署名の取り扱いが見直されました。

厚生労働省は2026年3月5日付で「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」を発出し、この通知の中で、第7部「リハビリテーション」に関する通則の一部が見直され、リハビリテーション実施計画書およびリハビリテーション総合実施計画書の説明方法や患者署名の取り扱いが変更されています。

今回の改定は一見すると事務的な整理のようにも見えますが、リハビリテーション医療の実務や多職種連携のあり方に一定の影響を与える内容となっています。

これまでの制度と令和8年度改定を比較しながら、改定内容のポイントを整理します。




リハビリテーション実施計画書とは何か

疾患別リハビリテーション(心大血管疾患、脳血管疾患等、廃用症候群、運動器、呼吸器など)を実施する際には、患者ごとにリハビリテーション実施計画書を作成することが求められています。

医師は定期的な機能評価などを踏まえ、リハビリテーションの目標や内容を明確にした計画を作成し、患者または家族に説明した上で交付することとされています。

通知では、この計画書はリハビリテーション開始後原則として7日以内、遅くとも14日以内に作成する必要があるとされています。また、計画書の写しは診療録に添付することとされています。

この計画書は、疾患別リハビリテーションの実施において基本となる書類であり、患者の機能評価、目標設定、治療計画などを共有するための重要な役割を担っています。


これまでの制度:医師説明と患者署名が基本

これまでの通知では、リハビリテーション実施計画書は患者またはその家族に対して説明した上で交付することが求められていました。

制度上は説明主体が明確に限定されていたわけではありませんが、「リハビリテーション実施計画書の作成時及びその後(中略)3か月に1回以上(特段の定めのある場合を除く。)、患者又はその家族等に対して当該リハビリテーション実施計画書の内容を説明の上交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。」と記載されており、実際には医師が説明することが基本的な運用とされていました。

また、患者または家族による署名を取得することが一般的に求められていました。

もっとも、患者本人が署名できない場合や家族が遠方に居住している場合などには、情報通信機器を用いて計画書の内容を説明し、診療録に同意を得た旨を記録することで署名を省略することも認められていました。

こうした例外規定は存在していましたが、制度としては依然として「説明と署名」を基本とする運用が想定されていました。


令和8年度改定で何が変わるのか

今回の改定では、こうした実態を踏まえ、計画書の説明主体と患者署名の取り扱いが整理されました。




まず大きな変更点として、計画書の説明を行うことができる職種が明確化されています。改定後の通知では、医師だけでなく、医師の指示を受けた看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によって説明を行うことができるとされています。

これは、リハビリテーション医療が多職種によって提供されるものであるという実態を制度上明確に位置付けたものであるといえます。

実際のリハビリテーション内容を理解し、患者に説明する役割を担う専門職として、PT・OT・STなどが制度上も説明主体として認められる形になりました。

さらに、患者や家族による署名についても取り扱いが見直されています。新たな通知では、計画書について「患者等の署名は不要とする」と明記されました。

これにより、これまで一般的であった「説明と署名」という確認方法から、「説明と診療録記録」による確認方法へと制度が整理されたことになります。




回復期リハ病棟は例外

ただし、すべてのケースで説明主体が拡大されたわけではありません。

回復期リハビリテーション病棟入院料を算定している場合や特定機能病院のリハビリテーション病棟では、引き続き医師による説明が求められています。

回復期リハ病棟では入院期間中に集中的なリハビリテーションが実施されることから、治療方針の説明について医師の関与を維持する必要があると判断されたものと考えられます。


様式の変更

また今回の通知において、新たに使用できるリハビリテーション実施計画書の様式も示されています(従来の別紙様式21、及び当該様式を参考としたものも引き続き使用可)。

署名欄が廃止され、リハビリテーション実施計画書と総合実施計画書が一体となっています。





現場への影響

今回の改定によって、リハビリテーション医療の現場ではいくつかの変化が想定されます。

まず挙げられるのは、医師の業務負担の軽減です。リハビリテーション患者が多い医療機関では、計画書の説明や署名取得が医師の業務として一定の負担となっていました。説明主体が多職種へ拡大されたことで、実務に即した運用が可能になると考えられます。

また、患者や家族から署名を取得する事務的な手続きが不要になることで、書類管理業務の簡素化も期待されます。特に外来患者や家族が遠方にいるケースでは、署名の回収が実務上の負担となることもありました。

さらに、リハビリテーション専門職が説明主体として制度上明確に位置付けられたことは、PT・OT・STの役割を改めて示すものとも考えられます。

患者に対してリハビリテーションの目的や内容を説明し、治療計画を共有する役割は、専門職としての重要な責務の一つとなります。


まとめ

令和8年度診療報酬改定におけるリハビリテーション実施計画書の取り扱い見直しは、制度と現場実務の乖離を整理する意味合いを持つ改定と言えます。説明主体が医師だけでなく看護師やPT・OT・STに広がり、患者署名も不要とされたことで、実務に即した運用が可能になると考えられます。

今後は、計画書の説明内容を適切に記録し、患者との情報共有を丁寧に行うことがさらに重要となります。今回の改定は、リハビリテーション医療における多職種の役割を改めて確認する機会にもなると考えられます。



引用・参考
令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省)
2.令和8年度診療報酬改定説明資料等について
13.重点的な対応が求められる分野(医学管理・リハビリテーション)
■ 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号) 医科点数表 様式(医科)

厚生労働省より公開された資料に合わせて、PT-OT-ST.NETの診療報酬改定特設サイトも情報掲載を進めています。制度改定に向けた準備にご活用ください。


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