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2026.05.28

【厚労省】ベースアップ評価料の様式・動画・ツール公開 ー 6月以降の算定には全医療機関の届出必要



厚生労働省は、「令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について」の特設ページにて、届出様式Excelファイル、様式の作成方法に関する資料、説明動画などを公開しています。

特に届出様式Excelファイルは、必要事項を入力していくことで、自動的に算定できる区分、施設基準を満たしているか(届出を行うことができるかどうか)が分かり、そのまま届出様式として使用できるもので、改定に向けた準備の参考になります。

※最新版は厚労省特設ページにてご確認ください



改定対応の準備として、主に医療機関に勤務するリハビリテーション専門職・管理者向けに、ベースアップ評価料を中心に令和8年度診療報酬改定における賃上げ対応について解説します。



またPT-OT-ST.NETでは、ベースアップ評価料のみならず、令和8年診療報酬改定に向けてリハビリテーションに関連する情報をまとめて掲載しています。合わせてご確認ください。



令和8年度診療報酬改定と賃上げ

令和8年度診療報酬改定では、物価高騰や経営環境の悪化により賃上げ余力が低下している医療機関を支援するため、医療従事者等の賃上げに向けた対応が大幅に拡充されます。

厚生労働省は、ベースアップ評価料の見直しなどを通じて確実かつ継続的な賃上げ原資を確保し、幅広い人材の確保と地域医療の維持を目指しています。

今回の改定は、単なる点数引き上げにとどまらない制度的対応であり、実際の給与改善にどこまでつながるかが焦点となります。

そのため、リハビリテーション専門職をはじめとする現場の医療従事者が国の賃上げ策を理解し、自施設でどのように活用されるのか主体的に確認していくことが重要と考えられます。


賃上げに向けた評価の見直し

令和8年度診療報酬改定における賃上げに向けた評価の大きな変更点は、継続的なベースアップを評価する体系へ変更されたことです。

今回の改定では、継続的な賃上げの実施有無によって医療機関への評価を差別化し、令和8年度および令和9年度において段階的な評価を行うこととしています。

また令和6年度改定では「入院ベースアップ評価料に相当する分」と「賃上げ余力の回復分」として入院基本料が引き上げられましたが、今回改定では令和8年3月までにベースアップ評価料を算定していなかった医療機関等については、入院料等の一部が減算される規定が設けられました。

継続的に賃上げを行っていることが、医療機関においてもより高い評価を受けられるインセンティブとなる設計がなされています。

また、経営者や役員などは除き、事務職員など幅広い職員をベースアップ評価料の対象とし、夜勤手当の増額に用いることが可能となりました。

令和8年度・令和9年度それぞれのタイミングで、看護補助者・事務職員については5.7%、それ以外の対象職員については3.2%の賃上げを目指す設計とされています。




ベースアップ評価料の体系

ベースアップ評価料の基本的な体系は、外来・在宅分として「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」を算定し、対象となる医療機関では、それに追加して「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」または「入院ベースアップ評価料」を組み合わせる形です。

無床診療所では「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」の算定を基本とし、これだけでは賃上げ原資が大きく不足する診療所は、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」の対象となります。

病院については、大半の病院が「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」に加えて、「入院ベースアップ評価料」を算定することができます。

有床診療所では、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」と「入院ベースアップ評価料」を選択できます。厚生労働省の資料によると、多くの有床診療所では「入院ベースアップ評価料」の方が算定できる総点数が高くなりますが、入院患者が極めて少ない場合、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」のほうが総点数が高くなることがあります。

「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」と「入院ベースアップ評価料」とは、同一保険医療機関で同時に届出を行うことはできません。


外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)

病院・診療所などの医療機関において、基本となる評価が、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」です。

初診時17点、再診時4点などを算定することができ、継続的な賃上げを実施している施設には増点される設計となっています。

令和8年3月31日時点において「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」を届け出ていた保険医療機関は、この「継続的な賃上げ」実施施設に該当します。

もしくは令和6年3月時点に比べて、看護補助者、事務職員については8%、それ以外の対象職員については5.5%以上のベースアップを行った保険医療機関が該当します。

いずれも令和9年6月以降にさらに増点される設計となっており、今後も継続的な賃上げを求める報酬体系となっています。

告示・通知・施設基準外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)




無床診療所の場合

「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」のみでは賃上げ原資が大きく不足する一部の診療所を対象として、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」が設定されています。

1〜24の区分が設定されており、区分によって点数が上がっていきます。区分13〜24は、令和9年6月以降に算定する区分です。

こちらも「継続的な賃上げ」実施施設はさらに高い点数を算定できる構造となっています。届出様式Excelファイルの様式96のシートに入力することで、基準を満たしているか、算定できる区分が何かがわかります。




病院の場合

病院では、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」に加え、入院基本料等に上乗せして算定する「入院ベースアップ評価料」が設定されています。

1〜500の区分が設定されており、区分によって点数が上がっていきます。区分251〜500は、令和9年6月以降に算定する区分です。

こちらは、届出様式Excelファイルの様式97のシートに入力することで、基準を満たしているか、算定できる区分が何かがわかります。

 

令和8年3月までにベースアップ評価料を算定していない病院等では、入院料等の減算に注意

令和8年度改定以降の入院料には令和6年度改定によるベースアップ評価料分が含まれています。そのため、令和8年3月までにベースアップ評価料を算定していなかった医療機関では、入院料等について減算の対象となる場合があります。

ただし、一定水準以上のベースアップ等を行っている場合は減算対象外となります。

入院料等の減算を避けるためにも、職員のベースアップとベースアップ評価料の届出・算定が重要となる仕組みです。




届出の様式・スケジュール

ベースアップ評価料の種類ごとに届出を行う書類の様式が定められています。

医療機関用の届出様式は様式95〜100を含むExcelファイルで公開されており、本稿で主に扱う医科の評価料では様式95〜98が中心となっています。

必要に応じて、訪問看護・歯科等を含む様式は、厚労省特設ページでご確認ください。

・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・・・様式95
・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)・・・様式96
・入院ベースアップ評価料・・・・・・・・・様式97
・継続的賃上げ実施加算・・・・・・・・・・様式98



また繰り返しになりますが、このExcelファイル(届出様式)は、自院の情報を入力していくことで、自動的に算定できる区分や、施設基準を満たしているか(届出を行うことができるかどうか)が分かるようになっており、内容確認にも有用です。

ベースアップ評価料等に係る届出は、原則医療機関の所在地を管轄する地方厚生(支)局都道府県事務所ごとに設定された専用メールアドレス( baseup-hyoukaryou○○@mhlw.go.jp (○○は都道府県ごとに定められた数字))にExcelファイルを提出することにより行うことになっています。


これまでベースアップ評価料を届け出ていない医療機関が、ベースアップ評価料を令和8年6月から算定するには、令和8年5月中(遅くとも6月1日必着)に届出が必要です。

また、これまでにベースアップ評価料を届け出ていても、令和8年6月以降も算定を続けるには、改めて、令和8年5月中(遅くとも6月1日必着)に届出が必要です。

なお、届出後は「賃金改善中間報告書」や「賃金改善実績報告書」の提出が必要となる場合があるため、届出時だけでなく実績報告のスケジュールも確認が必要です。

厚生労働省の特設ページ(令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について)には、「3.届出のための説明動画・支援ツール(医療機関用)」として、ベースアップ評価料の届出の手引き、説明動画、支援ツール等が掲載されています。

厚労省特設ページは随時更新されているため、届出前に最新版を確認してください。

医療機関の担当者は、まず厚労省の届出様式Excelに自院情報を入力し、算定区分と届出可否を確認することが推奨されます。


施設基準・算定区分の概要

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)

具体的な計算は、届出様式への入力により確認できますが、下記のような施設基準が存在します。

下記の考え方に基づき、「賃金改善算定基礎額」を算出します。



その上で、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)および歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)により算定される点数の見込みを合算した数に10円を乗じた額が、賃金改善算定基礎額の5割未満であることが、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)の届出に係る基準の一つとされています。





この基準に当てはまる場合に、賃金改善算定基礎額やベースアップ評価料の算定回数の見込みなどの値から算出される値【B】を算出します。この【B】に基づき、別表4に従い該当する区分を届け出ることとなります。





「継続的な賃上げ」実施施設は下図のように、所定点数に代えて算定する高い点数が設定されています。

告示・通知・施設基準外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)




入院ベースアップ評価料

賃金改善算定基礎額(「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)」の項で前述)から、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)等により算定される点数の見込みに10円を乗じた額を差し引き、延べ入院患者数等で割り戻して算出する値【C】を求めます。

この【C】に基づき、別表5に従い該当する区分を届け出ることとなります。

告示・通知・施設基準入院ベースアップ評価料






入院料等の減算

令和8年3月までにベースアップ評価料を算定していなかった医療機関では、入院料等について減算の対象となります。

ただし、施設基準にもあるように、令和8年度の対象職員(医師および歯科医師を除く)の、入院ベースアップ評価料を算定する月時点の基本給等を合計し、当該対象職員を令和6年3月時点の給与体系に当てはめた場合と比較した場合に、5.5%(看護補助者、事務職員については、8%)に相当する水準以上のベースアップ等を行った保険医療機関については、減算の対象とはなりません。



下図の通り、回復期リハビリテーション病棟入院料で76点、地域包括ケア病棟入院料で69点などの減算がなされる規定となっています。



参考・引用:
◼️ 令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について(厚生労働省HP)
◼️ 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)(厚生労働省HP)
◼️ 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)(厚生労働省HP)
◼️ 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第8号)(厚生労働省HP)


厚生労働省より公開された資料に合わせて、PT-OT-ST.NETの診療報酬改定特設サイトも情報掲載を進めています。制度改定に向けた準備にご活用ください。


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