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2026.07.10

【介護報酬改定】介護保険施設の厳しい収支に懸念相次ぐ 老健の認知症短期集中リハも論点に



7月9日、厚生労働省にて第260回社会保障審議会介護給付費分科会が開催されました。今回は、次期介護報酬改定に向けて、介護老人福祉施設(特養)、介護老人保健施設(老健)、介護医療院、特定施設入居者生活介護といった「施設系サービス」の現状と課題が議論されました。

老健については、在宅復帰・在宅療養支援等指標や認知症短期集中リハビリテーション実施加算など、リハビリテーション専門職にも関わりの深い資料が提示されました。

また、物価高騰や人材確保の難しさが続く中、介護保険施設の経営の厳しさを訴える声が相次ぎました。


超強化型が増加する老健、リハ専門職の配置割合は平均3.2点

老健は、在宅復帰・在宅療養支援の地域拠点としての役割や、リハビリテーションを提供する機能の維持・改善を担う施設として位置付けられています。

こうした機能を評価する仕組みとして、老健では在宅復帰・在宅療養支援等指標などに基づき、超強化型、在宅強化型、加算型、基本型などの施設類型が設けられています。

今回の資料では、超強化型の施設が33.2%に増加する一方、基本型の施設は20.7%に減少している状況が示されました。





また、施設類型の評価に用いられる在宅復帰・在宅療養支援等指標について、各項目の加点状況も示されました。

資料では、全体では「リハビリテーション専門職の配置割合」の平均点は3.2点であることが報告されました。

「リハビリテーション専門職の配置割合」の指標は、入所者100人当たりの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置状況を評価するものです。

配置割合が5以上で、かつPT・OT・STの3職種すべてを配置している場合は5点、配置割合が5以上の場合は3点、3以上5未満の場合は2点、3未満の場合は0点とされています。

今回の資料では、各得点の分布までは示されていないため、配置状況を詳細に読み取ることはできません。

ただし、平均点は3点をやや上回る水準にとどまっており、PT・OT・STの3職種をそろえて5点を取得する施設が一般的な状況とは言いにくいことが、資料よりうかがえる結果となりました。




認知症短期集中リハ、訪問要件による評価差に見直しの声

老健では、認知症短期集中リハビリテーション実施加算などの算定が難しい理由について、資料が提示されました。

認知症短期集中リハビリテーション実施加算については、退所後の居宅等を訪問して生活環境を把握した上で計画を作成する「加算Ⅰ(240単位/日)」と、それ以外の「加算Ⅱ(120単位/日)」に区分されています。

資料では、事業所ベースの算定率として、加算Ⅰが43.3%、加算Ⅱが31.2%であることが報告されました。

東委員(全国老人保健施設協会会長)は、加算Ⅰと加算Ⅱを合わせて約75%の老健において算定されていると述べ、現場で広く活用されている点を評価しました。

一方で、同じ内容のリハビリテーションを提供しているにもかかわらず、訪問要件の有無によって加算Ⅱが加算Ⅰの半分の単位数となっていることを問題視。訪問に関する要件が現場の実態に合っていないとの声もあるとして、実態に即した算定が可能となるよう要件の見直しを求めました。




特養・老健・介護医療院の収支差率、全サービス平均を下回る水準に

今回の分科会では、老健のみならず、特養や介護医療院を含む介護保険施設の厳しい経営状況についても意見が相次ぎました。

厚労省が示した令和6年度決算の収支差率(税引前・物価高騰対策関連補助金を含まない)によると、全介護サービスの平均が4.7%であるのに対し、特養は1.4%、老健は0.6%、介護医療院は3.5%でした。

いずれも全サービス平均を下回る水準であり、施設系サービスの厳しい経営実態が示されました。



これを受け、各委員からは強い危機感が示されました。

東委員は、老健の収支差率が全介護サービスの中で最低水準にあるとした上で、建物の老朽化が進む中、建て替え等に必要な内部留保の確保も非常に厳しいと指摘。老健の減少には老朽化も大きく影響しているとして、基本報酬の大幅な引き上げを求めました。

長内委員(全国市長会、豊中市長)の代理として出席した坂口参考人も、水道光熱費や食費の高騰が施設経営に影響を与えているとし、事業継続のための財政支援の必要性を訴えました。

江澤委員(日本医師会常任理事)は、介護保険施設の平均収支差率が大変厳しい状況にあり、約半数が赤字となっている実態を指摘。基本報酬の「異次元の増額」が不可欠であると強く要望しました。

また、介護報酬改定は現行では3年に1度ですが、現在の経済状況の中で3年間同じ報酬水準を維持することは困難であるとして、令和9年度改定を仮に1年間とするなどの調整を行い、診療報酬改定と同じタイミングで2年ごとに改定する方策も考えられるのではないかと提案しました。


施設系サービスに求められる多様な役割と評価のあり方

施設系サービスでは、入所者の重度化や医療ニーズへの対応、認知症ケア、看取りなど、求められる機能が広がっています。

令和9年度介護報酬改定に向けては、厳しい経営実態を踏まえながら、老健が担う在宅復帰・在宅療養支援機能や認知症リハビリテーションを、安定的に提供できる報酬体系としてどのように評価するのか。今後の議論が注視されます。

引用・参考:
第260回社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省HP)
 ・【資料2】介護老人保健施設

関連タグ
介護老人保健施設 介護報酬改定2027 介護経営 厚生労働省
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