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2026.06.30

【介護報酬】訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問看護の単位数は増加傾向 訪問看護・訪問リハ「現状と課題」を厚労省が提示



厚生労働省は6月29日、社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、訪問看護や訪問リハビリテーションなどの訪問系サービス、居宅介護支援などについて、令和9年度介護報酬改定に向けた検討資料を示しました。

前回の通所系サービスに関する議論に続き、各サービスの現状やこれまでの改定内容、事業所数・利用者数の推移、収支差率、サービス提供体制などについて、「現状と課題」が整理されました。

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訪問看護・訪問リハの経営状況の推移

訪問看護の事業所数、訪問リハビリテーションの請求事業所数はいずれも増加傾向が続いています。特に訪問看護事業所については、法人等種別に分けた資料が示され、「営利法人の事業所数の増加が著しい」とされました。



経営状況は、訪問看護の収支差率が10.3%、訪問リハビリテーションの収支差率が10.8%となっており、全サービス平均の4.7%と比べて高い水準にあることが示されました。




訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問看護、単位数は増加傾向

訪問看護については、前回の令和6年度介護報酬改定において、理学療法士等による訪問看護の評価が見直されました。

具体的には、前年度の理学療法士等による訪問回数が看護職員による訪問回数を超えている事業所や、緊急時対応などの特定の加算を算定していない事業所に対する減算(1回につき8単位減算)が新設されました。

今回の資料では、「訪問看護ステーションにおける理学療法士等による介護予防訪問看護の算定割合は、近年横ばいで推移しているが、単位数は増加しており、訪問看護の割合・単位数も同様の傾向」と示されました。



これを受けた「訪問看護の現状と課題」では、訪問看護について、「要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、その療養生活を支援し、心身の機能の維持回復及び生活機能の維持又は向上を目指すもの」と説明。

その一方で、「医療処置を含めた24時間の看護サービスの提供ではなく、リハビリテーションの提供が主体の事業所も一定数あると推察される」と記載されました。




委員からも発言相次ぐ 今後さらなる見直しの可能性も

訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問看護については、委員からも発言が相次ぎました。

伊藤委員(健康保険組合連合会常務理事)は、理学療法士等による訪問看護について、これまでも見直しが行われてきたものの増加傾向にあり、中にはリハビリテーションの提供が主体となっている事業所もあると指摘しました。その上で、訪問看護の本来の役割を踏まえ、サービス内容や実態に応じた評価の見直しが必要であると述べました。

江澤委員(日本医師会常任理事)は、要支援者の約半数、要介護者の約3分の1の訪問をリハビリテーション専門職が担っており、事業所によってはリハビリテーション専門職の方が看護職よりも多いケースがあると指摘しました。

こうした現状について、「本来のあるべき訪問看護(ステーション)の姿ではない、かなり乖離した状況」であるとし、報酬改定を通じてあるべき姿へ誘導していくべきであると提起しました。

東委員(全国老人保健施設協会会長)は、訪問看護からの訪問回数について、看護師よりも理学療法士等の方が多くなっているように思われると指摘。その上で、「本来、訪問看護は看護師による訪問看護を適切に評価すべき」であり、訪問看護事業所からのリハビリ職による訪問と、訪問リハビリテーション事業所からのリハビリ職による訪問とを分けて、適切に評価すべきであると述べました。

訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問看護については、これまでも介護報酬改定で見直しが重ねられてきました。

今回の資料や委員の発言を踏まえて、令和9年度改定においても、何らかの対応が検討される可能性があります。


介護予防訪問リハ、継続は「状態の維持」か「適正化」か

訪問リハビリテーションについては、前回の令和6年度改定において、12か月を超えて介護予防通所リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーションを行う場合の減算について、一定の要件を満たす場合は減算を行わない基準が設けられました。

今回の資料では、介護予防訪問リハビリテーションについて、利用開始24か月後に利用を継続し、修了予定がない利用者が約76%いることが示されました。

利用継続理由としては、「本人・家族の希望」「運動機会や活動量の維持が必要」などが挙げられました。



これに対して、伊藤委員(健保連常務理事)は「さらなる適正化の必要性について検討すべき」と発言しました。

一方で、江澤委員(日医常任理事)は、利用を継続することで状態が維持できている意義を十分に理解すべきと指摘。東委員(全老健会長)も、要支援状態を長く維持していること自体を評価すべきであり、減算のあり方について見直すよう求めました。

また、訪問リハビリテーションで実施された内容については、通所リハビリテーションと同様に、筋力増強訓練、関節可動域訓練、歩行訓練(平地)の割合が高い実態にあることが示されました。



これに対して江澤委員は、IADL(手段的日常生活動作)や社会参加に資するリハビリテーションをより評価していくべきだと提起しました。

また、通所リハビリテーションで導入されているような、栄養や口腔の情報を踏まえてマネジメントを行う仕組みが、訪問リハビリテーションにも必要であると述べました。


認知症短期集中リハ、算定率の低さも論点に

前回の令和6年度改定で新設された、認知症短期集中リハビリテーション実施加算については、算定回数・算定率が著しく低い現状が示されました。

算定が困難な理由としては、「対象者がいない」「短期集中個別リハビリテーション実施加算が優先される」などが挙げられました。



これに対して江澤委員(日医常任理事)は、退院(所)日又は訪問開始日から3月以内という要件について、認知症の方へリハビリテーションを提供する際には、まずスタッフとの馴染みの関係を築くことが先決であり、サービス開始直後の短期集中という枠組みは馴染まないと指摘しました。

そのため、必要な時に随時リハビリテーションを提供し、評価できる仕組みに見直すべきだと提案しました。


高齢者住まいに対するサービス提供の在り方は別途議論へ

そのほか、委員からは居住系サービスと訪問サービスが一体となったビジネスモデルについても発言が相次ぎました。

長内委員(全国市長会、豊中市長)は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームにおいて、居住系サービスと訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導などの医療系サービスが連動したビジネスモデルが、既に確立されている状況がうかがえると指摘しました。

この点について、限られた人的資源が真にサービスを必要とする人へ提供されるよう、特に要介護1などの軽度者に対して、介護予防や重度化防止の視点で効果的なアウトプット(成果)につながっているのかを評価すべきであると述べました。その上で、「包括報酬」といった新たな報酬体系も含めた検討が必要であると主張しました。

東委員(全老健会長)は、訪問介護や訪問看護などを内包したサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームは、「収益性の高いビジネスモデルとして今でも増え続けている」と指摘しました。

その上で、訪問介護事業所の廃業や新規参入の実態について、それらが同一建物の事業所、いわゆる集合住宅内包型だったのか、単独の事業所だったのかの内訳を示すよう求めました。

また、訪問看護において営利法人の事業所数が急増していることについても、集合住宅内包型の訪問看護が、営利法人の訪問看護のうちどの程度を占めているのかを分析する必要があると述べました。

厚生労働省が提示した資料には、「高齢者住まいに対するサービス提供の在り方に係る事項については、別途の回で議論いただくことを想定。」と記載されています。今後、別途の機会に集中的な議論が行われる見通しです。

引用・参考:
第259回社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省HP)

訪問看護(PDF)

訪問リハビリテーション(PDF)

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