5月29日、厚生労働省は令和8年度診療報酬改定に関する「疑義解釈(その7)」を事務連絡しました。
疑義解釈(その7)では、回復期リハビリテーション病棟入院料における高次脳機能障害と診断された患者の考え方、入退院支援加算の施設基準などについて解釈が示されています。
【電子的診療情報連携体制整備加算】
問1 「A000」電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準において、「地域の複数の医療機関間で検査結果や画像情報等を含む診療情報を共有又は閲覧できるネットワークであって、以下の(イ)から(ハ)の全てを満たすものを活用する体制を有していること。」とあるが、具体的にどの程度活用していればよいか。
(答) 当該保険医療機関を受診するいずれかの患者について、少なくとも概ね2月に1回以上は診療情報の閲覧又は共有を行うこと。ただし、当該ネットワークに加入した月からその3月後まで(例えば、令和8年7月に加入した場合、令和8年7月から10月まで。なお、令和8年5月31日までに加入していた保険医療機関については令和8年6月1日から9月30日までとする。)はこの限りでない。
問2 「A000」電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準において、「当該ネットワークに参加していること及び実際に患者の情報を共有している実績のある保険医療機関の名称について、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。」とあるが、当該保険医療機関の掲示すべき保険医療機関の名称は代表的な保険医療機関のみでよいのか、全ての保険医療機関を掲示する必要があるのか。
(答) 当該保険医療機関が診療情報を共有又は閲覧している実績のある全ての保険医療機関の名称を掲載すること。なお、当該他の保険医療機関の名称は、概ね3月に1回、定期的に更新すること。ただし、問1のただし書に該当する場合には、他の保険医療機関との共有実績ができた段階で速やかに掲載することとして差し支えない。
問3 「A000」電子的診療情報連携体制整備加算の施設基準に「電子処方箋を発行する体制又は調剤情報を電子処方箋管理サービスに登録する体制」とあるが、当該保険医療機関の全ての医師が電子処方箋システムを利用できる体制が必要となるか。
(答) 原則として、当該保険医療機関において処方を行う医師全員が電子処方箋を発行できること。ただし、当面の間、当該保険医療機関において2名以上(常勤医師が1名のみの場合は1名以上)の常勤医師が電子処方箋を発行できればよい。なお、処方を行う医師であって、電子処方箋を発行できない者は引換番号付き紙処方箋を処方すること。
【精神病棟看護・多職種協働加算】
問4 精神病棟入院基本料の注7、特定機能病院入院基本料の注11及び精神科急性期治療病棟入院料の注4に規定する精神病棟看護・多職種協働加算の施設基準において「当該病棟において、作業療法士、精神保健福祉士又は公認心理師の数は、一以上であること。」とされているが、常勤換算で1名以上の配置が必要なのか。
(答) 様式9の勤務実績表に記載され、精神病棟看護・多職種協働加算の当該月の勤務実績がある職員(勤務時間数を問わない)として、作業療法士、精神保健福祉士又は公認心理師が1名以上いればよい。
【医師事務作業補助体制加算】
問7 医師事務作業補助体制加算において、ICT機器を活用する場合の医師事務作業補助者の算入方法について、どのように配置人数を考えればよいか。
(答) 例えば、90床の一般病床を持つ医療機関において、15対1補助体制加算を届け出ている場合であって、ICT機器のうち、生成AIを活用した文書作成補助システムのみを組織的に導入している場合には、医師事務作業補助者1人を1.2人として配置人数に算入可能であるため、5人の医師事務作業補助者を配置することで、90床に対して15対1補助体制加算として必要な6人の配置基準を満たすことができる。
【口腔管理連携加算】
問8 口腔管理連携加算の施設基準において「退院時に「B009」の注14に規定する歯科医療機関連携加算1を算定した実績が3件以上」とあるが、当該加算が包括されている入院料を算定する病棟のみで構成される医療機関では算定できないのか。
(答) 「B009」診療情報提供料(Ⅰ)及びその加算である歯科医療機関連携加算1が包括される入院料の病棟においては、歯科医療機関に対する診療情報提供を行った実績件数を当該要件の件数に含めることができる。
【入退院支援加算1】
問11 入退院支援加算1の施設基準(6)のアで示している算定対象病床数に、A308-3地域包括ケア病棟入院料が追加されたが、地域包括ケア病棟入院料を算定する患者に対して介護支援等連携指導料が算定可能となるのは、令和8年度診療報酬改定が施行される令和8年6月以降になる。そのため、過去1年間の介護支援等連携指導料の算定回数に係る基準を満たすことが困難になるが、どのように考えればよいか。
(答) 令和8年3月31日時点で、現に入退院支援加算1及び地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている医療機関においては、施設基準(6)のアで示す算定対象病床数について、令和9年3月31日までの間、従前のとおり、地域包括ケア病棟入院料を算定する病床を除いて算出することが可能。
【参考】A246 入退院支援加算 施設基準(6)(6) 過去1年間の介護支援等連携指導料の算定回数と過去1年間の相談支援専門員との連携回数(「A307」小児入院医療管理料を算定する患者に対する支援に限る。)の合計回数が、以下のア及びイを合計した数を上回ること。
ア 「イ 一般病棟入院基本料等の場合」及び「ロ 地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料の場合」の算定対象病床数(介護支援等連携指導料を算定できるものに限る。)に0.15を乗じた数と「ハ 療養病棟入院基本料等の場合」の算定対象病床数(介護支援等連携指導料を算定できるものに限る。)に0.1を乗じた数の合計
イ 「イ 一般病棟入院基本料等の場合」の算定対象病床数(「A307」小児入院医療管理料を算定する病床に限る。)に0.05を乗じた数
なお、相談支援専門員との連携は、相談支援専門員と共同して、患者に対し、患者の心身の状況等を踏まえ導入が望ましいと考えられる障害福祉サービス、地域相談支援又は障害児通所支援や、当該地域において提供可能な障害福祉サービス、地域相談支援又は障害児通所支援等の情報を提供すること。
出典:
A246 入退院支援加算(令和8年診療報酬改定特設サイト)
【回復期リハビリテーション病棟入院料】
問18 「
診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日保医発0305第6号)」の別添1「A308」
回復期リハビリテーション病棟入院料の(17)イに、「当該病棟に入院中の「基本診療料の施設基準等」の
別表第九に掲げる「高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頸髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷の場合」」とあるが、基本診療料の施設基準等(平成二十年厚生労働省告示第六十二号)の別表第九第一号に掲げる「高次脳機能障害」の範囲は、高次脳機能障害者支援法第二条に規定する「疾病の発症又は事故による受傷による脳の器質的病変に起因すると認められる記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、失語、失行、失認その他の認知機能の障害」と考えてよいか。また、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日保医発0305第7号)」第11の2の(4)等に掲げる回復期リハビリテーション病棟における重症の患者の割合に係る「高次脳機能障害と診断された患者(基本診療料の施設基準等別表第九第一号に規定する患者に限る。)」についても同様か。
(答) いずれもそのとおり。
【参考】回復期リハビリテーション病棟入院料 第11の2の(4)当該病棟が回復期リハビリテーション病棟入院料1又は2を算定する場合、重症の患者(別添6の別紙21に定める日常生活機能評価で10点以上又はFIM得点で21点以上55点以下の患者(FIMの測定によることが望ましい。)、高次脳機能障害と診断された患者(基本診療料の施設基準等
別表第九第一号に規定する患者に限る。)又は脊髄損傷と診断された患者(基本診療料の施設基準等
別表第九第一号に規定する患者に限る。)をいう。以下この項において同じ。)が新規入院患者のうち3割5分以上であること。なお、その割合は、次のアに掲げる数をイに掲げる数で除して算出するものであること。
ア 直近6か月間に当該回復期リハビリテーション病棟に新たに入院した患者(第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の患者を除く。)のうちの重症の患者数
イ 直近6か月間に当該回復期リハビリテーション病棟に新たに入院した患者数(第2部通則5に規定する入院期間が通算される再入院の患者数を除く。)
出典:
A308 回復期リハビリテーション病棟入院料(令和8年診療報酬改定特設サイト)
【入院時食事療養等に係る特別食加算(嚥下調整食)】
問24 「疑義解釈資料の送付について(その2)」(令和8年4月1日事務連絡)別添1の問144で示された特別食加算(嚥下調整食)の施設基準に係る「嚥下調整食に関する知識・技術を有する調理師等を養成することを目的とした5時間以上の研修」とは、具体的にどのようなものがあるか。
(答) 現時点では、以下の研修が該当する。
・公益社団法人調理技術技能センターが主催する「調理師のための嚥下調整食研修」
・一般社団法人日本病院調理師協会が主催する「嚥下調整食研修」
問25 特別食加算(嚥下調整食)の施設基準において「嚥下調整食に係る責任者は、嚥下調整食のテクスチャーや調理方法等に関する実習を伴う適切な研修(嚥下調整食に関する専門的な知識及び技術を有する管理栄養士が、研修内容に関与している場合に限る。)を修了した当該保険医療機関の管理栄養士であること」とあるが、問24の調理師等を対象とした研修を既に修了している管理栄養士は該当するか。
(答) 令和7年度までに修了している場合、当面の間は該当する。ただし、令和8年度以降、速やかに当該加算の責任者要件を満たす管理栄養士を対象とした研修を修了することが望ましい。
【ベースアップ評価料】
問2 地方厚生(支)局の都道府県事務所へのベースアップ評価料の施設基準に係る届出に当たって、①法人本部等でまとめて届出書を作成した場合②届出内容を法人内又はグループ内の同一の給与体系に基づく複数の保険医療機関等を通算して区分計算を行った場合において、法人本部等が一括して、各保険医療機関等の所在する地域を所管する地方厚生(支)局の都道府県事務所に届け出を行ってよいか。また、「賃金改善実績報告書」及び「賃金改善中間報告書」の提出に当たっても、同様の取扱いとして差し支えないか。
(答) いずれの場合も不可。各保険医療機関等より、所管の地方厚生(支)局に届け出ること。
問3 ベースアップ評価料により得られる収入を、保険医療機関等において令和8年4月以降に新しく設けた手当に充ててもよいか。
(答) 当該手当が一時的に支払われるものでなく、対象職員に対して、決まって毎月支払われる給与(基本給等の一部)であれば、差し支えない。
問4 ベースアップ評価料の算定期間と、賃金改善の実施期間が異なっても差し支えないか。例えば、ベースアップ評価料を令和8年6月から同年12月まで算定し、この期間にベースアップ評価料により得られた収入を、令和8年6月から令和9年3月までの賃金改善に充ててもよいか。
(答) 原則として不可。ベースアップ評価料の算定期間と賃金改善の実施期間は一致する必要がある。
ただし、令和8年4月から賃金改善を実施する場合にあっては、令和8年6月から令和9年5月までにベースアップ評価料により得られた収入を、令和8年4月から令和9年3月までの賃金改善に充てることとして差し支えない。
問5 ベースアップ評価料を算定する保険医療機関等に勤務する職員が、他の保険医療機関等においても勤務している場合について、ベースアップ評価料における区分計算等についてはどのように考えればよいか。
(答) それぞれの保険医療機関等において、当該職員の勤務実態に応じて、常勤換算等の方法により基本給等総額を按分した上で区分計算を行うこと。
なお、当該取扱いについては、他の保険医療機関等がベースアップ評価料を算定する保険医療機関等(※)であるかに関わらず、同一の取扱いとする。
ただし、法人本部等に所属する職員が、主として保険医療機関等における業務を行っている場合に限り、当該職員を対象職員として区分計算を行うこととし、この場合において、勤務実態に応じた按分は行わない。
また、賃金改善実績報告書については、それぞれの保険医療機関等において算定するベースアップ評価料による賃金改善分のみを計上すること。
※介護報酬における介護職員等処遇改善加算を算定する施設・事業所、障害福祉サービス等報酬における福祉・介護職員等処遇改善加算を算定する障害福祉施設、施設型給付費等における処遇改善等加算を算定する施設・事業所を含む。
問6 ベースアップ評価料の対象職員について、「事務職員」とは具体的に何を指すか。
(答) 主として事務を担当している者(医師事務作業補助者(医療クラーク)、診療情報管理士を含む)を指す。
引用:疑義解釈資料の送付について(その7)(厚生労働省HP)
厚生労働省より公開された資料に合わせて、PT-OT-ST.NETの診療報酬改定特設サイトも情報掲載を進めています。制度改定に向けた準備にご活用ください。