「子育てをしながら、セラピストとしてどう働き続ければいいのか分からない」
「保育園からの呼び出しが多くて、職場に申し訳ない気持ちになる」
「子育てを経験したママやパパは、どうやってその壁を乗り越えたのか知りたい」
そんな悩みを持つセラピストが集まるコミュニティが『リハMAP』です。
2008年に始動したリハMAPは、2026年1月に新体制として再スタートを切りました。その節目として、1月11日に講演イベントが開催されました。
リハMAPの活動内容や大切にしている考え方、参加者が抱える悩み、そして1月11日のイベントで行われた対談の内容をご紹介します。
子育てと仕事の両立に悩まれている方へ、再始動したリハMAPをお届けします。
リハMAPとは?
子育てと仕事の両立に悩むセラピストが、安心してつながりを持てるのが『リハMAP』です。
歴史
2008年 mixiのPTママのコミュニティをもとに『PTママの会』として学術活動をスタート
2015年 『リハビリママ&パパの会(Mama And Papa 通称リハMAP)』へ名称変更
2026年 1月新体制へ
代表の吉井さん自身も、育児とキャリアの両立に悩み、葛藤を経験してきた一人です。吉井氏はイベントの中で、「自分自身の育児と葛藤、壁にぶつかったことがきっかけでリハMAPを立ち上げた」とお話しされました。
そのような背景もあり、リハMAPでは、同じような悩みを抱えるセラピストたちが集まり、悩みを共有しながら、学び合う時間を大切にしています。
活動内容
リハMAPはさまざまな活動をしており、託児付きの勉強会なども開催しています。この勉強会では、理学療法や作業療法の専門知識に関する内容だけでなく、「自分らしさってなんだろう?」といった自己理解に関するテーマも扱われています。
過去には、日本作業療法士協会の会長を講師に迎え、臨床現場での経験や、リハビリテーションの今後についての講義も実施されました。 こうした学びの場に、子どもを預けながら安心して参加できる環境が整っていることも、リハMAPならではの特徴です。
そのほかにも、学会発表や白書の作成、講演・執筆といった活動も幅広く行っています。また、行政や外部団体と連携し、子育て中のセラピストを取り巻く社会的な課題にもアプローチしています。
新コンセプト
リハMAPは、新体制になると同時に、新しいコンセプト「マネジメント&パーソナリティ」を掲げました。
新代表 小貫さん
リハMAPでは、マネジメントは人と関わるすべての人にとって欠かせない視点だと考えています。
家庭の中でも、職場の中でも、そして自分自身と向き合うときにも、マネジメントの力が必要になります。家庭や職場では、それぞれ求められる役割や選択が異なり、置かれた立場も人によって大きく異なります。
だからこそ、自分自身や他の人のパーソナリティを理解し、違いを認め合いながら関わっていく姿勢が大切です。
リハMAPは、マネジメントとパーソナリティの両方を大切にすることで、リハビリテーション職としての自分らしい未来を描いていきたいという気持ちを込めています。
【対談】マネジメント×パーソナリティでつくる私たちの未来地図
ここからは1月11日に行われた対談の内容をご紹介します。登壇者はリハMAP発起人の吉井麻美さん、リハビリテーション科管理者の岡村大介さんです。
吉井さんはパーソナリティ、岡村さんはマネジメントの視点からお話しされました。
ー 仕事と育児の壁
吉井さん 育児と仕事の壁というのは、みんなの共通の話題でずっと変わらないテーマですよね。
家族と仕事のことで言うと、子どもが体調不良の時の調整や、今は365日リハや回復期もありますから日曜出勤の調整が必要になります。保育園が日曜休みだったり、土曜が半日のところもあるので、その辺りで仕事と育児の両立が難しくなります。
あとは自分のことで言うと、患者さんに申し訳ないと感じる精神的な負担や、働いていることで子どもと過ごす時間が少ないんじゃないかという思い。スキルアップしたいのになかなか研修会に参加できない、担当制で休みが取りにくいという悩みを、みなさん抱えています。
その中で、自分たちがどうしたら両立できるのかを考えた時に、いろんな方たちを頼りながら、自分だけじゃない、本当に周りの人たちに頼って育児していいんだという環境を作っていきたいと思っています。
ー 育児は自分を育ててくれる「育自」
吉井さん 育児はやってもやっても履歴書に書けるものではないですし、どこかで誰かに評価されることってなかなかないと思うんですね。
ただ、自分が育児していることは、自分を育てていることになっていると思っています。人を育てるという経験が、仕事でのマネジメントや、物事の取捨選択、タイムマネジメントなど、さまざまな副産物を生んでいると感じています。
子どもたちが手を離れてきた時に、「あの時の経験が今の仕事に繋がっているな」ときっと体感する時がくるのではないかなと思っています。だからこそ、引け目に感じずに、自分の人生にプラスになっていると感じながら生活してほしいなと思います。
ー ワークライフインテグレーション
吉井さん 最近はワークライフインテグレーションという言葉も出てきていますワークとライフ、どっちか選ぶのではなくて、仕事も介護も育児も全て自分の中の経験になっているんです。
リハ職だからこそ、その育児の経験が誰かに伝わったり、介護の経験が誰かに活かせたりするのではないでしょうか。
私としては、人生で経験する全てのライフイベントをプラスのキャリアにしてほしいという思いがあります。
ー 後悔しない人生にするために
吉井さん 育児は日々岐路の連続だと感じています。だからこそ家族や友人など、頼れる人たちと話して悩んで、最終的に自分で決めることが大切です。
子どものせいでも、家族のせいでもなく、最終的には自分が決める。振り返った時に、自分で考えて選択したことが、後悔しない人生を作っていると感じています。
誰かのせいにしないで自分で決めるというところに落とし込んで、一歩を踏み出してもらえたらと思います。
ー 部署のパパママ関連の活動
岡村さん 当院では、私が管理者になった時からパパママを中心にワークライフバランス係が発足しています。目標は、科内のワークライフバランスが保たれ、生き生きと働き続けられる職場を作ることです。
活動内容としては、勉強会の開催ですね。育児に関する就労の制度や労務管理についても勉強会を開いてくれています。
あとはワークライフバランス新聞を発行して、いろんなスタッフの働き方や考え方、出産育児の体験談を全体に共有してくれています。
ー 何事もみんなで作っていく
岡村さん 私が大切にしていることです。組織の成長はみんなで作っていく、スタッフの成長自体が、その組織の成長になるという風に考えています。
僕が考える現場の教育は、個人の特性ですね。どこに強みがあるとか興味があるかっていうところを伸ばしていってあげる。その結果、成長した個性が集合することで、強みを持った組織になるというのが私の考えです。
その個性や強みを伸ばすために必要なことは、自分自身を知ることですね。そのために、どうしたらいいかって言うと、うちの組織ではとにかく何かやりたいと言ったら、とりあえずやってみようという形でやってもらっています。
失敗と成功を積み重ねることで、ぼんやりしている自分をどんどん磨いていって自分の中にある己を見つけることができると思っています。
ー 将来の夢や野望から今できることを逆算する
岡村さん 私は病院の目標の上に個人のキャリアの目標があると思っています。個人のキャリアの目標を確認して、それをいかに業務の中に落とし込んでいくかと言うことが重要だと思っています。
ベクトル合わせの重要性という考え方がありまして、組織が向かっている方向の中に個人個人が考える目標があると思います。
必ずしも、全部が全部同じ方向を向いていないといけないわけではなくて、ある程度組織の方向性があっていれば、それを許容する形でやっていく。当院では、目標が患者さんに向いていればいいと私は言っています。
また、ドリームミーティングという、スタッフの野望とか夢を語ろうという会を行い、ポスターにして院内に掲示しています。私としては、個人の夢もサポートできる組織でありたいと思っています。
ー 恩送り
岡村さん 「恩送り」。私の好きな言葉です。組織の中でいい経験をさせてもらったと感じたら、それを私に返すのではなく、次の人、他の人にも同じように接していただけるといいなと。その連鎖が続いていくと、人間はハッピーになるんですよね。
人から受けた恩を、別の人に送るという恩のバトンリレーですね。これを私はすごく大切にしています。
おわりに
子育てと仕事の両立に悩むセラピストにとって、同じ経験をしている仲間との出会いは、大きな支えになるかもしれません。
リハMAPでは、さまざまな活動を通じて、セラピスト同士がつながる場を提供しています。この記事が、新しい出会いのきっかけになれば嬉しいです。
アーカイブ視聴をご希望の方は下記リンクより簡単なアンケートにご回答いただき、ご覧ください。
引用・参考:リハビリママ&パパの会 公式サイト