厚生労働省は14日、中医協・総会にて「令和8年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(案)」を提示し、承認されました。
改定項目の目次となる「議論の整理」では、リハビリテーションに関連する項目について考えが示されています。
今後、パブリックコメント等を経て、具体的な改定内容となる「個別改定項目」について議論を詰めていく予定です。
【令和8年度診療報酬改定】リハビリテーション関連の主な論点(要約)
◯ 医療従事者の人材確保に向けた取組・リハビリテーション職種を含む医療関係職種の確実な賃上げと評価の見直し
・医療DX(ICT・AI等の活用)による業務の簡素化・効率化の推進
・看護職員と他医療職の協働による病棟業務の新たな評価
・リハ職の専従要件の柔軟化(疾患別リハ・病棟業務の範囲拡大と明確化)
・言語聴覚士の専従要件や実績計算方法の見直し(摂食嚥下機能回復体制加算)
◯ 入院医療・地域包括ケアの推進・回復期リハビリテーション病棟等の施設基準・要件の見直し
・リハビリテーション・栄養・口腔管理の一体的な取組の推進
・リハビリテーション実績指数の算出方法および除外対象患者の基準見直し
・高次脳機能障害患者に対する退院支援体制の要件追加
・入退院支援加算・介護支援等連携指導料の見直し
◯ 質の高い在宅医療・訪問看護の確保・訪問看護記録書の記載内容の明確化と運営基準の新設
・特定の訪問看護ステーションへの指示に対する利益収受の禁止規定
・高齢者住まい等に併設する訪問看護の包括評価体系の新設
・ICTを用いた診療情報活用や、精神科訪問看護の新たな評価
◯ 質の高いリハビリテーションの推進・退院時リハビリテーション指導料の対象患者の見直し
・入院直後から開始するリハビリテーションの評価
・運動器リハビリテーション料等の単位数上限が緩和される対象患者の見直し
・土日祝日におけるリハビリテーション実施体制の新たな評価
・疾患別リハビリテーション料の訓練内容に応じた評価の見直し
・医療機関外における疾患別リハの上限単位数、対象患者の見直し
・リハビリテーション総合計画評価料等の書類簡素化・見直し
・リンパ浮腫複合的治療料の評価の見直し
◯ 質の高い医療の推進・精神科救急等における作業療法士の病棟配置に関する新たな評価
・身体的拘束の最小化に向けた取組への新たな評価と入院料の見直し
・心不全患者に対する早期からの多職種介入と地域連携の評価
・療養・就労両立支援指導料の見直し
・オンライン診療・情報通信機器を用いた療養指導の要件見直し
(以下、原本となる「議論の整理」よりリハビリテーションに関わる事項を一部抜粋)
Ⅰ 物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取りまく環境の変化への対応
Ⅰ-2 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組
Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善
(1) 看護職員、病院薬剤師その他医療関係職種の確実な賃上げを更に推進するとともに、令和6年度診療報酬改定で入院基本料や初・再診料により賃上げ原資が配分された職種についても他の職種と同様に賃上げ措置の実効性が確保される仕組みを構築する観点から、
賃上げに係る評価を見直す。
Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進
(3)
医療機関等における医療DXへの対応及び業務の簡素化を図る観点から、診療に係る様式の簡素化や署名・記名押印の見直し、施設基準等に係る届出や報告事項を見直す。
Ⅰ-2-3 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進
(1) 更なる生産年齢人口の減少に伴って医療従事者確保の制約が増す中でも、患者像に合わせた専門的な治療やケアを提供し、患者のADLの維持・向上等に係る取組を推進するため、重症度、医療・看護必要度の高い高齢者等が主に入棟する病棟において、
看護職員や他の医療職種が協働して病棟業務を行う体制について、新たな評価を行う。
Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化
(3) 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律に規定されている1日当たり勤務時間を踏まえ、常勤職員の柔軟な配置を促進する観点から、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数を見直す。
(4) 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進する観点から、
摂食嚥下機能回復体制加算の施設基準における、言語聴覚士の専従要件や実績の計算方法を見直す。また、療養病棟入院基本料における経腸栄養管理加算について、対象となる患者の要件を見直す。
(5) より柔軟なリハビリテーション提供体制の構築を促進するとともに、病棟内に限らず専門性を活かした指導等を推進する観点から、
疾患別リハビリテーションや病棟の業務に専従の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が従事できる業務の範囲を広げるとともに、明確化する。
Ⅱ 2040年頃を見据えた医療機関の機能の分化・連携と地域における医療の確保、地域包括ケアシステムの推進
Ⅱ-1 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価
Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた医療提供体制の整備
(9)
地域包括医療病棟において、高齢者の中等症までの救急疾患等の幅広い受入を推進する観点から、高齢者の生理学的特徴や頻度の高い疾患を踏まえ、平均在院日数、ADL低下割合及び重症度、医療・看護必要度の基準を見直す。また、医療資源投入量や急性期病棟の併設状況に応じた評価を導入する。更に、
リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組を推進する観点から、加算の体系を見直す。
(10) より質の高い回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、
回復期リハビリテーション病棟入院料、回復期リハビリテーション入院医療管理料及び特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の施設基準及び要件を見直す。
Ⅱ-2 「治し、支える医療」の実現
Ⅱ-2-2 円滑な入退院の実現
(1) 入退院支援において、関係機関との連携、生活に配慮した支援及び入院前からの支援を強化する観点から、
入退院支援加算等の評価や要件を見直す。
(2) 入退院時の支援において、居宅介護支援事業所等の介護支援専門員等との連携及び地域の入退院支援に係る情報共有等の規定に基づいた入院前からの支援を強化する観点から、
介護支援等連携指導料の要件を見直す。
(3) 高次脳機能障害患者に対して退院後も必要な障害福祉サービス等を適切に提供する観点から、
回復期リハビリテーション病棟入院料に高次脳機能障害患者の退院支援体制に係る要件を追加する。
(4) 感染症対策等の専門的な知見を有する者が、介護保険施設等からの求めに応じてその専門性に基づく助言を行うことを促進する観点から、感染対策向上加算等の要件を見直す。
Ⅱ-2-3 リハビリテーション・栄養管理・口腔管理等の高齢者の生活を支えるケアの推進
(1) リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組を更に推進する観点から、
リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定要件を見直す。また、地域包括医療病棟の
リハビリテーション・栄養・口腔連携加算についても同様の見直しを行う。更に、
地域包括ケア病棟においてもリハビリテーション・栄養・口腔連携加算を算定可能とする。
(2) 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進する観点から、
摂食嚥下機能回復体制加算の施設基準における、言語聴覚士の専従要件や実績の計算方法を見直す。また、療養病棟入院基本料における経腸栄養管理加算について、対象となる患者の要件を見直す。(Ⅰ-2-5-(4)再掲)
Ⅱ-5 質の高い在宅医療・訪問看護の確保
(1) 利用者の状態像を適切に把握し、適正な訪問看護の提供を推進する観点から、訪問看護ステーションに作成を求めている
指定訪問看護の実施に係る記録書の記載内容の明確化等を行う。
(2) 適切な訪問看護提供体制の構築や、指定訪問看護事業者の適正な手続きの確保等を推進する観点から、指定訪問看護に係る安全管理に関する内容や適正な請求等について、
指定訪問看護の運営基準に新たな規定を設ける。
(3) 健康保険事業の健全な運営を確保する観点から、療養担当規則において、
保険医療機関が、特定の訪問看護ステーション等を利用するべき旨の指示等を行うことの対償として、財産上の利益を収受することを禁止する規定を新たに設ける。
Ⅱ-5-2 重症患者等の様々な背景を有する患者への訪問看護の評価
(1) 住み慣れた地域で療養しながら生活を継続することができるよう、過疎地域等における訪問看護について、遠方への移動負担を考慮し、
特別地域訪問看護加算の対象となる訪問の要件を見直す。
(3) 在宅での療養を行っている利用者に対して、訪問看護ステーションの看護師等が指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行う際に、当該利用者の医療・ケアに携わる関係職種が
ICTを用いて記録した診療情報等を活用した場合について、新たな評価を行う。
(4) 精神科訪問看護の質の向上を推進する観点から、地域の関係者と連携して支援ニーズの高い利用者に対して
精神科訪問看護を提供する等の役割を担う訪問看護ステーションについて、機能強化型訪問看護ステーションとして
新たな評価を行う。
(6) 適切な指定訪問看護に係る管理を推進するとともに、利用者のニーズや療養環境の多様化に適切に対応するために、訪問看護管理療養費の評価を見直す。
(7) 訪問看護基本療養費(Ⅱ)等やその加算について、1月当たりの訪問日数や建物内の訪問看護実施人数等に応じたきめ細かな評価に見直す。
(8)
高齢者住まい等に併設・隣接する訪問看護ステーションは、居住者に短時間で頻回の訪問看護を効率的に実施できることを踏まえ、
訪問看護療養費に包括で評価する体系を新設する。
Ⅱ-7 医療従事者確保の制約が増す中で必要な医療機能を確保するための取組
Ⅱ-7-1 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進(再掲)
(Ⅰ-2-2を参照)
Ⅱ-7-2 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進(再掲)
(Ⅰ-2-3を参照)
Ⅲ 安心・安全で質の高い医療の推進
Ⅲ-1 患者にとって安心・安全に医療を受けられるための体制の評価
(1) 治療と仕事の両立を推進する観点から、
療養・就労両立支援指導料について、対象患者、算定可能な期間及び評価を見直す。
(14) 心不全治療による再入院予防を推進する観点から、
急性心不全で入院した患者に対して、早期から多職種による介入を実施し、退院後も必要な治療を地域で連携して実施した場合について、新たな評価を行う。
Ⅲ-1-1 身体的拘束の最小化の推進
(1)
身体的拘束の最小化に向けた取組を更に推進する観点から、
質の高い取組を行う場合の体制について新たな評価を行うとともに、
身体的拘束を行った日の入院料の評価を見直す。
(2) 認知症を有する患者へのアセスメントやケアの充実を図りながら身体的拘束の最小化の取組を推進する観点から、
認知症ケア加算について評価を見直す。
Ⅲ-2 アウトカムにも着目した評価の推進
(1) 回復期リハビリテーション病棟において、より質の高いアウトカム評価を推進する観点から、
リハビリテーション実績指数の算出方法及び除外対象患者の基準を見直す。
Ⅲ-2-1 データを活用した診療実績による評価の推進
(1) データに基づくアウトカム評価を推進する観点から、
データ提出加算に係る届出を要件とする入院料の範囲を拡大する。
(2) 外来医療について、データに基づく適切な評価を推進する観点から、
データ提出に係る評価を見直す。
Ⅲ-3 医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制の評価
(1) 医療DX関連施策の進捗状況を踏まえ、普及した関連サービスの活用を基本としつつ、更なる関連サービスの活用による質の高い医療の提供を評価する観点から、
診療録管理体制加算、医療情報取得加算及び医療DX推進体制整備加算の評価を見直す。
Ⅲ-3-2 外来、在宅医療等、様々な場面におけるオンライン診療の推進
(1) 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」及び情報通信機器を用いた診療の実態を踏まえ、
情報通信機器を用いた診療の施設基準に、チェックリストのウェブサイト等への掲示及び医療広告ガイドラインの遵守等を追加する。
(3) D to P with Dによるオンライン診療について、期待される役割や調査結果を踏まえ、
遠隔連携診療料の対象疾患を見直すとともに、
入院及び訪問診療における活用ついて、新たな評価を行う。
(8)
情報通信機器を用いた療養指導について、対面と組み合わせた実施を適切に推進することにより、患者のセルフケア支援の充実や負担軽減を図る観点から、在宅療養指導料の算定対象者のうち、在宅自己注射指導管理料を算定している患者及び
慢性心不全の患者に係る要件を見直す。
Ⅲ-4 質の高いリハビリテーションの推進
(1)
退院時リハビリテーション指導料の目的を踏まえた適切な患者への指導を推進する観点から、
対象患者について要件を見直す。
(2) より質の高い生活機能回復に資する取組を促進する観点から、
医療機関外における疾患別リハビリテーション料の上限単位数を見直す。
(3) 適切な疾患別リハビリテーション料の算定を推進する観点から、
運動器リハビリテーション料等に係る算定単位数の上限が緩和される対象患者を見直す。
(4) より質の高いリハビリテーションを推進する観点から、
疾患別リハビリテーション料について、訓練内容に応じた評価に見直す。
(5) リハビリテーションに係る書類の簡素化の観点から、
リハビリテーション総合計画評価料の評価等を見直す。
(6) リンパ浮腫複合的治療料について、より実態に即した評価を行う観点から、
リンパ浮腫複合的治療料の評価を見直す。
Ⅲ-4-1 発症早期からのリハビリテーション介入の推進
(1) 入院直後における早期リハビリテーション介入の推進及び効果的なリハビリテーションを推進する観点から、
より早期に開始するリハビリテーションを評価する。
Ⅲ-4-2 土日祝日のリハビリテーション実施体制の充実
(1) 休日であっても平日と同様のリハビリテーションを推進する観点から、
休日におけるリハビリテーションについて、新たな評価を行う。
Ⅲ-5-4 質の高い精神医療の評価
(1) 多職種の配置による質の高い精神医療の提供を推進する観点から、急性期等の入院料における精神保健福祉士、
作業療法士又は公認心理師の
病棟配置について新たな評価を行う。
引用:
■ 中央社会保険医療協議会 総会(第641回)(厚生労働省HP)
・これまでの議論の整理(案)について(PDF)
厚生労働省より公開された資料に合わせて、PT-OT-ST.NETの診療報酬改定特設サイトも情報掲載を進めています。制度改定に向けた準備にご活用ください。