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2026.07.17

「地域医療構想策定ガイドライン」を正式発出 ー 回復期機能はなくなるのか?



厚生労働省は、都道府県が2040年に向けて良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制を確保するための「地域医療構想策定ガイドライン」を発出しました。

これまで検討会で議論されてきた内容が、2026年3月に社会保障審議会医療部会で審議・承認されたことを受けたもので、都道府県は今後、本ガイドラインに基づき地域医療構想調整会議での協議を進めることになります。

PT-OT-ST.NETでは、2024年に「新たな地域医療構想等に関する検討会」が設置された当初から、リハビリテーションに関わる議論の動向を継続して追い続けてきました。

これまでお伝えしてきた情報を踏まえて、正式発出された「地域医療構想策定ガイドライン」について要点を整理しました。




とりまとめから正式発出へ

新たな地域医療構想については、2024年3月に設置された「新たな地域医療構想等に関する検討会」で継続的に議論が行われ、その内容を踏まえた医療法等の一部を改正する法律(2025年法律第87号)が成立しました。

その後、2025年7月に設置された「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」で具体的内容が議論され、2026年3月に「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」がまとまり、同月の医療部会で審議・承認されました。

「新たな地域医療構想」とりまとめを了承、リハビリテーションは「地域のインフラ」へ

2026.03.17

今回のガイドラインは、このとりまとめの内容を踏まえて作成されたものであり、都道府県が実際に地域医療構想を策定・推進する際の実務上の指針となります。

ガイドラインでは、新たな地域医療構想を、従来の入院における病床機能の分化・連携にとどまらず、外来医療・在宅医療、介護との連携、人材確保等を含めた「地域の医療提供体制全体の課題解決」を図るためのものと改めて位置づけています。


医療機関機能の確保とリハビリテーションの位置づけ

ガイドラインでは、医療機関ごとに地域の中でどのような役割を担うかを示す「医療機関機能」という分類が新たに導入されました。

これは、病床ごとの患者の状態像を示す「病床機能」(高度急性期・急性期・包括期・慢性期)とは別の枠組みで、病院単位で「どの機能を担う医療機関か」を整理するものです。

具体的には、医療機関が担う機能を「高齢者救急・地域急性期機能」「急性期拠点機能」「在宅医療等連携機能」「専門等機能」の4区分(大学病院本院は別途「医育及び広域診療機能」)に整理しています。

回復期リハビリは “専門等機能” に分類、「新たな地域医療構想」リハビリテーション機能を再評価

2026.01.22

このうち高齢者救急・地域急性期機能を担う医療機関には、救急搬送の受入に加え、入院早期からのリハビリテーション・退院調整等を行い、早期の在宅復帰につなげることが役割として明記されました。

また「専門等機能」には、集中的なリハビリテーションを提供する医療機関が含まれ、入院時のリハビリテーションに加えて外来・在宅で必要とする患者への提供も期待される機能として位置づけられています。

在宅医療等連携機能を担う医療機関についても、24時間対応の一環として訪問リハビリテーションを含む多職種連携によるバックアップ体制の構築が求められており、リハビリテーション専門職が地域の複数の機能区分にまたがって関わることが前提とされています。


「回復期」がなくなるわけではない ー 高齢者救急を取り込んで「包括期」に再編

ガイドラインでは、病床機能報告における区分名についても変更が明記されました。

【地域医療構想】病床機能における「回復期」の定義・名称変更を議論【厚労省】

2024.10.28

「回復期」という区分がなくなるわけではなく、これまで「急性期」の一部として扱われていた高齢者救急患者向けの機能を新たに取り込む形で、「包括期」という区分に再編されます。

従来の「回復期機能」については、「高齢者等の急性期患者について、治療と入院早期からのリハビリテーション等を行い、早期の在宅復帰を目的とした治し支える医療を提供する機能」及び従来の「回復期機能」を併せて、「包括期機能」として位置付けることとしている。

引用:厚生労働省.地域医療構想策定ガイドライン


これは病床機能報告における4区分(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)のラベルが「回復期」→「包括期」に変わり、その対象範囲が高齢者救急患者への包括的な医療まで広がる、という変更であり、回復期リハビリテーション病棟入院料や地域包括ケア病棟入院料といった診療報酬上の枠組み自体がなくなるわけではありません。

実際、ガイドラインが示す病床機能報告の目安でも、これらの入院料は引き続き「包括期機能」に対応するものとして位置づけられています。

「医療機関機能」(急性期拠点機能・高齢者救急・地域急性期機能など)と「病床機能」(高度急性期・急性期・包括期・慢性期)は別の枠組みであり、両者を混同しないよう注意が必要です。




必要病床数の算出に用いる「病床稼働率」が確定

必要病床数の推計方法についても具体的な数値が示されました。

現在の病床利用率のうち低い外れ値を除いた中央値をもとに、算出に用いる病床稼働率を

● 高度急性期:78%
● 急性期:83%
● 包括期:87%
● 慢性期:92%

とした上で、医療DX等による効率化を見込み、高度急性期・急性期に+1%、包括期に+2%、慢性期に+0.5%をそれぞれ加算する方針が明記されました。

あわせて、75歳以上の患者のうち5割を急性期需要、残り5割を包括期需要として見込むことも確認されています。

75歳以上の急性期患者『5割』は包括期で算出—入院料別の病床機能報告目安も提示

2026.02.03


2040年に向けた確定スケジュール

ガイドラインでは、地域医療構想の策定・推進スケジュールも具体的に示されています。

● 〜2027年度上半期

医療需要の見通しや医療提供体制の現状分析、構想区域の点検・見直し


● 〜2028年度

急性期拠点機能を担う医療機関名を含め、各医療機関が2040年に担う医療機関機能、必要病床数、入院・外来・在宅医療・介護連携・人材確保の取組を協議し、地域医療構想として策定


● 〜2035年度

取組の推進を経て、医療提供体制構築の一定の成果を確保

必要病床数は人口推計や受療率の変化を反映するため、2030年・2036年の医療計画見直しのタイミングにあわせて改めて見直される予定です。




「議論の段階」から「実行の段階」へ

新たな地域医療構想は、これまで検討会での議論やとりまとめとして報じられてきましたが、今回のガイドライン発出により、都道府県が実際に地域医療構想調整会議での協議を進める段階に移りました。

各医療機関の機能決定は遅くとも2028年度までに行われる予定であり、決して遠い未来の話ではありません。

リハビリテーションについては、高齢者救急・地域急性期機能、専門等機能、在宅医療等連携機能のいずれにおいて、入院早期からの介入や退院支援、訪問リハビリテーションの担い手としての役割が明記されました。自施設がどの機能を担うかによって今後の業務体制が左右される可能性も考えられます。

「回復期」が「包括期」という名称に変わる点も含め、自分が所属する施設が、所在する地域でどのような協議が進んでいるか、情報を確認することは重要といえます。

引用・参考
▪️地域医療構想策定ガイドライン(厚生労働省医政局)

関連タグ
地域医療構想 回復期リハビリテーション 医療DX ガイドライン
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