日本赤十字社は日本理学療法協会と連携し、「理学療法ハンドブック」のウクライナ語版を制作し、ウクライナにおけるリハビリテーションの普及活動に活用されています。
武力紛争が続くウクライナでは、医療施設への攻撃やスタッフ不足により、リハビリテーションを必要とする人々の日常が脅かされています。
日本赤十字社(以下、日赤)によれば、戦闘による負傷のみならず、長引く戦禍での生活環境悪化に伴い、リハビリテーションを必要とする方は増加の一途を辿っています。
こうした過酷な状況下で支援を行うべく、日赤からはこれまで3名の理学療法士(PT)が現地へ派遣されました。その一人である栗山赤十字病院の理学療法士・鈴木さんは、ウクライナ赤十字社(以下、ウクライナ赤)による訪問リハビリテーションの開始にあたって技術支援に従事されました。
しかし、深刻な人手不足の中で支援をウクライナ全体へ行き渡らせるには限界があり、鈴木さんは「市民へのリハビリ普及啓発が急務である」と提案しました。
そこで鈴木さんが活用したのが、日本理学療法士協会(以下、理学療法士協会)が制作した「理学療法ハンドブック」でした。
「理学療法ハンドブック」は、国民が抱える健康の悩みに寄り添い、疾病予防・健康増進をわかりやすく伝えることをコンセプトとして、2016年から日本理学療法士協会の広報事業として取り組まれてきました。
現在までに全18シリーズが発刊され、健康寿命について理解を深めると共に理学療法を広く伝えるツールとして、行政機関や公開講座、地域の健康教室などで活用されています。
今回、鈴木さんからの提案を受けて、日本理学療法士協会、ウクライナ赤十字社、翻訳者が連携し、現地の状況に合わせた修正を重ねること13ヶ月。空襲警報が続く緊迫した状況下で、ついに2025年12月、ウクライナ語版が完成しました。
完成したハンドブックはウクライナ赤十字社によって、現地でのリハビリテーション普及活動に活用される予定です。
■ 理学療法士・鈴木さん コメント
私が初めに日本理学療法士協会に相談してから、2025年12月にウクライナ語版が完成するまで、実に13か月がたちました。ご協力いただいた理学療法士協会の皆さまをはじめ、粘り強く取り組んだウクライナ赤、日赤の関係者の成果だと感じています。ウクライナ赤のスタッフは連日の空襲警報のなか、緊張と疲労の強い日々を過ごしながら、他の業務と並行して長い作業を続けてきました。その努力に心から敬意を表します。この冊子がウクライナの皆さんの暮らしに少しでも役立つことを心から願っています。
引用:ウクライナ人道危機 日本理学療法士協会の協力のもと、リハビリの普及啓発へ(日本赤十字社HP)
引用・参考
■ ウクライナ人道危機 日本理学療法士協会の協力のもと、リハビリの普及啓発へ(日本赤十字社 公式HP)
■ 理学療法ハンドブック(日本理学療法士協会 HP)