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2025.10.20

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の国家資格デジタル化、2026年国家試験合格者への影響は?



理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の免許手続きが、いよいよオンライン化に向けて動き出しています。

これまで都道府県を経由して紙で行っていた申請が、マイナポータルを通じてデジタルで完結するようになる予定です。

本記事では、制度の最新動向と法令上の仕組みを整理し、2026年(令和8年)国家試験への影響についても解説します。


1. 国家資格のオンライン化のスケジュール

デジタル庁は、行政手続のデジタル化の一環として「国家資格等のオンライン・デジタル化」を進めています。

当初のスケジュールとして、 2024年9月の記事(PT-OT-ST.NET掲載)では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の免許申請が2024年11月以降に開始予定とされていました。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の国家資格デジタル化、2024年11月以降から手続き開始

2024.09.09

しかし、 2025年7月時点の最新資料では「令和8年度以降の申請から順次開始」とされています。システム調整や省庁間連携に予想以上の時間を要しているものと考えられます。

このため、当初予定されていた2024年度内の開始は、少なくとも半年から1年程度後ろ倒しとなっています。




2. オンライン化で何が変わるのか?

デジタル庁は、国家資格デジタル化の目的について、資格保有者の利便性向上と行政機関側の事務効率化を示しています。

資格保有者等にとっては、各種申請手続における添付書類の省略等とマイナポータルを活用した資格の証明が、行政機関等にとっては資格管理事務の効率化と資格情報の正確性の担保が実現できることとなります。

(出典:デジタル庁「国家資格等のオンライン・デジタル化」


これまで都道府県で紙書類を確認し、厚生労働省へ送付していた流れが、オンライン化によって本人確認から支払いまで一元化されるようになります。

これにより、「申請者の利便性」と「行政側の事務効率化」が両立することが期待されています。


3. 登録までの迅速化は進むのか

制度の目的として、「資格情報の正確性を担保し、資格管理事務を効率化する」ことが示されています。

つまり制度設計上は、「審査や登録の迅速化」そのものが目的として明記されているわけではありません。

一方で、都道府県と厚生労働省の間で行われていた紙書類の確認・郵送・手入力といった工程が自動化されることで、結果的に登録処理のスピードが向上することが考えられます。

さらにデジタル共通基盤を作成するために、共通化を推進するために定められた方針「国家資格等情報連携・活用システムの利用拡大に係る共通化推進方針」においては、国家資格等のオンライン・デジタル化により、メリットとして「審査の迅速化」が期待できるとされています。


このように、政策目的として明記されているのは正確性と効率化ですが、迅速化もそれに付随して期待できると考えられます。現時点では、具体的な短縮期間などの数値的な公表はありません。


4. 2026年(令和8年)国家試験への影響

来年の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の国家試験は、下記のとおり予定されています。

令和8年(2026年)の国家試験実施日程:

● 理学療法士・作業療法士(第61回)
 実施日 :令和8年2月23日
 合格発表:令和8年3月23日

● 言語聴覚士(第28回)
 実施日 :令和8年2月21日
 合格発表:令和8年3月26日

デジタル庁の資料では、理学療法士などの医療系資格は「令和8年度以降の申請からオンライン化」とされています。

令和8年の国家試験合格者は、理学療法士・作業療法士については従来通り都道府県を通じて厚生労働大臣に免許を申請し、それに基づき登録済証(はがき)が交付される流れとなります。

現時点での資料によると、オンライン・デジタル化については、令和8年の合格者には直接の影響はないとみられます。


5. 理学療法士・作業療法士免許の登録の法的仕組み

理学療法士・作業療法士の免許登録は、「理学療法士及び作業療法士法(昭和39年法律第137号)」に基づいて行われ、第6条には次のように規定されています。

(登録及び免許証の交付)
第六条 免許は、理学療法士国家試験又は作業療法士国家試験に合格した者の申請により、理学療法士名簿又は作業療法士名簿に登録することによって行う。

(出典:理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年法律第百三十七号)


また、施行令第2条には、免許申請は住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に提出することが定められています。

したがって、免許の登録権限は厚生労働大臣にあり、都道府県は申請の経由機関として位置づけられています。

今回の国家資格オンライン化では、都道府県による経由事務の廃止など、登録手続きの見直しが検討されています。

今後、施行令等の改正により、免許登録の制度的な構造が変更される可能性があります。




6. 手続きが必要となる主な場面

理学療法士・作業療法士が法令に基づいて手続きを行う必要があるのは、次のような場合です。



これらの手続きは、今後マイナポータルを通じたオンライン申請に移行する見込みです。


7. まとめ

理学療法士・作業療法士の免許登録は、法第6条に基づく「厚生労働大臣による登録制」であり、法的枠組みは変わらず、手続きのデジタル化だけが進みます。

国家資格のオンライン化によって、確認手間の削減、登録までの時間短縮、登録情報の正確性向上が期待されています。

令和8年の国家試験合格者は従来どおり紙申請になると予測されますが、令和9年度以降は完全オンライン化となる可能性があります。

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の免許制度は、デジタル技術の導入によって新たな段階へと進もうとしています。

引用・参考資料
国家資格等オンライン・デジタル化の開始について(デジタル庁)
国家資格等のオンライン・デジタル化(デジタル庁)
国家資格等情報連携・活用システムの利用拡大に係る共通化推進方針(内閣官房)
理学療法士及び作業療法士法(e-Gov)
理学療法士及び作業療法士法施行令(e-Gov)

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