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2025.11.18

家庭で育む「発達の土台」――専門職が伴走する新しい支援のかたち



はじめに:家庭での「発達支援」が必要とされる背景

文部科学省の全国調査(2023年)によれば、小中学校の通常学級に在籍する児童のうち、8.8%(約77万人)が知的発達に遅れはないものの、学習面または行動面で著しい困難を示し、特別な教育的支援が必要とされています¹⁾。

「児童発達支援」と「放課後等デイサービス」の事業所数は年々増加し、2023年時点でそれぞれ13,412か所、21,122か所に達しています²⁾。しかし、それでも供給が追いつかず、療育を希望しても受けられない"療育難民"が非利用者のうち48.6%に上るとの報告もあります³⁾。

このように施設は増えているものの、利用希望者がそれを上回り、「支援を待つ期間=家庭で過ごす期間」が長期化しています。その間、専門的支援を受けられない子どもも多い状態です。その結果、一般的な運動教室や体操教室を選ぶ家庭も増えていますが、感覚統合や姿勢などの専門的評価までは行われにくいのが現状です。

このギャップを埋めるため、専門職が家庭やオンラインを通じて支援に関わる重要性が高まっています。




へやすぽの特徴:PT・OTによるオンラインでの支援

一般的に、運動教室や体操教室では「できるようになること」自体を目的とし、動作を繰り返し練習することが多いです。一方で、へやすぽでは、"できるようにする前に、なぜできないのか"を探るアプローチを取ります。

理学療法士や作業療法士が、動作の獲得過程を考慮した上で、発達の仕組み(姿勢や身体の使い方など)から評価し、子どもの発達段階に応じた支援を行います。

特に、運動が苦手・姿勢が崩れやすい・集中が続かないといったお子さんに対して、"なぜそうなるのか"を見立て、家庭でできる成長支援を提供しています。




実際の評価はどう行うのか

まず、保護者の方へのヒアリングで、家庭生活・学校生活・習い事など、子どもが関わるすべての場面について詳しく伺います。「苦手なこと」だけでなく、「得意なこと」「好きな遊び」「よく取る姿勢」なども含めて整理し、発達の全体像を捉えます。

次に、オンラインレッスンを通して子どもの動作を観察します。姿勢やバランスの取り方、体の使い方、動作の組み立て方などを細かく見ていき、日常生活での様子と照らし合わせながら分析します。

こうして得られた情報をもとに、「今の発達段階で何が育っていて、どこにサポートが必要か」を整理し、次のステップとなるトレーニング内容を決定します。




評価からトレーニングが決まる"メニューの考え方"

へやすぽのメニュー設計は、発達のピラミッドの考え方を基盤にしています。これは、「下の階層=感覚や姿勢」といった土台が発達することで、「上の階層=運動・学習・社会性」が安定して育つという考え方です。

評価で明らかになった課題を、このピラミッドのどの階層に位置づけるかを整理し、根本原因に近い層からアプローチを始めます。


症例紹介:1名の実例

【縄跳び】

<初期評価>

・前跳び一回跳びは可能
・連続で2回以上跳ぶことが困難

<考えられる要因>

・手足の協調運動の拙劣さ
・タイミングを合わせてのジャンプが困難
・連続したジャンプが困難

<実施したプログラム例>

・タオルを使用した練習
・フープなどを用いた様々なバランス練習

<結果>

・前跳びを連続40回以上スムーズに跳べるようになった。

<経過・変化プロセス(6ヶ月)>

・縄跳びの前跳びを10回跳ぶ:COPM遂行度2→9/満足度5→9

※COPM:カナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure)


「へやすぽ」にお問い合わせされる方の悩みの傾向

相談の多くは"活動・参加レベル"で表出されます。特に多いのが、「姿勢が悪い」「縄跳びが跳べない」「友達と上手く遊べない」「文字を上手く書けない」といった相談です。

そしてその背景には姿勢・感覚・身体図式・自己調整力といった"見えにくい要素"があります。

へやすぽでは根底で必要となってくる発達の土台を見つけ、感覚機能面での要因まで深掘り、介入を進めていきます。


さいごに:オンラインで支援する、PT・OTの新しい姿

病院に所属するだけが、PTやOTなどの専門職の役割ではなくなりつつあります。

活躍の場はオフラインからオンラインへと広がり、家庭にも伴走できる時代になりました。

子どもと家族の生活に寄り添い、支援を届けるという、PTやOTの新しい価値が生まれています。


へやすぽについて

へやすぽでは、オンラインを通じて、世界中の家庭に専門的な支援を届けています。

小児分野未経験の方でも、発達支援という知識をつけ、新しいフィールドで挑戦したいPT・OTを募集中です。

働く場所やスタイルに縛られず、これまで培ってきた臨床のスキルをそのままご家庭へ届けたい方は、ぜひ一度お問い合わせください。

詳しくは下記をご覧ください。


引用・参考文献
1)文部科学省初等中等教育局特別支援教育課. (2023年12月13日). 『通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について』. 文部科学省.
https://www.mext.go.jp/content/20230524-mext-tokubetu01-000026255_01.pdf

2) 厚生労働省『令和5年(2023年)社会福祉施設等調査の概況』(2024年公表)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/23/index.html

3) PAPAMO株式会社.(2025年6月30日). 『全国療育調査:支援を希望するも受けられない"療育難民"が48.6%と判明』. PR TIMES.
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000076936.html

この記事を書いた人

PAPAMO株式会社

家庭にいる子どもの発達支援をするオンラインサービス「へやすぽ」を運営。「誰もが自分らしさを育める土台を作る。」をミッションに、運動が苦手な子どもたちにオンラインでリハビリテーション専門職がサポートするサービスを提供しています。「へやすぽ」に興味がある方は是非お気軽にお問い合わせください。

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