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2025.11.21

【PT協会】5.5%以上の賃上げ・疾患別リハ10%引き上げ要望

日本理学療法士協会は11月19日、自民党にて開催された「予算・税制等に関する政策懇談会」にて、2025年度補正予算および2026年度予算・税制改正に関する要望書を提出しました。

今回の要望では、6項目のうち「理学療法士の確実な処遇改善」「 経済・物価動向等を踏まえた公定価格の引き上げ」の2点を緊急重点要望として提言しました。




賃上げの未達成を指摘、最低5.5%以上の賃上げ<緊急重点要望>


リハビリテーション専門職団体協議会が令和6年度報酬改定後に実施した調査では、今期現金給与総額の引き上げを実施した施設は医療施設66%、介護施設43%に留まっていました。

またベースアップによる実施率は、医療施設で26%と極めて低い状況であることをリハ専門職協議会は指摘しました。

さらに、ベースアップが実施された場合でも、多くが5千円/月未満、または5千円/月以上〜1万円/月未満の昇給に留まり、物価上昇に追いついていないことが示されました。



これに対し、連合(日本労働組合総連合会)は、消費者物価指数が前年比2.7%上昇していることから、「賃上げ分3%以上、定昇相当分を含め5%以上」の基本構想の実現を目指しています。

PT協会は、これらを考慮し、理学療法士の確実な処遇改善として「物価上昇を上回る最低5.5%以上の賃上げ」を政権与党に要望しました。

要望書では、理学療法士の平均年収(367万円)は、全産業平均(403万円)と比較して36万円の差があり、医療・介護・福祉すべてのリハビリテーション専門職の格差を是正する必要があると訴えています。




疾患別リハビリテーション料を総合的に10%引き上げ<緊急重点要望>

日本理学療法士協会は、平成18年度に疾患別リハビリテーション料が導入されて以降、約20年間ほとんど報酬点数が変わっていないことを指摘しました。

その点、人件費を上げられないのであれば、疾患別リハビリテーション料を10%引き上げることで利益を増加させる必要性について言及しました。

これにより病院経営を安定させ、全産業平均年収に届くだけの賃上げを達成する年間利益(約1,202万円)を確保するための根拠となる試算を示しました。






60年変わらぬ「資格法」の改正に向けて、検討会設置を要望

同協会は、理学療法士法・作業療法士法が制定されてから60年が経過し、理学療法士の役割は時代とともに変化してきたことを踏まえ、資格法の在り方に関する検討会を設置することを要望しました。

「公衆衛生」「保健指導」「健康予防」への寄与や、必要な評価業務の明記、世界水準に準拠した4年制教育の明記など、時代の変化に合わせた法改正に向けた検討を求めました。



また、NICU(新生児集中治療室)機能強化事業における理学療法士の活用や、尿失禁に対する理学療法の推進、退院後早期の訪問リハビリテーション提供体制等の充実を要望しました。

これらを推進することにより、医療・介護保険財源の安定化に向けた理学療法提供体制の充実に対してもさらなる強化を求めました。


税制に関する重点要望

「税制」については、「医療・福祉」の平均賃金が全産業のうち4番目に低い水準にあることを受け、処遇改善を後押しするための税制優遇措置を求めました。

その上で、へき地でのサービス利用を支援する新たな措置として、人材確保を目的とし、へき地の医療機関・介護事業所等で従事する理学療法士等に対する所得税軽減措置を要望しました。

これに加え、へき地への人材供給の選択肢を広げるため、労働者派遣法の特例措置において理学療法士を追加する法制度上の要望も併せて提案しています。



また、2025年度の要望書で提案した、健康経営に資する企業に対する継続的な法人税等への優遇措置を導入することも引き続きの要望を提案しています。

今回は、効果を示す根拠となる研究データや産業保健における理学療法士の活用事例が紹介されました。

同協会は当日の様子として国会議員のコメントを公式HPに掲載しています。

国会議員からは「介護・医療分野においては、要望というより怒りに強い印象であり、責任もって取り組むべき。」、「新総理のもと積極財政で期待感高まっているものの、十分な手当ができないとなった時、希望から絶望へと変わることで、大変な反動になることを肝に銘じるべき。」といった、政党としての危機感についても力強いご発言をいただきました。

本会は、引き続き政府与党ならびに関係省庁に対する要望活動を通じて、国民の医療・保健・福祉の増進と、理学療法の推進や充実、処遇改善などを働きかけてまいります。

引用:日本理学療法士協会公式HP





【要望事項】


Ⅰ 予算に関する要望6項目(緊急重点要望2項目)

1)医療・介護・福祉における理学療法士の確実な処遇改善<緊急重点要望>
2)経済・物価動向等を踏まえた公定価格の引き上げ<緊急重点要望>
3)医療・介護保険財源の安定化に向けた理学療法提供体制の充実
4)国が認める登録理学療法士制度、認定・専門理学療法士制度の確立と社会保障に資する評価
5)施行から約60 年に及び改正されていない理学療法士の資格法の在り方に関する検討会の設置
6)リハビリテーション課の新設とリハビリテーション政策を担う担当部局への理学療法士の配置

Ⅱ 税制に関する要望5項目(重点要望3項目)

1)医療従事者の処遇改善に向けた税制優遇措置の導入<重点要望>
2)へき地でのサービス利用を支援する新たな税制措置<重点要望>
3)健康経営に資する企業への継続的な税制優遇措置の検討<重点要望>
4)医療・介護分野におけるDX推進への継続的な税制優遇措置
5)災害対応用機器の取得・維持に係る税制優遇措置の創設

引用・参考
■ 自民党「予算・税制等に関する政策懇談会」に2025 年度補正予算および2026年度予算・税制改正に関する要望書を提出しました(日本理学療法士協会HP)

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処遇改善 要望書 日本理学療法士協会
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