2024年度の診療報酬改定で新設された「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」の届け出率が、わずか9.0%にとどまり、制度の活用が進んでいない実態が厚生労働省の調査により明らかとなった。
厚生労働省は、2024年度の診療報酬改定の影響を調査することを目的に、対象施設に調査を実施。その結果について、5月22日に開催された
入院・外来医療等の調査・評価分科会で報告した。
急性期医療においては、ADLの維持向上を目的に「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算(1日につき120点)」が新設されたが、加算を届け出ていると回答した医療機関は9.0%にとどまる結果となった。
加算を届けていない理由については、「専従の理学療法士、作業療法士または言語聴覚士を2名以上配置することが困難(56.3%)」が最も多く、次いで「土日祝日における1日あたりの疾患別リハビリテーション料の提供単位数が平日の提供単位数の8割以上を満たさないため(53.9%)」が続いた。
現場としては、リハ・栄養・口腔連携加算が目指す多職種連携の強化そのものには意義を感じている一方、「1日あたり120点では土日対応の専門職配置が賄えない」「休日対応がネックになっている」との意見も挙がっており、制度設計と現場の実態の間に大きなギャップがあることが指摘された。
加算の取得において、人員配置要件、休日対応といった施設基準の要件を満たすことが高いハードルとなっていることが浮き彫りになった。
同時改定となった介護報酬改定においてもリハ・栄養・口腔連携の一体的な取組みが推進されており、理念を現場に浸透させるための実践的な支援も始まっている。日本健康・栄養システム学会は「高齢者の口から食べる楽しみをいつまでも!!」と題した手引書を公開し、リハビリ・栄養・口腔の一体的な取り組みの方法を具体的に示している。
この手引書では、PDCAに基づく多職種連携の実践や評価手法が提示されており、実際に取り組みを導入している施設では、職種間の情報共有の活性化やケア目標の統一といった前向きな効果も報告されている。
2026年度の診療報酬改定に向けて、新設した加算の実効性を高めるために、要件の見直しを含めて、中医協でどのような議論が進められるのか注目される。
引用・参考
◾️令和7年度第2回入院・外来医療等の調査・評価分科会 議事次第(厚生労働省HP)
▽ 診調組 入-1(PDF)