8月6日、中央社会保険医療協議会 総会(中医協)にて、「入院・外来医療等の調査・評価分科会」による中間とりまとめが示され、了承された。
中間とりまとめは、2026年に予定される令和8年度診療報酬改定に向けて、入院・外来医療の現状や課題、評価の方向性を整理したもの。今後の制度設計の在り方や点数改定に関する議論の方向性として、次期改定に向けた参考となる。
6日に了承された中間とりまとめには、急性期リハビリテーション加算等の評価のあり方、回復期リハビリテーション病棟の実績指数や重症患者割合等に係る適切な基準、廃用症候群リハビリテーション料の算定上限数のあり方、退院後の生活に向けたリハビリ介入の評価のあり方、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算などについて明記されている。
(以下、リハビリテーションに関わる事項を一部抜粋)
4-1.地域包括医療病棟入院料について
(地域包括医療病棟を届け出た医療機関について)
○ 急性期病棟を有する医療機関は、地域包括医療病棟の届出にあたって満たすことが困難な施設基準として、「休日を含めすべての日にリハビリテーションを提供できる体制の整備」を回答した医療機関が半数を超えていた。続いて、「自院の一般病棟からの転棟が5%未満」「常勤のPT/OT/STの配置」「ADLが低下した患者が5%未満」が多くあげられた。
一方、地域包括ケア病棟を有する医療機関における届出にあたって満たすことが困難な施設基準として、「重症度、医療・看護必要度の基準①を満たすこと」を回答した医療機関が半数程度であった。続いて、「在宅復帰率8割」「休日を含むリハビリの体制整備」「初日にB項目3点以上」「ADL低下が5%未満」を回答した施設が多く、急性期病棟を有する医療機関とは違った傾向がみられた。
(リハビリテーション・栄養・口腔連携加算について)
○ 地域包括医療病棟において、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算を届け出て算定している施設とそれ以外の施設で、入院中のADL変化の分布に大きな差はみられなかった。算定している医療機関におけるADLが低下した患者の割合は4.7%であり、算定していない医療機関における5.5%より少ないものの、基準である3%未満には達していなかった。(DPCデータからの算出であり、施設基準とは定義が若干異なることに留意が必要。)
○ リハビリテーション・栄養・口腔加算の算定回数が1回以上の施設は地域包括医療病棟全体の約11%であった。70%にあたる19施設が加算を届け出ていない理由を回答し、「休日のリハビリテーション料の提供単位数が平日の提供単位数の8割以上を満たさないため」が最も多かった。次いで、「リハビリに習熟した常勤医師の確保が困難」「入棟後3日までに疾患別リハを算定された患者割合が8割に満たない」を回答した施設が多かった。実際に、「休日のリハビリ提供単位数」については満たせていない施設が約6割あった。さらに、「ADLが低下した患者の割合が3%未満」を回答した施設も約3割あった。
(分科会での評価・分析に関する意見)○ 地域包括医療病棟の届出が伸びてこないのは施設基準の厳しさが影響している可能性があり、地域包括ケア病棟との患者像の類似も踏まえ、緩やかに統一していくような評価方法も検討できるのではないかとの意見があった。
○ ADLについては、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の算定有無とADLスコア平均や改善幅の検討だけでなく、実際に提供されたリハビリの量や介入の時期等を踏まえ、どのような取組が効果的なのかといった検討を進めるべきとの指摘があった。
【今後の検討の方向性】○ 包括期の入院医療を担う医療機関の役割として、救急搬送の受入と在宅・施設等の後方支援という観点が示されており、これらを評価する指標を検討するとともに、各医療機関の役割を踏まえながら、適切な基準についての検討を進める。
○ ADLや平均在院日数について、入院している患者像を踏まえつつ、より適切な基準について検討を進める。
○ 包括されている医療資源投入量のばらつきとその傾向を踏まえ、高齢者の入院を幅広く担えるような評価の方法について検討を行う。
5. 回復期リハビリテーション病棟入院料について
5-1.実績指数について
○ 回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価の指標である実績指数については、医療機関の判断で、各月の入棟患者数(高次脳機能障害の患者を除外した場合は、除外した後の数)の3割以下の範囲で除外できることとされている。
○ 実績指数から除外可能な要件のうち、80歳以上に該当する患者が多かった。除外可能な要件のうちいずれかが該当する患者の割合は、全施設において40%を超えていた。
○ FIM利得がマイナスになる患者が多くの施設で存在し、全患者の30%近くを占める医療機関がみられた。
(分科会での評価・分析に関する意見)〇 ほぼ全ての患者が実績指数の計算除外基準に該当している施設もあり、現行の基準で病棟の機能を正しく評価されているのか疑問であるため、除外基準を見直すべきではないかとの意見があった。
5-2.重症患者割合について
○ 回復期リハビリテーション病棟に入棟する患者の要件として、重症患者割合の要件が定められている。
○ 回復期リハビリテーション病棟1・2における重症患者割合は、約40~50%であった。
5-3.廃用症候群リハビリテーションについて
○ 令和6年度改定では、回復期リハビリテーション病棟入院料又は特定機能病院リハビリテーション病棟入院料を算定する患者で、運動器リハビリテーション料を算定するものについて、1日6単位までの算定とする見直しを行った。
○ 運動器リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料において、7単位/日以上の提供ではFIM利得が比較的小さかった。
○ 廃用症候群リハビリテーション料の実施割合が比較的多い施設があった。
(分科会での評価・分析に関する意見)〇 廃用症候群リハビリテーション料について、7単位以上でFIM利得が小さくなる傾向が認められたことや、かなり多くの廃用症候群リハビリテーションを実施している施設があることを踏まえると、疾患別リハビリテーション料の算定上限単位数のあり方についても検討する必要があるのではないかとの意見があった。
○ 廃用症候群リハビリテーションも運動器リハビリテーションも、7単位以上における実施単位数増加に伴うFIM改善の度合いは脳血管疾患等リハビリテーションと比較して低いものの、確実に上がっており、改善しないと結論づけずに慎重に議論を行うべきではないかとの意見があった。
【今後の検討の方向性】○ 専門的なリハビリを一定期間集中的に行う回復期リハビリテーション病棟入院料の趣旨を踏まえ、実績指数や重症患者割合等に係る適切な基準や、疾患別リハビリテーション料の評価のあり方等について、更に検討する。
9. 入退院支援について
○ 入退院支援加算を算定した患者の「退院困難な要因」として病棟種別にかかわらず「緊急入院であること」が最も多く、次いで、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟においては、「入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること(必要と推測されること)」も多い傾向が見られる。
○ 入院時支援加算は、入院を予定する患者に対し、入院前の外来において、入院中に行われる治療の説明、入院生活に関するオリエンテーション、入院前の服薬状況の確認、褥瘡・栄養スクリーニング等を実施し、支援することを評価する位置づけであり、予定入院の場合には、退院困難な要因の有無の評価を入院前に行うことができ、入退院支援に係る準備を進めることが可能となっている。
○ 入院時支援加算の届出有無と平均在院日数の関係を見ると、入院時支援加算の届出がある場合は、届出が無い場合と比較して平均在院日数が短かった。入院時支援加算の届出がある場合、急性期一般入院基本料はで0.6日(平均値)、地域包括ケア病棟入院料は4.8日(平均値)在院日数が短くなっていた。
○ 急性期入院料においては、自宅から入棟し、自宅へ退棟する割合が高い一方、地域包括医療病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟では、自宅への退院だけでなく、転院や介護施設等への入所等、退棟先がより多様である。療養病棟では退棟先が多様であるとともに、死亡退院の割合も高い。
○ 令和6年度診療報酬改定では、在宅医療を担う地域の医療機関と介護保険施設等において、実効性のある連携の構築を促進する観点から、介護保険施設等と医療機関の連携に関する要件及び評価等を見直しが行われた。また、入退院支援における関係機関との連携強化の観点から、入退院支援加算1の施設基準で求める連携機関数について、急性期病棟を有する医療機関では病院・診療所との連携を、地域包括ケア病棟を有する医療機関では介護サービス事業所及び障害福祉サービス事業所等との連携を一定程度求める改定が行われた。
○ 入退院支援加算の施設基準で求める連携機関の施設数は、前回調査(令和4年度)と比較し、いずれの入院料も連携機関数が増加しており、いずれの入院料の場合も介護保険サービス事業所との連携が最も多い。
(分科会での評価・分析に関する意見)○ 入退院支援加算について、緊急入院の患者と生活再編が必要な患者は、それぞれ必要な支援の内容が異なるということが考えられるため、具体的にどのような支援が行われているのかについて、更に詳細に支援内容を見るのがよいのではないかとの意見があった。
○ 介護施設等における対応力強化について、例えば高齢者施設で診ている心不全患者においては、水分貯留によって体重増加や症状・兆候によって早期に外来を受診させる、訪問診療で利尿剤を調整する、病院の看護職員等が出向いてケア体制の支援を行う等を行うことによって、無駄な救急搬送・救急入院を減らすことが可能なケースがある。救急搬送前の連携対応の評価を行い、施設からの高齢者の救急搬送を減らすことにつながる可能性があるのではないかとの意見があった。
○ 入院時支援加算について、入院支援部門が入院前に外来等で関わることにより、病棟看護師の業務軽減にも結びつく。病院全体の効率化に向けた動きが進んできていると受け取ることができるとの意見があった。
【今後の検討の方向性】○ 入退院支援加算や入院時支援加算等について、病院・病棟の機能ごとに入退院支援部門に期待される機能や、医療介護連携の更なる推進の観点から、令和7年度入院外来調査の結果をもとに、更に検討を進める。
11. 病棟における多職種でのケアについて
11-1.リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算について
○ リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算を届け出ていると回答した医療機関は、9.0%であった。届け出ていない理由としては、「常勤専従の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士を2名以上配置(うち1名は専任でも可)することが困難なため」、「土日祝日における1日あたりの疾患別リハビリテーション料の提供単位数が平日の提供単位数の8割以上を満たさないため」が多かった。
○ リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定をしている病棟においては、配置基準が定められている理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士をはじめとする様々な職種が関係する業務に関わっていた。
○ リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算の算定がある(多職種が配置されている)病棟においては、病棟での各業務に、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士が主として関わる割合が高く、医師や看護職員が主として関わる割合が低かった。
○ リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算における病棟専従の療法士は、疾患別リハビリテーションのほか、場面に応じたワンポイントのADL動作の指導や、看護職員の業務としても実施される体重測定や環境調整といった業務を、療法士としての観点から行っている事例がある。
(分科会での評価・分析に関する意見)○ 土日祝日に提供するリハビリテーション単位数が平日の8割以上であることの要件が厳しすぎるのではないかとの意見があった。
○ 病棟配置によって、ADLの評価、維持や廃用予防といった観点から意義があるのではないかとの意見があった。
11-2.病棟におけるリハビリテーションについて
○ 地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟の施設基準においては、専従常勤の療法士数が規定されており、かつ疾患別リハビリテーションを担当する専従者と兼務はできないとされている。しかし、専従の療法士が病棟において疾患別リハビリテーションと別に行う業務については、地域包括医療病棟以外では明記されていない。
○ 療法士の疾患別リハビリテーションの提供以外の業務として、ADL等の評価、他職種へのポジショニング等に関する助言、可動域等や退院後を考慮した患者へのケア提供、疾患別リハビリテーション料等の対象とならない患者へのADLの維持・向上を目的とした指導等を行っていた。
○ 入院中のリハビリには、身体機能の回復や廃用症候群の予防だけでなく、退院後の生活を見据えた生活機能の回復のための介入が求められる。
○ 生活機能回復に資する診療報酬上の評価として、例えば尿道カテーテル抜去後の下部尿路機能障害又は尿道カテーテル留置中に下部尿路機能障害が予想される患者に対し、包括的な排尿ケアを行った場合に算定できる排尿自立支援加算があるが、届出医療機関数は1200に達していない。
○ 回復期リハビリテーション病棟入院料1~4を算定する病棟のうち、生活の場における短時間のリハビリテーションを実施していた病棟は10~20%であった。
(分科会での評価・分析に関する意見)○ 病棟配置の療法士の役割は明示されていないが、病棟における生活機能回復のための介入は重要であるとの意見があった。一方、一部は生活介助の延長ともとらえられるため、リハビリとして実施する効果を科学的に検証する必要もあるのではないかという指摘があった。
○ 病棟における生活の場に即した短時間のリハビリテーションは重要だが、例えばトイレ場面の介助等は短時間で終わり、カルテ記載を含めるとカルテ記載のほうが長くかかることもあるため、位置づけを検討してはどうかとの意見があった。
【今後の検討の方向性】〇 リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算について、土日祝日のリハビリテーション提供量の評価のあり方について、検討する。
○ 病棟におけるリハビリテーションについて、令和7年度入院外来調査の結果を踏まえ、更に検討する。
15-2.身体的拘束を最小化する取組について
○身体的拘束の実施率は、急性期~慢性期の多くの入院料で0~10%未満の施設が最も多かった。回復期リハビリテーション病棟、療養病棟、障害者施設等入院基本料では身体的拘束の実施率20%以上が3~4割を占めていた。
○ 身体的拘束を行っている患者について、身体的拘束の実施理由は「ライン・チューブ類の自己抜去防止」又は「転倒・転落防止」が多かった。身体的拘束の実施理由として、治療室、療養病棟では、「ライン・チューブ類の自己抜去防止」が5割を越えており、地域包括ケア、回復期リハビリテーション病棟、障害者施設では「転倒・転落防止」が5割を越えていた。
○ 身体的拘束が行われている患者について、調査基準日から過去7日間における身体的拘束を実施した日数が「7日間」である割合は、地域包括ケア病棟で70.7%、回復期リハビリテーションで78.8%、療養病棟で89.3%、障害者施設等で86.7%であった。
○ いずれの入院料においても、「認知症あり」の場合、身体的拘束の実施率が高かった。「認知症なし」の場合における身体的拘束の実施率は、治療室で26.2%、療養病棟で11.7%、障害者施設等で25.1%であったがそれ以外の病棟では10%以下であった。
(分科会での評価・分析に関する意見)○ 入院患者として高齢者が増えている中、転倒防止のために行動を制限することは本末転倒であり、医療機関内で転倒しても大事に至らないような環境整備等を行うとともに、不要な医療処置は行わない、早期に慣れた環境に戻るなどの対応が進むように社会全体での議論を醸成していくべきであるとの意見があった。
【今後の検討の方向性】○ 身体的拘束の実施率が高い入院料について、より詳細な実態を分析し、取組を推進する方策について更なる検討を進める。
○ 認知症ケア加算における取組状況やアセスメントの実態等を踏まえ、身体的拘束を最小化する取組の推進について更なる検討を進める。
15-3.栄養管理体制について
○ 令和6年度改定で導入した低栄養評価のGLIM基準の活用状況は、地域包括医療病棟が100%と最も高く、特定機能病院が40.4%と最も低かった。GLIM基準の導入により、多職種連携が進んだという回答が約5割だった。
○ 入院時に低栄養リスクを有する患者は、急性期一般で約4割、地域包括医療病棟などでは約8割だった。
(分科会での評価・分析に関する意見)○ 地域包括医療病棟で低栄養リスクの患者が多いのは、管理栄養士が病棟配置されて、的確に栄養スクリーニングが行えているという結果ではないかとの意見があった。
○ 低栄養リスクだけではなく、GLIM基準で低栄養と判定された患者の状況についても示せないかとの指摘があった。
【今後の検討の方向性】○ 低栄養の実態を更に分析するとともに、標準的な手法による低栄養の把握を推進するための要因を検討する。
15-4.リハビリテーションについて
○ 入院中のリハビリには、身体機能の回復や廃用症候群の予防だけでなく、退院後の生活を見据えた生活機能の回復のための介入が求められる。
○ 急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟において、屋外等での疾患別リハビリテーションを実施した患者のうち、3単位を超えて実施した症例は45%であった。
○ 退院前訪問指導は、回復期リハビリテーション病棟において包括されているものの、全入院患者の3~5%ほどに実施されており、その割合は他の病棟よりも高かった。一方、各入院料を算定する施設において、退院前訪問指導を実施している病院の割合は、14~24%に留まっていた。
○ 高次脳機能障害者への支援に係る11の関係機関へのヒアリング調査においては、入院医療機関における高次脳機能障害の診断や説明が不十分な場合があることや、支援に係る情報提供の不足、高齢者が多い病棟における障害福祉関連機関とのネットワークの希薄さ、退院時に相談窓口の情報を伝えることの重要性等について指摘があった。○早期のリハビリテーションを評価する加算として急性期リハビリテーション加算、初期加算、早期リハビリテーション加算が設けられているが、いずれも発症日からリハビリテーション開始までの日数についての要件はなく、どのタイミングからでも算定可能である。
○ 14日以内に疾患別リハビリテーションを実施した症例のうち、3日以内に介入できていない割合は38%であった。
(分科会での評価・分析に関する意見)○ 社会復帰のための施設外でのリハビリテーションは重要であり、1日3単位までという単位数の上限は見直すべきではないかとの意見があった。
○ 退院前訪問指導は多職種で約半日を費やして行っており、労力に見合うよう評価されれば、より実施されるのではないかとの意見があった。
○ 高次脳機能障害について、特に就労支援に関しては、かかりつけ医等との密な連携に対して、より評価をすべきではないかとの意見があった。
○ 急性期のリハビリでは、入院直後からなるべく早くリハを開始することが重要であるため、急性期リハビリテーション加算等の評価のあり方について検討していく必要があるのではないかとの意見があった。
【今後の検討の方向性】○ 退院後の生活に向けた介入や急性期における早期のリハビリ介入の評価のあり方について、令和7年度入院外来調査の結果等を踏まえ、更に検討する。
15-10.データ提出加算・退院患者調査について
○ データを用いた診療実績の適切な評価を行う観点から、入院医療について、診療等のデータを継続して厚生労働省に提出している場合には、データ提出加算として、一定の評価を行っている。
○ 収集するデータの内容については、MDC毎の診断群分類見直し技術班での検討や、データ提出加算を要件とする入院料の範囲の拡大に伴い、拡充されてきた。
○ 診療報酬上、一部の評価については、医療機関において集計された診療実績データを基に行っているが、DPCデータ等による評価が可能なものも存在する。
○ 令和4年度診療報酬改定において、データに基づく適切な評価を推進する観点から、外来、在宅及びリハビリテーション医療についても、診療等のデータを継続して厚生労働省に提出している場合の評価が新設された。
○ 外来様式1においては、検査値等を含む、多様な項目の入力を求めている。
○ 外来データ提出加算を算定していない理由、又は算定しているが困難に感じていることとしては、病院・診療所ともに、「入力のための人員が確保できない」が最も多かった。
(分科会での評価・分析に関する意見)○データの入力は医療機関の負担となっており、調査項目を見直すべきではないかとの意見があった。○特に、外来データ提出加算における検査値等の入力については、負担が大きいのではないかとの意見があった。○提出されたデータについては、施設基準の届出等における医療機関の負担軽減といった観点からも活用しうるのではないかとの意見があった。
【今後の検討の方向性】○ 医療機関の負担軽減に向けて、様式の簡素化やデータの更なる活用等の検討に資するよう、データ提出加算等によってのみ収集できる情報と、それ以外のデータベース等でも収集している情報等について、整理を進める。
引用・参考
■ 中央社会保険医療協議会 総会(第614回)(厚生労働省HP)
◯ 総-1入院・外来医療等の調査・評価分科会におけるこれまでの検討状況について検討結果(PDF)