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2025.08.27

【診療報酬改定】回復期リハ「実績指数」の評価基準について見直し議論

8月21日、第9回入院・外来医療等の調査・評価分科会が開催され、回復期リハビリテーションに関わる「実績指数」等について議論が進められた。

回復期リハビリテーション病棟の「実績指数」については、その算定除外基準と重症患者基準との関係が改めて議論の焦点となっている。

分科会では、除外対象患者が多数を占める実態や、重症患者基準と重なり合う構造などがデータより示され、現行制度が病棟機能を適切に評価できているのか疑問視する声が挙がった。


現状の実績指数と課題 - 中間とりまとめ案

現在、回復期リハビリテーション病棟の実績指数は、入棟患者の3割以下を医療機関の裁量で除外できる仕組みとなっている。

厚生労働省が行ったDPCに基づくデータでは、除外要件では80歳以上の高齢患者が多く、全施設で40%超の患者が何らかの要件に該当していた。また、FIM利得がマイナスとなる患者を約3割抱える施設も存在することがこれまでの議論で示されてきた。

一方、回復期リハビリテーション病棟入院料1・2では、重症患者割合が約40~50%であるとのデータも提示された。

このような実態を受け、議論の中間取りまとめでは、実績指数の計算除外基準に該当する患者がほぼ全てである施設も存在することから、現行基準で病棟の機能を正しく評価できているのかが疑問視され、除外基準の見直しが必要ではないかとの意見が出された。




リハビリ実績指数の評価に揺らぎ―重症患者基準との関係が浮き彫りに

8月21日に開催された第9回分科会では、リハビリテーション実績指数と重症患者基準の現状について詳細な分析結果が示された。

実績指数の算出から除外できる基準のうち「年齢80歳以上」や「FIM認知項目24点以下」に該当する患者は、全体の患者と比べてもFIM利得に大きな差は見られなかったことが報告された。

一方で、「年齢80歳以上」に該当する患者の割合が高い施設が多く、また、何らかの除外項目に該当する患者が70%を超える施設は全体の約86%に達していることが示された。



また、回復期リハビリテーション病棟における重症患者基準に該当する患者のうち、実績指数の除外基準である「FIM運動項目20点以下」「FIM認知項目24点以下」にも該当する割合は、それぞれ49.6%、85.9%と高水準にあることが報告された。

特に、入棟時に「FIM運動項目20点以下」であった患者は、脳血管疾患等リハビリテーション料や廃用症候群リハビリテーション料において、FIM利得が比較的小さい傾向が示された。

退院時のFIM下位項目をみると、「トイレ動作」「移動(歩行・車椅子)」で4点(最小介助)から5点(監視)、5点から6点(修正自立)へ改善した患者では、自宅への退院割合が大きく増加していた。

入棟時に5点以下であった患者についても、転棟・転院患者に比べ、自宅退院患者の方が退院時に6点以上へ改善している割合が高いことが示された。



また、入棟時と比べて退棟時のFIM得点が低下した患者が5%未満であった病棟は全体の約64%にのぼり、多くの病棟で一定の改善が図られている実態も明らかにされた。

これらの現状を受けて、次期診療報酬改定に向けた課題として、リハビリテーション実績指数と重症患者基準の在り方をどのように評価し、制度に反映していくか検討が進められている。


引用・参考
◾️令和7年度第9回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(厚生労働省)
 入ー1(PDF)
 入ー2(PDF)

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診療報酬改定2026 回復期リハビリテーション病棟
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