理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が集うリハビリ情報サイト

PT-OT-ST.NET

トピックス

2025.09.24

認知症の「できる」を支える 日本作業療法士協会が「生活行為を続けるためのヒント集 改訂版」公開

日本作業療法士協会は、認知機能の低下によって起こる生活のしづらさに対して、「道具」や「環境」を工夫して、生活のなかでの「できる」を応援するヒント集「生活行為を続けるためのヒント集 改訂版」を公開しました。

認知機能の低下によって「ヒント集 改訂版」では、日常生活での着替えや入浴、料理、買い物、公共交通機関を使った外出といった生活行為に困難を感じる方々、認知症の方々を支援することを目的に、困りごとが起きやすい13の生活行為とそれに対する工夫が紹介されています。



このヒント集は、認知症の方々が直面する、買い物や食事の支度、薬の管理といった複雑な生活行為における早期からの支障に対し、暮らしの中の「道具」や「環境」を工夫することで、本人がいつまでも自分らしい暮らしを続けていけるよう支援する、認知症リハビリテーションの考え方が具体的に提示されています。

具体的には、本ヒント集では「予定の管理」「外出」「家電・スイッチ」「買い物」「金銭管理」「電話の利用」「服薬」「調理」「整頓・掃除」「洗濯」「着替え」「入浴」「排泄」という13の「困りごと」について、具体的な工夫の例が紹介されています。

各項目では、困りごとを読み解く「大事な視点」や、見当識障害、注意障害、記憶障害などの「関係する主な機能や要因」が解説され、イラストを交えて工夫のコツが分かりやすく示されています。



本冊子の改定の背景には、2015年に策定された「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」で示された認知症リハビリテーションの定義が関係しています。

これは、認知症の人が有する認知機能等の能力を最大限に活かし、ADL(食事、排泄など)やIADL(掃除、趣味活動、社会参加など)といった日常の生活を自立し継続できるよう推進するという考え方です。

本冊子は、平成28年度に作られた前版に対して、令和6年度の「認知症リハビリテーションの推進のための調査研究事業」の一環として新たな項目や工夫が加わり、改訂版として作成されました。

改訂版の冊子は、日本作業療法士協会ホームページより無料でダウンロード可能です。冊子印刷用のA4ページ分割版も用意されています。

日本作業療法士協会は、このヒント集で紹介されている工夫はあくまで一例であると強調し、「困ったときはひとりで頑張り過ぎずに、周囲の人や、作業療法士等にご相談ください。ひとりひとりの能力が発揮できる、生活の中での「できる」を応援していきます」とメッセージを寄せています。

本冊子の取り組みを通じて、周囲の人や作業療法士といった専門職に相談につながり、混乱や喪失の思いをしていたことが「できる」に変わることは、自信を取り戻し、認知症とともに歩む人生の再構築につながることが期待されます。



引用・参考
■ 協会トピックス.「生活行為を続けるためのヒント集-改訂版-」できました(日本作業療法士協会HP)
「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」について(厚生労働省HP) 
■ 令和6年度老人保健健康増進等事業 認知症リハビリテーションの推進のための調査研究事業 報告書(日本作業療法士協会HP)

関連タグ
日本作業療法士協会 認知症
PT-OT-ST.NET:LINE公式アカウント「最新ニュースをLINEでお届け」友達追加

この記事が気に入ったらいいね!しよう

もっと見る 省略する

情報提供

ページ上部へ戻る