理学療法士と作業療法士は、どちらもリハビリテーションに関わる専門職です。
とはいえ、仕事内容や役割には重なる部分もあり、「何が違うの?」「どちらを目指せばいい?」と迷う方もいるかもしれません。
この記事では、両職種の仕事内容や働く場所、給料、国家試験などを比較します。
それぞれの特徴を知り、進路を考える際にお役立てください。
記事でわかること● 理学療法士と作業療法士が、どのような動作や生活を支えるのか
● 仕事内容や支援する人、働く場所などの違い
● 理学療法士と作業療法士を選ぶときの考え方
● 言語聴覚士を含めた3つの職種の特徴
理学療法士と作業療法士の違い|主に着目する動作や生活場面
理学療法士と作業療法士は、どちらも生活を支えるリハビリテーションの専門職です。
主な違いは、支援する際に着目する動作や生活場面にあります。
ただし、両職種の役割は完全に分かれているわけではありません。同じ方に対して、それぞれの視点から支援することもあります。
理学療法士は基本動作や身体機能の回復・維持を支援する
理学療法士は、病気やけがなどで身体に障害がある方や、障害の発生が予測される方を支援する専門職です。
寝返る・起き上がる・立つ・歩くなど、日常生活を送るうえで必要な基本動作の回復・維持を目指します。
対象者の身体機能や動作、生活環境を評価し、運動療法や物理療法、動作練習などを組み合わせて支援します。
作業療法士は生活行為や社会参加の実現を支援する
作業療法士は、食事や着替え、家事、学習、仕事など、その人が生活のなかで「したいこと」や「必要なこと」を行えるよう支援する専門職です。
作業療法でいう「作業」には、趣味や遊び、人との交流も含まれます。
たとえば、手を動かしにくい方には、着替えや食事の練習を行うほか、使いやすい道具を提案します。
身体面だけでなく、精神面や発達面に困りごとがある方も支援の対象です。
理学療法士と作業療法士の違い|5つのポイントで比較
「理学療法士と作業療法士のどちらを目指せばよいのか、仕事内容の違いだけでは決められない」と悩んでいませんか。
進路を考えるには、仕事内容に加えて、働く場所や給料、国家試験、需要と将来性について知ることも大切です。
ここでは、以下の5つのポイントから両職種の違いや共通点を比較します。
それぞれの違いを順番に見ていきましょう。
仕事内容|どちらも評価・練習・環境調整を行う
理学療法士と作業療法士は、担当する方の心身の状態や動作、生活状況を確認し、目標に合わせて支援内容を考えます。
たとえば、脳卒中を発症した方に対し、理学療法士は立ち上がりや歩行などを確認し、移動に必要な身体機能や基本動作の改善を図ります。
一方、作業療法士が着目するのは、着替えや食事、家事など、その方が実際の生活で行う活動です。
ただし、仕事内容が明確に分かれているわけではありません。
理学療法士が自宅での生活を想定した動作練習を行うこともあれば、作業療法士が筋力や関節の動きに働きかけることもあります。
それぞれが異なる視点を持ちながら、対象者が希望する生活の実現に向けて支援します。
働く場所|共通する職場が多く、それぞれ専門性を生かせる分野がある
理学療法士と作業療法士には、病院や介護施設など共通する職場が多くあります。
さらに、それぞれの専門性を生かし、医療・介護以外の分野でも活動しています。
上記は一例であり、職種ごとに働く場所が限定されているわけではありません。
近年では、地域や企業などで活動する方も増えています。
給料|公的統計上の平均年収は同じ
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」によると、理学療法士と作業療法士の平均年収は、どちらも443万6,000円です。
ただし、元となる統計では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士をまとめて集計しています。
職種別に算出された金額ではないため、実際の給料は勤務先や地域、経験年数、役職などによって異なります。
出典:理学療法士(PT)|job tag、作業療法士(OT)|job tag、令和7年賃金構造基本統計調査|e-Stat
国家試験|第61回の合格率は理学療法士89.7%・作業療法士91.2%
第61回国家試験の合格率は、理学療法士が89.7%、作業療法士が91.2%でした。
両職種の国家試験には、共通して出題される基礎的な科目と、職種ごとの専門科目があります。
基礎的な科目では解剖学や生理学、運動学などが共通し、専門科目ではそれぞれ理学療法・作業療法に関する知識が問われます。
どちらの資格を目指す場合も、養成校で学んだ内容をもとに国家試験を受ける流れは同じです。
需要と将来性|供給数の増加が見込まれる一方で活躍分野は広がっている
理学療法士は、医療・介護に加えて、スポーツや介護予防、健康増進、産業保健などでも活動しています。
作業療法士も、精神・発達領域のほか、教育や就労支援などへ活動の場を広げています。
一方、厚生労働省が2019年に公表した推計では、2040年ごろに理学療法士・作業療法士の供給数が需要数の約1.5倍になる見込みです。
今後は資格を取得するだけでなく、自分が関わりたい分野を考え、専門性を高めることも大切です。
\理学療法士・作業療法士のさまざまな働き方を知りたい方はこちら/
出典:理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性|厚生労働省
理学療法士と作業療法士に関するよくある質問
理学療法士と作業療法士のどちらを選ぶ?
理学療法士と作業療法士のどちらを選ぶか迷ったときは、次の3つを考えてみましょう。
● どのような動作や生活場面に関わりたいか
● 身体・精神・発達など、どの分野に関心があるか
● 病院や介護施設、スポーツ、児童福祉など、どこで働きたいか
両職種の仕事内容や働く場所には重なる部分があり、資格によって関われる分野や支援がはっきり決まっているわけではありません。
まずは、興味のある動作や分野、働いてみたい場所について、自分なりに考えてみましょう。
理学療法士と作業療法士の資格を両方取得できる?
理学療法士と作業療法士の資格は、両方取得できます。
ただし、それぞれ別の国家資格であるため、資格ごとに養成課程を修了し、国家試験に合格しなければなりません。
すでに一方の資格を取得している場合は、もう一方の養成校で2年以上学ぶことで受験資格を得られます。
出典:理学療法士になるには|日本理学療法士協会、理学療法士及び作業療法士法|厚生労働省
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の違いは?
言語聴覚士は、話す・聞くなどのコミュニケーションや、食べる・飲み込む機能を支援する専門職です。
理学療法士・作業療法士とは、主に着目する機能や生活場面が異なります。
医療や介護の現場では、リハビリテーション専門職の3職種が連携しながら患者さんの生活を支えています。
進路を考える際は、自分がどのような機能や生活場面の支援に携わりたいか、自分の強み、興味が高い分野は何か考えてみることをおすすめします。
参考・引用
■ 理学療法士(PT)(job tag)
■ 作業療法士(OT)(job tag)
■ 令和7年賃金構造基本統計調査(e-Stat)
■ 理学療法士・作業療法士の需給推計を踏まえた今後の方向性(厚生労働省)
■ 理学療法士になるには(日本理学療法士協会)
■ 理学療法士及び作業療法士法(厚生労働省)