3月13日、医療・介護従事者の労働組合は賃上げや労働環境の改善を求め、全国の医療・介護事業所で一斉ストライキを実施した。現場の人手不足や低賃金に対する危機感が高まるなか、医療・介護従事者は待遇改善を求めて声を上げている。
日本医療労働組合連合会(医労連)はホームページにて、
「医療・介護を守る!3.13全国統一ストライキ」決議マップを公開。ストライキ決議をあげた事業所数は1059となっており、「安心して働ける環境をつくるためにも、人員増員してほしい。そのためには賃上げも必要。仕事が大変なのにこれではやる気がおきない」などといった、全国各地の職場の声が掲載されている。
ー ストライキの背景—物価上昇と診療報酬・介護報酬の低迷
今回のストライキの背景には、近年の急激な物価上昇と円安の影響がある。食料品や生活必需品、エネルギーコストの高騰により、医療・介護従事者の実質賃金は低下しており、多くの職員が生活の厳しさを感じていることが訴えられた。
一方で、診療報酬や介護報酬は低く抑えられたままであり、医療機関や介護事業所の経営も圧迫されている状況にある。
診療報酬・介護報酬は政府の政策によって決定されるため、物価の上昇に応じた十分な引き上げが行われておらず、医療・介護業界の人手不足は深刻化している。特に介護業界では低賃金が離職の主な要因となっており、十分な人員を確保できずに現場の負担が増加している。この結果、利用者へのサービスの質も低下する懸念が広がっている。
ー 全国各地で訴え—「このままでは現場が崩壊する」
岡山県では、医療・介護従事者が集まり、「人手不足を解消するためには賃金引き上げが不可欠である」と国に訴えた。
徳島県では、組合員の看護師や理学療法士などが「給料を上げてもらわないと奨学金の返済だけでなく生活するのも大変だ」、「低賃金や過酷な労働では人が辞めていき、このままでは地域医療が守れない」など、医療や介護の現場で働く人たちの厳しい実情を訴えるとともに、警鐘を鳴らしている。
政府は2025年度の診療報酬・介護報酬改定を発表したが、業界内では「物価上昇に見合う水準ではない」と不満の声が上がっている。医療・介護従事者の待遇改善と業界全体の安定のため、今後の交渉の行方が注目される。
引用・参考
■ 「現場は崩壊寸前」医療・介護の人手不足解消のため賃上げを 全国一斉ストライキ 岡山(KSB瀬戸内海放送)
■ 医療介護従事者の労働組合 春闘で賃上げ訴え(NHK 徳島 NEWS WEB)
■ 「医療・介護を守る!3.13全国統一ストライキ」決議マップ(日本医療労働組合連合会HP)