政府は、2026年度の診療報酬改定を全体2.22%、介護報酬改定は2.03%、障害福祉サービス等報酬は1.84%、それぞれ引き上げる方針を固め、片山さつき財務相と上野賢一郎厚生労働相の閣僚折衝で合意しました。
診療報酬の全体改定率がプラスとなるのは2014年度以来、12年ぶりのことです。このうち、医師や看護師の人件費や医療機関の運営費にあたる「本体」部分は3.09%引き上げられます。本体部分の改定率が3%台となるのは、1996年度以来、実に30年ぶりの高水準です。
一方で、医薬品の公定価格である「薬価」については、市場の実勢価格との差額を踏まえて0.87%引き下げることとなりました。
あわせて政府は、介護報酬と障害福祉サービス等報酬、それぞれ2026年度の臨時改定で引き上げることも決定しました。これらは通常3年に1度の改定サイクルですが、職員の賃上げを急ぐために2027年度の改定を1年前倒しして実施するもので、いずれの引き上げ幅も前回の2024年度改定を上回る内容となりました。
リハビリテーションを担う職員など、賃上げの実効性確保へ
改定の背景には、昨今の物価高騰や賃金上昇による影響があります。経営が厳しくなっている医療機関を下支えし、医療従事者の適切な賃上げを確保する狙いがあります。
厚生労働省の発表資料では、「看護補助者と事務職員に対しては、 他産業との人材獲得競争に直面していることも踏まえた上乗せ措置を講じるものである」と記載されました。
今回の改定により、リハビリテーションを担う職員など、令和6年度改定でベースアップ評価料の対象とされた職種への「賃上げの実効性確保のため係る賃上げ措置の実効性が確保される仕組みを構築する」ことが明記されました。
3.診療報酬制度関連事項② 賃上げの実効性確保のための対応
今回の賃上げ措置は、 幅広い医療関係職種において物価上昇を超える賃上げを実現するためのものであり、さらに、看護補助者と事務職員に対しては、 他産業との人材獲得競争に直面していることも踏まえた上乗せ措置を講じるものである。
こうした政策目的が確実に果たされるよう、令和6年度改定で入院基本料や初・再診料により賃上げ原資が配分された職種(40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者)についても、 令和6年度改定でベースアップ評価料の対象とされた職種(看護職員、リハビリテーションを担う職員、病院薬剤師その他の医療関係職種(上記の入院基本料等で措置される職種を除く。))と同様に、実際に支給される給与(賞与を含む。)に係る賃上げ措置の実効性が確保される仕組みを構築する。これにより、賃上げ実績の迅速かつ詳細な把握を行うこととする。
引用:厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について
【厚生労働省】厚生労働大臣記者会見(2025年12月24日)財務大臣折衝後
参考・引用
■ 令和8年度診療報酬改定について(厚生労働省HP)
■ 令和8年度介護報酬改定に関する審議報告について(厚生労働省HP)
■ 介護報酬 来年度臨時で2.03%引き上げ “職員給与増やすため”(NHK)