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2025.06.23

【改正】「災害救助法施行令」リハビリテーション専門職を新たに追記



2025年5月、政府は災害救助法施行令を改正し、都道府県からの従事命令の対象となる「医療従事者」に、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3職種が新たに追記された。

これにより、災害時の支援要員として、リハビリテーション専門職が正式に位置づけられることとなった。

また本改正では、都道府県知事等からの協力命令に基づいて支援活動を行った場合、かかった費用に対して実費弁償が行われる制度も整備された。

本改正は令和7年(2025年)7月1日に施行。今後、リハビリテーション専門職が災害支援に携わる上で、立場が明確になるとともに、経済的負担が削減され、支援体制の充実につながることが期待される。



改正の背景、能登半島地震からの教訓

改正の背景には、令和6年に発生した能登半島地震の教訓がある。

令和6年に開催された「能登半島地震を踏まえた災害対応検討会」では、避難所における高齢化率の高さや、要介護者の多さに対し、医療・福祉リソースが著しく不足していたことが課題として指摘された。

実際に、医療の支援や高齢者などの自立した生活が困難な人々が避難する「1.5次避難所」などでは、発災後に多くの医療・福祉関係者が活動し、被災者の生活支援や身体機能の維持に尽力した。

しかし、南海トラフ地震のような広域で同時多発的に起こると予想される大規模災害が発生した場合、地域や個々の施設だけで対応するのは難しく、全国規模の支援体制の整備が急務とされている。

これらの教訓から、国による支援体制の強化、福祉的支援の充実を図ることを目的に「災害救助法施行令」が改正された。




災害支援に広がるリハビリテーション・福祉専門職の役割

災害現場でのリハビリテーション専門職の役割は重要性を増しており、2024年には、内閣府の「防災基本計画」において、災害派遣医療チーム(DMAT)に次ぐ組織として、日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)が明記された。これは、被災直後の救命医療だけでなく、避難生活を支える生活機能の維持や回復を目的とした支援が不可欠であるという政府の認識を示すものといえる。

今回の災害救助法改正では、リハビリテーション専門職に加えて福祉関係者も新たに支援要員の対象とされた。これにより、災害時の初期医療から生活支援に至るまで、保健・医療・福祉のシームレスな連携体制が期待されている。

日本は高齢化が進んでおり、避難所での転倒・廃用症候群・認知機能の低下など、災害関連死につながるリスクは高い。避難所の生活環境整備や被災者の心身ケアが必要不可欠との認識が高まるなか、リハビリテーション専門職や福祉関係者の災害支援への関与と役割の重要性が増している。

引用・参考:内閣府.防災情報ページ
▪️災害対策基本法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等 に関する政令について(概要)
https://www.bousai.go.jp/taisaku/minaoshi/pdf/kihonhou_07_11.pdf
▪️令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応検討 ワーキンググループ(第1回) 議事要旨について
https://www.bousai.go.jp/jishin/noto/taisaku_wg_02/pdf/yoshi1.pdf
▪️令和6年能登半島地震における災害の特徴 - 内閣府(防災担当)-
https://www.bousai.go.jp/jishin/noto/taisaku_wg_02/pdf/siryo2.pdf
▪️田中まさし 公式X
https://x.com/tanaka_masashi_/status/1936260733039419835

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