日本理学療法士協会は、独立行政法人国際協力機構(JICA)と連携し、JICA海外協力隊への理学療法士の派遣を長年推進しています。
2月から2026年度春の隊員募集が開始されるなか、途上国で求められる理学療法士の役割や、近年の応募者減少に伴う課題、そして本活動がキャリアに与える影響についてまとめました。
途上国における理学療法士の役割と活動内容
これまで日本の理学療法士は、86ヵ国、676名がJICA海外協力隊として派遣されてきました。JICA海外協力隊は今年で発足60周年を迎え、日本理学療法士協会は設立初期から途上国への人材派遣に貢献しています。
派遣された理学療法士は、開発途上国からの要請(ニーズ)に基づいて、病院や障害児者施設、特別支援学校、地域などで、患者への理学療法、CBR(地域社会に根ざしたリハビリテーション)活動の実践・普及などを行います。
現地の医療・福祉水準の向上を目指し、持続可能な仕組みを作る「技術協力」に貢献しています。
主な活動形態
◯ 臨床現場での技術指導
派遣される理学療法士は、発展途上国の病院やリハビリテーションセンターに配属され、現地の理学療法士や助手に対し、評価技術や治療介入の手法を指導します。
発展途上国では、日本のように十分な測定機器がなかったり、貧困問題などによる障がい者・障がい児の数が多く、先進国からのリハビリテーション支援を求められています。
そのため病院だけでなく、障害者・障がい児施設や特別支援学校、また自宅への訪問なども派遣先の対象となっています。
◯ 地域社会に根ざしたリハビリテーション(CBR)の実践・普及
障がい者や高齢者が地域社会で自立した生活を送れるよう家庭や地域へ訪問します。
地域では運動や姿勢調整のリハビリテーションだけでなく、家屋環境の調整や社会とのつながりなど様々な役割があります。
発展途上国では、リハビリテーションの認知も低い傾向があり、地域住民へリハビリテーションの啓発活動やセラピストに概念の指導なども行います。
JICA海外協力隊が直面する現状と課題
かつては高い倍率を誇ったJICA海外協力隊ですが、近年は理学療法士を含む全職種において応募者が大幅に減少しています。特に近年は若年層の「海外離れ」や将来の保守的な傾向や新型コロナウイルスの影響もあると考えられます。
こうした課題に対し、日本理学療法士協会とJICAは、理学療法士が安心して参加できる環境整備を進めています。
例えば、現職参加制度は勤めている職場を休職などの形で所属先に身分を残したままJICA海外協力隊に参加することができます。帰国後に復職が保障されるため、キャリアの継続性を保つ有効な手段です。
また言語や異文化の理解など最低限の知識や能力を養うための「派遣前訓練」も用意されており、渡航準備や予防接種など生活に関することも学ぶことができます。
派遣前訓練とは?(JICA YouTube)
JICAでは、これまで派遣されてきた理学療法士の体験談をインタビュー記事や動画で紹介しています。
実際に行かれた方のリアルな言葉を聞く機会となりますのでよろしければご覧ください。
【JICA経験談】ベトナムでの活動経験~理学療法士・赤松さんインタビュー~(日本理学療法士協会)
2026年度 JICA海外協力隊 長期派遣 春募集
毎年、春と秋の年2回の募集があり、2026年度春の募集が2月27日より開始しています。
興味がある方は、JICA海外協力隊の公式サイトより詳細をご覧ください。
参考・引用
■ JICA海外協力隊2026年春募集についてのご案内(日本理学療法士協会)
■ JICA公式サイト
◯ 「理学療法士」隊員とは?
◯ 現職参加について(長期派遣)
◯ 派遣前訓練ってなに?
■ 応募者激減のJICA海外協力隊、その存在意義とは?現地での理想と現実、元隊員が語る「それでも行くべき理由」(ABEMA TIMES)