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2025.06.27

【診療報酬改定】院外リハ「1日3単位制限」見直しを求める声 生活機能回復リハビリ制度を議論【厚労省】



6月26日に開催された、診療報酬の調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」にて、院外リハビリテーションの1日3単位制限の見直しなど、生活機能回復リハビリテーションの制度的評価が議題として取り上げられた。


院外リハビリテーションの必要性と現行制度の制約

厚生労働省は、入院中のリハビリテーションについて「身体機能の回復や廃用症候群の予防だけでなく、退院後の生活を見据えた生活機能の回復のための介入が求められる」と資料を用いて説明。

その上で、日本慢性期医療協会の資料を元に、院内と院外のリハビリテーションを組み合わせて、生活訓練としてのリハビリを提供することが有効であるとの提案が紹介された。

議論の論点として、院外リハビリテーションの重要性とその制限の是非について取り上げた。




院外リハビリテーションの単位制限

現在の制度では、医療機関の外で行うリハビリテーションは1日あたり3単位(60分)までに制限されている。

これは、平成28年度の診療報酬改定において、医療機関外における疾患別リハビリテーション算定の拡大を目的に、移動、復職、家事を目的とした入院患者への医療機関外(院外)リハビリテーションが1日3単位(60分)まで認められた。

<通則>第7部リハビリテーション

実施上の留意事項:

届出施設である保険医療機関内において、治療又は訓練の専門施設外で訓練を実施した場合においても、疾患別リハビリテーションとみなすことができる。また、当該保険医療機関外であっても、以下の(1)から(4)までを全て満たす場合は、1日に3単位に限り疾患別リハビリテーションとみなすことができる。なお、訓練の前後において、訓練場所との往復に要した時間は、当該リハビリテーションの実施時間に含まない。また、保険医療機関外でリハビリテーションを実施する際には、訓練場所との往復を含め、常時従事者が付き添い、必要に応じて速やかに当該保険医療機関に連絡、搬送できる体制を確保する等、安全性に十分配慮すること。


しかし、厚生労働省が令和6年に実施した実態調査では、屋外で疾患別リハを実施した128症例のうち、約45%で3単位(60分)を超えてリハビリテーションを実施している実態が明らかになった。

60分を超える具体的なリハビリテーションの内容としては、自宅でのADL動作の評価・訓練や、公共交通機関の利用訓練など、実生活に即した支援が行われていることが、日本作業療法士協会の調査結果より示された。



委員からは、「社会復帰を円滑に進めるには、実践的な訓練としての院外リハが多くの患者に必要である。院内でどれだけ訓練しても、実際の歩道には傾斜や段差があり、屋外に出た瞬間に疲労感を訴える患者も多い」という現場の実態を指摘。

そのうえで、院外リハビリについて「1日3単位という制限は撤廃すべきである」と制度の見直しを提案した。

さらに、60分を超える院外リハが多く実施されている背景には、「療法士や医療機関の自主的な努力や“ボランティア精神”があることを理解すべきだ」と指摘し、現行制度の是正を訴えた。


生活機能回復リハビリテーションの必要性と課題

厚生労働省は、リハビリテーションの目的について「疾患による身体機能やADL(日常生活動作)の低下に対する回復、廃用症候群の予防」に加え、「残存機能を活かして生活機能の回復を目指すこと」も重要であると説明した。

特に入院中は、退院を見据えた支援が求められており、その具体例として「排尿・排便の自立支援」を例に挙げ、自宅環境に適応した生活訓練型リハビリテーションの必要性が示された。

これら生活機能回復に資するリハビリテーションについて、委員からは「方向性は妥当である」と一定の理解を示しつつも、「提示された事例は生活介助の延長のように見える側面もある」と指摘。「リハビリテーションとして実施し、その効果を科学的に示す必要がある」と提起した。

今回の議論で示された、現場の実態や、制度上の制限とのギャップについて、次の診療報酬改定にどのように反映されるのか。生活機能回復を目的とするリハビリテーションの評価や、院外リハの位置づけなど、今後の議論が注目される。

引用・参考
◾️令和7年度第5回 入院・外来医療等の調査・評価分科会(厚生労働省HP)
 資料 入ー1(PDF)
定例記者会見 令和6(2024)年12月12日(日本慢性期医療協会HP)
令和6年診療報酬改定サイト  第7部リハビリテーション(PT-OT-ST.NET)

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