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2026.09.14

介護施設での車椅子貸与などを要望 リハ専門職団体が介護給付費分科会で意見



厚生労働省は9月14日、第266回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、令和9年度介護報酬改定に向けて、居住系・施設系サービスに関する関係団体との意見交換を行いました。

リハビリテーション専門職団体協議会(リハ協議会)からは、日本言語聴覚士協会の内山量史会長と日本作業療法士協会の山本伸一会長が参加。リハ協議会を代表して内山会長が、介護施設における車椅子貸与や、リハビリテーション専門職が配置されていない施設への外部支援などについて意見を述べました。

リハ協議会は、令和9年度介護報酬改定に向けた要望として、次の4項目を提示しました。

  • 特別養護老人ホーム・居住系サービスにおける医療ニーズへの対応
  • 特養併設ショートステイ利用後の状態悪化予防
  • 施設入所者の身体状況に合った車椅子の提供
  • 生活機能向上連携加算の普及拡充




施設入所者に合った車椅子の貸与を要望

リハ協議会が特に対応を求めたのが、施設入所者の身体状況に合った車椅子を提供する体制です。

介護保険による車椅子などの福祉用具貸与は、居宅サービスでは利用できる一方、施設サービスでは原則として算定対象外です。このため、施設への入所に伴い、それまで使用していた車椅子を継続できない場合や、身体状況に十分適合しない施設備品を使用せざるを得ない場合があると指摘しました。

リハ協議会は、リハビリテーション専門職のアセスメントに基づき、自立支援・重度化防止を目的とした車椅子等の必要性がケアプランに明記された場合には、施設入所中であっても貸与を可能とするよう要望しました。

あわせて、車椅子の個別調整や継続的なフォローに対するリハビリテーション専門職の関与を促進・評価する仕組みを設けることや、施設における車椅子の購入、レンタル、リースに対して補助金・交付金などの公的財源を措置することも求めました。

資料では、身体状況に適合した車椅子の使用は、離床や自立支援に加え、誤嚥、褥瘡、転倒・骨折、再入院の予防にもつながるとの意見も示されました。




全老健・東委員も車椅子確保の課題を指摘

この要望について、分科会委員を務める全国老人保健施設協会の東憲太郎会長も発言しました。

東委員は、介護老人保健施設では、リハビリテーションの進展に伴い、必要な車椅子がリクライニング式から自走式へ変わることもあると説明。利用者の体格や身体状況に応じた多種多様な車椅子を施設側があらかじめ保有する必要があり、保管場所の確保や新たな車椅子の購入が負担になっていると述べました。

また、身体状況に十分適合しない車椅子の使用は転倒・転落のリスクを高めるとして、利用者の機能変化に応じて車椅子を変更できる環境の重要性を指摘しました。

そのうえで、老健については、長期入所の方を除いて、リハビリテーションが提供されている場合に限り、車椅子等の福祉用具貸与を認めるよう求めました。


リハ職不在の特養などへ外部から継続支援

特養や居住系サービスにおける医療ニーズへの対応については、リハ専門職が配置されていない施設と、協力医療機関などに所属するリハ専門職との連携体制を評価するよう要望しました。

リハ協議会は、特養や居住系サービスではリハ専門職の配置が少ない一方、高齢者救急の増加や入院期間の短縮により、退院後の生活機能の維持・回復、再入院予防、装具や福祉用具の調整など、専門的な支援を必要とする場面が増えていると説明しました。

想定する支援として、入所者への直接的なリハビリテーション支援、生活機能の維持・向上に向けた助言、施設職員への指導、治療用装具・補装具・福祉用具の評価や調整などを挙げています。

既存の「生活機能向上連携加算」は、外部のリハビリテーション専門職の助言を受けた個別機能訓練計画の作成などを評価するものです。これに対し、今回の要望では、入所者への直接支援や施設職員への助言・指導を含む、継続的な支援体制が想定されています。




特養併設ショートステイの配置要件緩和を求める

特養に併設する短期入所生活介護(ショートステイ)については、利用後の生活機能低下を防ぐ観点から、機能訓練体制加算と個別機能訓練加算の増点や配置要件の緩和を求めました。

資料では、日本理学療法士協会が令和元年度に行った調査を紹介。ケアマネジャーの71.9%、理学療法士の74.6%が、ショートステイ利用後に利用者の状態が悪化しやすい印象があると回答したとしています。

一方、特養併設のショートステイで個別機能訓練加算を算定するには、本体施設とは別に専従の機能訓練指導員を配置する必要があり、小規模な事業所では算定が難しいと指摘しました。

リハ協議会は、本体施設の機能訓練指導員との兼務を認めることや、配置時間以外は別の職務に従事できるようにすることを要望。リハビリテーション専門職を配置して機能訓練を積極的に提供する事業所については、「機能強化型」として上乗せ評価することも提案しました。




生活機能向上連携加算、リハ職を派遣する側にも評価を

生活機能向上連携加算については、過去の調査において、全事業所・施設の96.9%が非算定だったことが資料にて示されました。

リハ協議会は、外部のリハビリテーション事業所との連携の難しさや、必要なコスト・手間に対して単位数が見合っていないことなどが、算定の妨げになっていると指摘しました。

また、現行制度では助言を受けて計画を作成する介護事業所が加算を算定する一方、リハビリテーション専門職を派遣する医療機関やリハビリテーション事業所に対する報酬上の評価がないことも課題として挙げました。

普及に向けては、「生活機能向上連携加算(Ⅱ)」と「個別機能訓練加算」を併算定した場合の減算を廃止するとともに、連携を提供する側の機関や、法人外の事業所と連携した場合についても評価するよう求めました。



なお、全国介護事業者連盟の提出資料でも、生活機能向上連携加算などについて、小規模な居住系サービスである認知症グループホームの特性に応じた要件へ見直すよう求めています。

リハ協議会が連携先となるリハビリテーション事業所への評価や法人外連携などを求めたのに対し、全国介護事業者連盟は、小規模な居住系サービスにおける算定のしにくさという立場から見直しを提案した形です。


介護職とのタスクシェアにも言及

内山会長は、配付資料に示された4項目に加え、通所介護の個別機能訓練をめぐるタスクシェアについても言及しました。

内山会長は、つくば市が、介護職員による機能訓練行為の範囲を拡大し、機能訓練指導員から介護職員へのタスクシェアを進めるための規制緩和を提案している事例を紹介しました。また、その実現に向けた調査事業が行われていると説明しました。

そのうえで、2040年を見据えた持続可能なサービスの維持・確保に向けたタスクシェアの一つのあり方として、介護給付費分科会でも議論を取り上げ、検討を深めるよう求めました。

次回の第267回介護給付費分科会は9月16日に開催され、医療系サービスをテーマに関係団体との意見交換が行われる予定です。

リハ協議会に加え、日本リハビリテーション医学会、日本リハビリテーション病院・施設協会、日本訪問リハビリテーション協会、全国デイ・ケア協会で構成する全国リハビリテーション医療関連団体協議会も参加する予定で、令和9年度介護報酬改定に向けたリハビリテーション関係団体の意見陳述が続きます。

引用・参考
第266回社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省HP)
 ・【資料10】リハビリテーション専門職団体協議会


令和9年度介護報酬改定へ、関係団体ヒアリング始まる 今後リハ専門職団体も意見表明

2026.09.10
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