高齢者向け保険外サービスの信頼性向上を目指して「介護関連サービス事業協会」が設立され、「ガイドライン」と「認証制度」が公表された。
2025年7月に運用が開始される予定の「100年人生サポート認証」は、介護保険外サービス市場の健全な拡大と利用者の適切な選択支援を両立する仕組みとして注目を集めている。
同協会の公式ホームページでは、会員一覧の確認が可能であり、認証登録事業者の一覧は2025年頃に公開予定となっている。
制度のすき間を埋める「介護保険外サービス」とは
介護保険外サービスは、介護保険制度の適用外で提供される支援であり、費用は全額自己負担となる。一方、サービス内容や提供時間が柔軟で、個別のニーズに対応しやすいという特長もある。
「保険外サービス」は、現行制度では提供が難しい領域を補完するものとして、生活の質(QOL)向上に寄与する手段として期待が高まっている。
<保険外サービスの例>
• 買い物や趣味活動の同行・送迎
• 通院時の付き添い・見守り
• 家事代行(庭仕事、大掃除など)
• 配食サービス など
ガイドラインの要点:生活支援・配食サービスにおける留意点
保険外サービスは、事業者によってサービスの質にばらつきがあることや、信頼性の判断が難しいことなどが課題に挙げられてきた。
そのような状況をふまえて、同協会は「生活支援サービス」と「配食サービス」を対象としたガイドラインを2025年5月に公表した。ガイドラインには、利用者との契約時の留意事項や事業運営体制のあり方など、事業者が遵守すべき基準を明示されている。
ガイドラインでは共通するポイントとして、利用契約の適正な締結、金銭や鍵の管理、衛生管理、スタッフ研修、事故対応体制の構築など、現場での具体的な対応策が整理されている。
また、事業継続性の確保、利用者の尊厳保持、相談体制の整備といった、環境整備に資する観点も加味されている。単なる手引きにとどまらず、高齢者やその家族が適切にサービスを選択し、安心して介護保険外サービスを利用できるよう、事業運営を整備する内容となっている。
「生活支援サービス」には、見守り、家事代行、移動介助、排泄・入浴支援などといった多様な支援内容について掲載されており、「配食サービス」では、高齢者に対する栄養管理や安否確認の機能などについても記載されている。
認証制度でサービス品質の「見える化」を推進
「100年人生サポート認証」では、同ガイドラインに基づいて、審査・評価を行い、基準を満たしている介護保険外サービス事業者に、認証を付与するとしている。
認証を受けた事業者は、公表リストに掲載され、専用のロゴも使用が可能となる。
加齢等により判断能力が低下する可能性がある高齢者においても、安心してサービス利用ができるよう、業界全体の質の向上を促す狙いがある。
リハビリテーション専門職にとっての意義と可能性
高齢化社会において、「保険外サービス」は高齢者の多様な生活課題に対応する選択肢として、今後さらに重要性を増していくと考えられる。
実際、経済産業省においても、保険外サービスの利用促進や地域でのサービス整備に関する議論が進められており、高齢者が介護保険外でも多様な支援を受けられる環境づくりが重要視されている。
保険サービスと保険外サービスを組み合わせた「ハイブリッド支援」は、「100年人生」に向けた取り組みとして期待が高まっている。
リハビリテーション専門職にとって、こうした保険外サービスの整備は、機能回復の成果を生活場面につなげるための重要な手段であると同時に、活動のフィールドを広げる契機にもなり得る。
こうした動向は、制度の枠にとどまらずにリハビリテーション専門職が活躍する場にもつながる可能性もある。今後、制度の動向や、実践の展開についても注目される。
引用・参考
◾️ガイドライン公表及び、新規会員の受付を開始のお知らせ(介護関連サービス事業協会HP)