ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社は、同社のAI予測分析ツール「Prediction One」と、タック株式会社の提供する「タックリハビリテーション支援システム」との連携を開始すると発表した。
これにより、回復期リハビリテーション病棟におけるAI導入のハードルが大幅に下がり、医療現場におけるデータ利活用の環境整備が進展することが期待されている。
タック支援システムとの連携で「データ成形不要」に
今回の連携の最大の特徴は、「データ成形の手間をなくした」ことといえる。従来、AIツールによる予測分析を行うには、病院の現場スタッフがPrediction Oneに適した形式へと手作業でデータ加工する必要があった。
タック社との連携後は、「タックリハビリテーション支援システム」からPrediction One用に整形されたデータの出力することができ、簡単かつスムーズにAIによる分析が可能になる。
データ加工が不要で、病院システムとスムーズに連携できる点は、忙しいリハビリテーション現場にとって業務負担の点からも大きなメリットになる。
AIツールとリハビリテーション部門システムの連携は、現場へのAIの導入・定着を目指す医療機関にとって、AI導入のハードルを下げるきっかけにもなる。
AIツール「Prediction One」で実証された高精度な予後予測モデル
この取り組みの背景には、北海道の社会医療法人北斗十勝リハビリテーションセンターとの共同研究がある。
同研究では、Prediction Oneを用いて過去6年分の診療データをAIに学習させることで、回復期リハビリテーション病院の退院時における「歩行動作の予測」、「トイレ動作の予測」、「運動項目FIM
※の予測」について、高い精度で予測が可能であることを実証したと報告されている。
Prediction Oneを導入した各病院は、共同研究によって開発されたAIモデルの参照が可能とある。
今回のタックリハビリシステムとの連携により、自院のリハビリテーション部門データと既存のAIモデルを活用して、各病院が「独自のAIモデル」を簡易に開発できるようになることも期待される。
(※)FIM:機能的自立度評価表
学会に出展、AIモデル構築をデモンストレーション
AI予測分析ツール「Prediction One」は、以下の学会に出展が予定されている。
■ 第62回 日本リハビリテーション医学会 学術集会(2025年6月12日〜14日)
■ 日本リハビリテーション医療DX学会 第3回学術集会(2025年7月19日〜20日)
会場では、サンプルデータを用いて、どのようにAIモデルを構築するか、実際の画面を見せながらデモンストレーションが実施される。
AI導入を検討する医療機関やセラピストの方々にとっては、Prediction Oneの操作性や導入プロセスを視覚的に確認、体験できる機会といえる。
「Prediction One」と「タックリハビリテーション支援システム」の連携は、高精度な予後予測に基づいた意思決定支援と、導入・運用のしやすさを両立した取組みとして、医療の質向上と病院経営の最適化の双方に寄与する可能性がある。
今回の発表は「連携の第一段」とあり、AIツールとリハ部門システムのさらなる連携について、今後の展開に注目が集まる。
引用・参考
■ 回復期リハビリテーション病棟向けAIソリューション、「タックリハビリテーション支援システム」と連携開始(ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社)
■ 回復期リハビリ病棟でAI予後予測、ソニーと十勝リハセンターが共同開発(PT-OT-ST.NET)
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