厚生労働省は9月16日、令和9年度介護報酬改定に向け、日本訪問看護財団、全日本病院協会、日本栄養士会などの関係団体からヒアリングを実施しました。
日本訪問看護財団と全国訪問看護事業協会は、訪問看護師の処遇改善や夜間対応、中山間地域におけるサービス提供への評価を要望。全日本病院協会は、訪問リハビリテーションと訪問看護ステーションから提供されるリハビリテーションについて、それぞれの役割に応じた成果評価を求めました。
また、日本栄養士会は、通所リハビリテーションなどにおける外部管理栄養士との連携拡大を提案。日本栄養士会と全日本病院協会からは、介護分野における嚥下調整食の評価を求める意見も示されました。
訪問看護の処遇改善、夜間等加算の要件見直しを要望
日本訪問看護財団と全国訪問看護事業協会は、訪問看護や看護小規模多機能型居宅介護で働く看護職と、病院で働く看護職との賃金格差が広がっているとして、訪問看護師の処遇改善を求めました。
人口規模の小さい自治体に所在する事業所は、遠距離の訪問を担うなど厳しい経営環境にあるとして、特別地域加算や中山間地域等における加算率の見直しも要望しました。
このほか、緊急時訪問看護加算を算定する事業所による初回の夜間・早朝・深夜の緊急訪問について、夜間・早朝加算や深夜加算を算定できるよう要件の見直しを要望。利用者が入院・入所する際に、訪問看護事業所が看護サマリーなどを提供する情報連携への評価も求めています。
訪問リハと訪看リハ、役割に応じた成果評価を
全日本病院協会は、訪問リハビリテーションは改善・社会参加・目標達成後の「卒業」を、訪問看護ステーションから提供されるリハビリテーションでは、ADL・IADLや在宅生活の維持・低下防止を中心に成果として評価するよう要望しました。
同協会は、外部の主治医から必要な情報が提供されている場合の訪問リハ事業所医師による診察についても、規制の見直しを求めました。この要望と委員から示された慎重意見は、関連記事で詳しく紹介しています。
通所リハの栄養支援、外部管理栄養士との連携拡大を
日本栄養士会は、通所リハなどにおける専門的な栄養支援を広げるため、「機能強化型認定栄養ケア・ステーション」を外部管理栄養士の連携先として制度上位置づけるよう要望しました。
資料では、栄養アセスメント加算を算定していない理由として、「管理栄養士の配置や外部機関との連携が難しい」とした事業所の割合は、通所介護で50.2%、通所リハで37.8%だったとしています。
都道府県栄養士会が設置する栄養ケア・ステーションに加え、専門的な栄養管理に対応できる機能強化型認定栄養ケア・ステーションも連携先とすることで、地域で栄養支援を受けられる体制を広げたい考えです。
嚥下調整食を介護報酬で評価へ
日本栄養士会は、摂食嚥下機能が低下した入所者に提供する嚥下調整食を、療養食加算の対象として評価するよう要望しました。
嚥下調整食は、単なる調理上の工夫ではなく、利用者の状態に応じた食形態の選択、調理、提供、観察、継続的な見直しを伴う栄養ケアであるとしています。
全日本病院協会も、通常食以上の手間とコストが必要になるとして、介護保険サービスにおける「嚥下調整食加算(仮称)」の創設を求めました。
このほか、日本医療法人協会は、老健から特別養護老人ホームへの退所が在宅復帰率の算定では不利に扱われる一方、病院の退院先評価では特養が在宅に含まれることを挙げ、制度間の整合性を図るよう要望しました。
全日本病院協会は、老健から個人宅へ復帰する際には、住環境の調整や家族への介助指導など、より多面的な支援が必要になるとして、個人宅への復帰と退所後の生活継続を重点的に評価するよう求めました。
引用・参考
■ 第267回社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省HP)
・【資料2】日本訪問看護財団、全国訪問看護事業協会
・【資料4】全日本病院協会
・【資料5】日本栄養士会
・【資料6】日本医療法人協会