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2026.09.16

リハビリテーション専門職の「処遇改善」「専門技術の評価」を要望 令和9年度介護報酬改定へ【リハ協議会】



厚生労働省は9月16日、第267回社会保障審議会介護給付費分科会を開催し、令和9年度介護報酬改定に向け、医療系サービスの関係団体や中山間・人口減少地域の自治体、事業者から意見を聴取しました。

日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会の3団体で構成するリハビリテーション専門職団体協議会(リハ協議会)を代表して日本理学療法士協会の斉藤会長が、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の処遇改善、自助具の採型・試作等に関する技術の評価、訪問リハビリテーションの診察要件の見直しなどを要望しました。

訪問リハビリテーションをめぐっては、中山間・人口減少地域での提供体制拡充も提案されました。一方、委員からは、事業所医師による診察は訪問リハの根幹に関わるとして、要件緩和に慎重な意見も示されました。




PT・OT・STのベースアップ実施は11%

リハ協議会は、処遇改善加算の対象にはPT・OT・STも含まれる一方、実際の配分は事業所の裁量に委ねられており、職種間で格差が生じていると指摘しました。

令和6年度の介護従事者処遇状況等調査では、処遇改善加算を取得した施設・事業所のうち、PT・OT・STに加算収入を配分した割合は34.3%でした。看護職の51.5%、生活相談員・支援相談員の50.8%を下回っています。

また、リハ協議会が令和7年度に実施した調査では、介護施設・事業所の57%でPT・OT・STの現金給与総額が引き上げられておらず、ベースアップの実施率は11%にとどまりました。令和8年度の調査でも、回答者の77.9%が賃上げの実感が低いと回答したとしています。



リハ協議会は、PT・OT・STを処遇改善加算の配分対象として制度上明確に位置づけ、物価上昇を上回る賃上げの原資を確保するよう要望。加算を恒久的なものとし、基本給への反映や定期昇給につなげる仕組みも求めました。

あわせて、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、介護老人保健施設など、リハビリテーション提供に関係する報酬全体の引き上げを要望しました。


自助具の採型・試作など専門技術の評価を

自助具の採型・採寸、試作・試行に関する技術を介護報酬上で評価することも求めました。

自助具は、心身機能の改善が困難な場合でも、本人の能力を生かし、食事や調理などの生活行為を可能にする手段となります。導入にあたっては、対象者の身体機能や生活環境に合わせ、熱可塑性材料やベルクロ、EVA樹脂、3Dプリンターなどを用いて試作・調整することがあります。

リハ協議会は、こうした工程には専門的な評価と技術が必要であるものの、現行の介護報酬では十分に評価されていないとして、適切な評価を求めました。

意見交換では石田委員(高齢社会をよくする女性の会副理事長)が、自助具は自立した生活を支える上で重要だと指摘。専門的な技術が報酬上評価されていないのであれば、「きちっと評価していただきたい」と賛意を示しました。

このほか、医療から介護への移行を円滑にするため、介護保険におけるリハ関連サービスの役割を分かりやすく整理することも求めました。

具体的には、通所リハと通所介護、訪問リハと訪問看護ステーションからのPT・OT・STによる訪問、PT・OT・STによる専門的介入と介護職等による機能訓練について、役割や用語を整理するよう要望しました。

介護職員が行える機能訓練行為の範囲拡大を求めるつくば市の規制緩和提案についても、単なる業務移管ではなく、各職種が本来の業務に専念・拡充できる環境を整える観点から議論する必要があるとしました。




訪問リハの診察要件緩和を提案

現行制度では、訪問リハを利用する際、原則として訪問リハ事業所の医師が利用者を診察し、リハビリテーション計画に基づいて指示を出します。

このため、別の医療機関に主治医がいる場合には、主治医による日常的な診療に加え、訪問リハ事業所医師による診察も必要になります。リハ協議会は、資料の中でこれを「二重診察」と表現し、通院困難な利用者や医師の負担となり、訪問リハビリテーション導入の障壁になっていると指摘しました。

その上で、継続的な医学的管理を行う外部主治医が所定の研修を修了し、訪問リハビリテーション事業所にも所定の研修を修了したPT・OT・STを配置することなどを条件に、外部主治医からの指示で訪問リハビリテーションを提供できるよう求めました。

また、事業所医師による診察について、オンライン診療が可能であることを通知等で明確化するよう要望しました。

全日本病院協会も同日の意見陳述で、他院主治医が診察し必要な情報を提供している場合にも、訪問リハ事業所医師による診察が求められることがサービス導入の障壁になっているとして、規制の見直しを求めました。

同協会はあわせて、訪問リハビリテーションでは機能改善や社会参加、目標達成後の「卒業」を成果として評価し、訪問看護ステーションからのPT・OT・STによる訪問ではADL・IADLや在宅生活の維持・低下防止を評価することを提案しました。



一方、江澤委員(日本医師会常任理事)は、外部主治医はかかりつけ医として医学的管理を行い、訪問リハ事業所医師はリハのための評価と指示を担っていると説明。両者の診察は単純に重複しているわけではないとした上で、事業所医師が対面や自宅訪問で評価することは「リハビリテーションの根幹に関わる部分」との考えを示しました。


中山間地域では開設要件の緩和を要望

リハ協議会は、中山間・人口減少地域における訪問リハビリテーションの提供体制拡充も求めました。

訪問リハビリテーション事業所の開設主体は、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院に限られ、常勤医師1人以上の配置が必要となります。今回、リハ協議会は、訪問リハビリテーション事業所がない自治体は約4割に上ることを示しました。

同日の自治体・事業者からの意見陳述では、島根県や長崎県西海市などから、中山間・人口減少地域では利用者の居住地が点在し、訪問や送迎にかかる時間と費用が事業運営を圧迫している実態も報告されました。

こうした中、リハ協議会は、訪問リハビリテーションの地域偏在を解消するため、復興特区で行われた特例措置に準じて、病院や診療所、老健等との密接な連携を確保し、都道府県知事が適切な運営が可能と認めた場合には、開設要件を緩和するよう要望しました。

訪問リハビリテーションを地域の共有資源とし、医療、介護、障害福祉、予防を一体的に推進する地域リハビリテーションの拠点として、「訪問リハビリテーションステーション」を制度上位置づける構想も示しています。

これに対し江澤委員は、過疎地域でも新たな事業所を開設するのではなく、既存の老健に所属するリハ専門職などを積極的に活用すべきと指摘しました。

東委員(全国老人保健施設協会会長)も、中山間地域には老健が一定程度配置されている一方、訪問リハ事業所を運営する老健は36%にとどまると説明。今後、より多くの老健が訪問リハビリテーションを提供できるよう取り組む考えを示しました。

訪問リハビリテーションの診察要件や開設要件の緩和を求める団体側の提案に対し、委員からは、事業所医師による診察の意義を重視し、既存の老健等を活用すべきとの意見が示されました。

訪問リハビリテーションの提供体制をどのように確保し、医学的管理と両立させるか。今後の検討における論点として、議論が注目されます。

引用・参考
第267回社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省HP)
 ・【資料4】全日本病院協会
 ・【資料7】リハビリテーション専門職団体協議会
 ・【資料8】島根県
 ・【資料12】長崎県西海市、うずしお福祉会、ふるさと


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