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2026.10.13

両立支援指導料の相談支援加算にPT・OT・STの追加を要望 ー 就労支援リハの算定率は1%未満|関係8団体が厚労大臣に共同提出



脳卒中医療に関わる関係8団体は10月2日、「脳卒中後の治療と仕事の両立支援の整備に関する要望書」を上野賢一郎厚生労働大臣に提出しました。

要望は3項目で、療養・就労両立支援指導料の相談支援加算の対象職種に理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を追加することなどが含まれています。

厚労科研費による調査データを根拠に、就労支援リハビリテーションを実施しても算定できていない現状が数値で示されました。


【要望3項目】期間延長、職種追加、算定日数の除外

要望事項
1. 脳卒中後の就労支援においては、 療養・就労両立支援指導料の初回算定後の算定可能期間(6か月)を延長し、必要に応じて長期的な支援を可能とすること

2. 療養・就労両立支援指導料の相談支援加算対象職種に、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を追加すること

3. 脳血管疾患等リハビリテーション料の標準的算定日数の除外対象に「脳卒中後の就労支援」を加えること

要望書では、治療と仕事の両立支援について国内では主にがんを対象として整備されてきたと指摘し、「身体障害や高次脳機能障害といった後遺障害を伴う脳卒中の疾患特異性に配慮した整備が必要」としています。

3項目はいずれも診療報酬上の算定要件に関するもので、実際の見直しについては中医協での議論を経ることが必要と考えられられます。

以下、3つの要望それぞれの根拠となったデータを順に見ていきます。


復職が増えるのは退院6か月以降ではない

7府県178施設を対象とした「両立支援調査2023」では、急性期脳卒中患者14,564名のうち、潜在的な復職候補者が1,672名(11.4%)でした。退院時年齢15〜69歳、直接自宅に退院、発病前に就労していた、という3条件を満たす集団です。

自宅退院後6か月から18か月の間に、復職は増えておらず、 一旦復職した後の離職が4.5%に見られ、復職率はわずかに低下している結果が示されました。

また、18か月を過ぎても復職できていない層が約4分の1存在することも明らかとなりました。



療養・就労両立支援指導料は退院後に算定可能となり、初回算定から6か月が限度です。障害を伴う脳卒中で最も支援が必要なのは退院後6〜18か月と考えられるため、退院直後に初回算定を行うと、本当に必要な時期には算定できなくなります。

要望書では、これを急性期脳卒中患者全体の約3%、年間約1万人と試算し、合理的配慮の検討が必要なこの層こそ両立支援を充実させるべき対象だと提起しました。



就労支援リハを行っても算定率は1%未満

11府県237施設を対象とした「就労支援リハビリテーション調査2024」では、要望2・3の根拠となるデータが報告されました。

ここでいう就労支援リハビリテーションとは、自宅退院を可能にするためのリハビリテーションではなく、通勤(公共交通機関の利用や自動車運転再開)を含めた業務対応能力の評価・指導、職場との連絡・調整、就労中に発生した課題の解決など、復職とその継続への伴走支援を指します。

急性期脳卒中患者17,962名のうち、潜在的な復職候補者は2,932名(16.3%)。実施状況と算定状況は次のとおりです。



リハビリテーション専門職の3職種すべてで算定率は1%未満であることが示されました。

原因として、PT・OT・STが相談支援加算の対象職種に含まれていないこと、就労支援リハビリテーションが主に入院中の支援であったことが挙げられています。


必要と判断された患者の過半数が、退院後に受けられていない

就労支援リハビリテーションが終了した時期は、理学療法で88.0%、作業療法で87.4%、失語に対する言語聴覚療法で73.0%が入院中でした。退院後12か月以上継続できたのは、それぞれ1.5%、1.0%、4.4%にとどまっていました。

また、入院中に実施した患者のうち、退院後も外来で継続が必要だと理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が判断した患者は、それぞれ260名(19.7%)、444名(28.3%)、156名(61.7%)でした。

しかし実際に継続できたのは、105名(40.4%)、171名(38.5%)、76名(48.7%)であったことが報告されました。

回復期リハビリテーション病院の入院期間は平均3〜4か月、最大6か月です。一方、急性期病院の入院中から始まるリハビリテーションに対する脳血管疾患等リハビリテーション料の標準的算定日数は180日となっています。

その結果、生活期にPT・OT・STが就労支援リハビリテーションを行っても、相談支援加算も脳血管疾患等リハビリテーション料もほぼ算定できず、算定できる入院患者へのリハビリテーションが優先されやすい現状があると指摘しました。

このような実態から、脳血管疾患等リハビリテーション料の標準的算定日数の除外対象に「脳卒中後の就労支援」を加えることを要望しました。


現場の実感が数値になった

復職支援が必要だと判断しても退院とともに関われなくなる、外来で続けたくても算定できない、結果として入院患者が優先されるている。

これらは、いずれも現場で想定される状況ですが、今回の要望書では「必要と判断した患者の過半数が退院後に受けられていない」という数値で示し、制度設計の問題として指摘しました。

要望事項の根拠となった調査は、令和5年度厚労科研費「回復期以降の循環器病に対する多職種連携による患者支援体制の充実・普及に資する研究」によるもので、報告書と研究班提言は厚生労働科学研究成果データベースで公開されています。

次期改定に向けて、今回の要望がどのように取り扱われるのか議論が注視されます。

引用・参考
◼️ 「脳卒中後の治療と仕事の両立支援の整備に関する要望書」を上野厚生労働大臣に共同提出しました(日本理学療法士協会) https://www.japanpt.or.jp/activity/procedure/04260.html
◼️ 脳卒中後の治療と仕事の両立支援の整備に関する要望書(PDF) https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/20261002_youbousho_uenokouseiroudoudaijin.pdf
◼️ 令和5年度厚労科研費「回復期以降の循環器病に対する多職種連携による患者支援体制の充実・普及に資する研究」(厚生労働科学研究成果データベース)

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