厚生労働省は10月14日に開催された第270回社会保障審議会介護給付費分科会で、令和9年度介護報酬改定に向けた通所リハビリテーションの見直し案を示しました。
リハビリテーションマネジメント加算について、利用者の活動・参加の状態を踏まえた目標設定や計画の見直しを算定要件として明確化するほか、生活行為向上リハビリテーション実施加算における計画書の統合、退院時共同指導加算の対象拡大などを提案しました。
リハマネ加算、活動・参加を重視した計画作成を明確化
厚労省は、生活期リハビリテーションでは心身機能、活動、参加にバランスよく働きかけることが重要である一方、通所リハビリテーションの計画や実施内容は、筋力増強訓練や歩行訓練が中心で、ADL・IADL訓練は一部にとどまっていると指摘しました。
今回示されたLIFEデータの分析では、リハビリテーションマネジメント加算の算定の有無にかかわらず、筋力増強訓練や歩行訓練が多く実施されていました。また、同加算の算定の有無によるADL・IADLの変化について、明確な違いは認められませんでした。
こうした状況を踏まえ、厚労省はリハビリテーションマネジメント加算の算定要件として、次の2点を明確化する案を提示しました。
- リハビリテーション会議で、利用者の居宅における活動・参加の状態を共有し、その目標や、目標を踏まえたADL・IADL訓練等を含むリハビリテーション計画を設定すること。
- リハビリテーション会議で目標の達成状況を報告し、必要に応じてリハビリテーション計画を見直すこと。
生活期リハビリテーションにおける活動・参加への働きかけを、リハビリテーションマネジメントの中でより明確に位置付ける方向が示されました。
生活行為向上リハ、計画書の統合を提案
生活行為向上リハビリテーション実施加算については、別途作成している生活行為向上リハビリテーション計画を、通所リハビリテーション計画に統合する案が示されました。
同加算は、ADL・IADLなどの生活機能が低下した利用者への早期対応を促すため、平成27年度介護報酬改定で創設されました。しかし、算定率は事業所ベースで1.6%にとどまっており、算定が困難な理由として、計画書の作成時間を確保できないことなどが挙げられています。
今回の見直し案では、共通する項目が多い両計画を統合することで、事業所の事務負担軽減を図ることとしています。
これに対し、全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は、同加算の算定率が利用者ベースでは0.1%にとどまることを指摘しました。リハビリテーションマネジメントとの内容の重複も踏まえ、独立した加算として存続させる合理性に乏しいとして、加算自体をリハビリテーションマネジメントに統合し、報酬体系を簡素化すべきとの意見を述べました。
一方、日本医師会の江澤和彦委員は、計画作成の負担軽減に賛同した上で、感染症等によるADLの急激な悪化に対し、集中的なリハビリテーションを提供できる仕組みとしての意義に言及しました。その役割について、さらに周知を進める必要があるとの考えを示しました。
退院時共同指導加算、老健・介護医療院からの退所者も対象へ
退院時共同指導加算については、介護老人保健施設と介護医療院からの退所者を、新たに算定対象に加える案が示されました。
同加算は令和6年度介護報酬改定で創設され、医療機関からの退院に際し、通所リハビリテーション事業所の理学療法士等が退院前カンファレンスに参加し、共同指導を行うことを評価しています。
厚労省が示した調査では、医療機関の退院前カンファレンスに参加している通所リハ事業所は25.8%、老健の退所前カンファレンスに参加している事業所は40.8%でした。
また、退院・退所前カンファレンスに通所リハ事業所の職員が参加している場合、退院・退所から通所リハビリテーションの利用開始までの期間が短い傾向にあることが示されました。
厚労省は、老健や介護医療院からの退所後も、早期から連続的で質の高いリハビリテーションを提供する観点から、加算の対象拡大を提案しています。
今回示された見直し案は、生活期リハビリテーションにおける活動・参加の重視、事務負担の軽減、退院・退所後のリハビリテーションの継続性確保を図るものです。具体的な算定要件等については、今後の介護報酬改定に向けた議論を通じて検討が進められます。
引用・参考
◼️ 第270回社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省HP)
・【資料3】通所リハビリテーション