厚生労働省は19日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会で、訪問リハビリテーションにおける事業所医師の診療要件を見直す方向性を示しました。
診療未実施減算を算定する場合について、一定の猶予期間を設けた上で事業所医師による診療を基本とするほか、猶予期間中はリハビリテーションマネジメント加算との併算定を認めない案を提示しました。
また、事業所医師によるオンライン診療の活用を明確化する方針も示されています。
診療未実施減算、リハマネ加算との併算定不可を提案
訪問リハビリテーションでは、原則として事業所医師が利用者を診療し、その指示に基づいてリハビリテーションを提供することとされています。
一方、事業所医師による診療が困難な場合には、別の医療機関の医師から利用者に関する情報提供を受け、事業所医師がリハビリテーション計画を作成することで、1回当たり50単位の診療未実施減算を適用した上でサービスを提供できる仕組みがあります。
厚生労働省は資料にて、診療未実施減算の算定率は、創設当初の20.8%から11.0%に低下している状況を報告しました。
一方、診療未実施減算を算定している利用者のうち、リハビリテーションマネジメント加算を併算定している割合は27.7%となっていました。
こうした状況を踏まえ、厚生労働省は、適用猶予期間を設けた上で、事業所医師による診療に基づく訪問リハビリテーションの実施を基本とする案を提示しました。
また、猶予期間中については、利用者の状態を評価した事業所医師によるリハビリテーションマネジメントを推進する観点から、診療未実施減算を算定する場合には、リハビリテーションマネジメント加算との併算定を不可とすることを提案しました。
なお、現行制度では、診療未実施減算の算定要件のうち、事業所外の医師に求められる研修要件について、令和9年3月31日まで適用猶予措置が設けられています。
今回提案された新たな猶予期間の長さなど、具体的な制度設計については示されていません。
事業所医師によるオンライン診療の活用を明確化
厚生労働省は、事業所医師が外来や訪問による対面診療を行うことが困難な場合について、オンライン診療の利用を明確化することも提案しました。
資料では、訪問リハビリテーションにおける事業所医師の診療方法は、外来診療が約8割、訪問診療が約6割となっており、オンライン診療を活用している事業所もある現状が示されました。
今回の審議では、全国老人保健施設協会の東憲太郎委員が、オンライン診療の活用を明確化することにより、介護老人保健施設の医師が訪問リハビリテーションの診療に関与しやすくなり、地域の訪問リハビリテーション提供体制の強化につながるとの考えを示しました。
また、健康保険組合連合会の伊藤悦郎委員は、事業所医師による診療を基本とする方向性に賛同し、診療未実施減算とリハビリテーションマネジメント加算の併算定を不可とする案についても異論はないと述べました。
日本慢性期医療協会の田中志子委員や、日本医師会の江澤和彦委員からも、事業所医師による診療を基本とする方向性に賛同する意見が示されました。
リハマネ加算の要件明確化、退院時共同指導加算の対象拡大も
今回の分科会では、訪問リハビリテーションのリハビリテーションマネジメント加算について、活動・参加の目標設定やADL・IADL訓練等を含む計画の作成、目標達成状況の確認と必要に応じた計画の見直しを算定要件として明確化する案も示されました。
また、退院時共同指導加算については、現在の医療機関からの退院者に加え、介護老人保健施設や介護医療院からの退所者も対象とする案が提示されました。
これらは、10月14日の第270回介護給付費分科会で示された通所リハビリテーションの見直し案と同様の方向性です。
今回の審議では、江澤委員が認知症短期集中リハビリテーション実施加算についても言及し、利用開始時期などに限定されず、利用者の状態に応じた適切な時期に提供できるよう算定時期の見直しを求めました。
令和9年度介護報酬改定に向け、事業所医師の診療要件や各種加算の具体的な取扱いについて、引き続き検討が進められます。
引用・参考:
■ 第271回社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省HP)
・【資料4】訪問リハビリテーション