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2026.06.24

地域・職域の予防・健康づくりに、PT・OTはどう関わるか 日本公衆衛生協会が報告書・手引き実践版を公表



日本公衆衛生協会は、「理学療法士・作業療法士の地域・職域での予防・健康づくりを目的とした保健活動を推進するための伴走支援のあり方に関する検討と普及事業」の報告書と、「自治体または企業における成人の健康づくりに寄与するための手引き―都道府県の理学療法士会・作業療法士会の担当者向け―実践版」を公表しました。

本手引きは令和7年度地域保健総合推進事業の報告書として作成され、分担事業者として参画した日本理学療法士協会、日本作業療法士協会も各団体ホームページにて公開。事業でまとめた「伴走支援のあり方」をブラッシュアップし、研修会の実施と新しい手引きの作成を行ったものとして紹介しています。

今回の資料は、理学療法士・作業療法士が、自治体や企業における成人の予防・健康づくりにどのように関わるかについて、より実務的に活用できるかたちに整理されました。対象となる健康課題としては、働く世代を含む成人の生活習慣病、腰痛、転倒、メンタルヘルス不調などが挙げられています。

手引きでは、理学療法士・作業療法士の役割として、評価、提案、行動変容に向けた動機づけ支援、実施に伴うフィードバック等が紹介されています。単に運動指導を行うだけでなく、対象者の生活や仕事の場面、地域・職場の課題を踏まえて、健康づくりの取り組みを組み立てることが想定されています。


6つのステップで事業化の流れを整理

手引きは、「手引きの活用方法」「公衆衛生活動について」「手引き活用のステップ」「都道府県士会での事業化」「モデルチームの活動経過(令和6・7年度)」「事業を知ってもらうための工夫」「お役立ちツール」の各章で構成されています。

「手引き活用のステップ」では、自治体や企業の健康づくりに関わる流れが、6つのステップで整理されています。



STEP1は「組織の基盤づくり」です。まずは、都道府県士会の強みや、地域・職域に提供できる健康づくりの内容を確認します。

STEP2は「情報収集、地域・企業の実態把握とニーズ調査」です。自治体の健康増進計画、データヘルス計画、統計データなどを活用し、地域や企業が抱える健康課題を把握します。

その後、STEP3で具体的な活動準備を行い、STEP4で健康づくり支援事業を展開します。STEP5では評価や改善を行い、STEP6では事業を継続するための仕組みづくりへつなげる流れです。

この6ステップは、士会単位の事業化を想定したものですが、現場で働く療法士にとっても、自施設や地域で健康づくりに関わる際の考え方として参考になります。

たとえば、職員向けの腰痛予防研修、地域住民向けの健康教室、企業や自治体との連携事業などを考える際にも、「課題把握」「実施」「評価」「継続」の流れを意識することが重要になります。


香川PTチーム、徳島OTチームの事例も

報告書では、令和7年度の伴走支援モデルチームとして、香川PTチームと徳島OTチームの取り組みが紹介されています。

香川PTチームは、生活習慣病予防・改善サポートを中心テーマとして、県の健康課題を踏まえながら、理学療法士による運動指導を含む生活習慣改善支援の事業化を検討した事例です。

報告書では、協会けんぽや産業保健総合支援センター、行政等との接点づくりを進めた取り組みとして整理されています。

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徳島OTチームは、職場のメンタルヘルス不調に対する一次予防的な職場支援モデルとして紹介されています。作業療法の専門性である、人・環境・作業の視点を活かし、職場全体の状態把握や改善に向けた支援が検討されています。



また、令和6年度のモデルチームとして、山口県PT会による企業への腰痛予防、茨城県OT会による企業へのメンタルヘルス不調予防の取り組みも報告書・手引きの中で扱われています。職域での健康づくりに関心のある療法士にとって、現場を知る上でこうした実践的な事例は参考になるかもしれません。




ゼロ次予防への参画も期待

政府が掲げる「攻めの予防医療」や、厚生労働省内への「リハビリテーション統括調整室」の新設など、リハビリテーション専門職による予防や健康増進の分野への貢献、果たす役割に期待が高まっています。

手引きでは、リハビリテーション専門職が三次予防(重症化予防、要介護状態の改善)だけでなく、一次予防(健診、健康づくり、障害予防など)、二次予防(早期発見・早期リハビリテーション)、さらに社会や企業が健康になる環境づくりを後押しする「ゼロ次予防」への参画も期待されると位置づけています。

複数の役割をこなす「ユーティリティ」、他の特性を生かしつながりを変化させる「ポリバレント」という能力を生かし、多職種チームの中で健康づくりに寄与する役割が示されています。

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現場の理学療法士・作業療法士にも役立つ視点

今回の資料の直接の対象は、都道府県の理学療法士会・作業療法士会の担当者です。一方で、現場で働く理学療法士・作業療法士にとっても、自分たちの専門性を地域や職場の健康づくりとどう結びつけるかを考える手がかりになります。

病院、診療所、介護施設、訪問、通所などの現場では、退院後の生活、就労継続、活動量の低下、生活習慣病の予防、職場での身体的・精神的負担など、地域・職域の健康課題につながる場面に日々向き合っています。

今回の報告書と手引き実践版は、そうした現場の気づきを、自治体や企業の予防・健康づくりの取り組みにどう繋げていくかを考える資料といえます。まずは手引き実践版で全体像を確認し、関心のある事例を報告書で読むと、地域・職域での実践をイメージする手助けになるかもしれません。

引用・参考:
■ 理学療法士・作業療法士の地域・職域での予防・健康づくりを目的とした保健活動を推進するための伴走支援のあり方に関する検討と普及事業 報告書(日本公衆衛生協会HP)
■ 自治体または企業における成人の健康づくりに寄与するための手引き 実践版(日本公衆衛生協会HP)
■ 報告書掲載のお知らせ(日本理学療法士協会HP)
■ 地域保健総合推進事業(日本作業療法士協会HP)
■ 【大臣発表】厚労省に「リハビリテーション統括調整室」新設(PT-OT-ST.NET)
高市総理、PT協会定時総会にビデオメッセージー「攻めの予防医療」を支える理学療法士へ(PT-OT-ST.NET)

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