リハビリテーションの現場で、生成AIの活用が広がりつつあります。
PT-OT-ST.NETでは前回(2025年)に続き、2026年「生成AI活用に関するアンケート」を実施しました。
本アンケート(有効回答105件)では、AIを業務で利用する人が約86%、およそ5人に4人にのぼり、昨年の約36%から大きく上昇しました。
利用の頻度や用途も広がる一方で、職場のルール整備は現場の実態に追いついておらず、「どう安全に・組織的に使うか」が次の課題として浮かび上がっています。
昨年との比較に加え、現場の生の声(自由記述)も交えながら、今年の利用実態を報告します(詳しい考察は第二弾でお伝えします)。
調査結果ハイライト
1. 利用率は約86%(昨年約36%)
1年で倍増。AIを業務で使う人が、およそ5人に4人
2. 「試す」から「日常」へ
利用者の48%が「毎日」使用。併用ツールも平均2.2→3.0個へ広がる
3. 時短・必要性ともに高水準
約半数が1日30分以上の時短を実感。全体の約8割が「必要」と評価、満足度も63%
4. 広がる利用に、ルール整備が追いつかず
不安はセキュリティ70%・正確性59%に加え著作権・ルールへ。「個人判断で使用」が47%で、組織的な環境づくりが次の課題に
調査の概要
調査方法
● 調査期間:2026年4月27日(月)〜5月17日(日)
● 調査方法:Webアンケート(PT-OT-ST.NET)
● 有効回答数:105件
対象職種(内訳)
● 理学療法士(PT):73%
● 作業療法士(OT):20%
● 言語聴覚士(ST):6%
● その他(医師):1%
年齢・経験年数、役職
● 年齢層:40代が最多(平均45.0歳)
● 経験年数:16〜25年がボリュームゾーン(平均20.2年)
● 役職:主任クラス以上の役職者が約74%
▲ 回答者の約7割が理学療法士(PT)
▲ 回答者の約9割が男性
AIを業務利用する人が86%、「試す」から「日常」へ
今回の調査で最も大きく変化がみられたのは、AIの利用率でした。
「日常的に利用している」が41%、「ときどき利用している」が34%、「試したことはある」10%という結果でした。
何らかの形でAIに触れた人は86%であり、リハビリテーション専門職にとってAIは、もはや特別なツールではなくなりつつあることが見えてきました。
2025年(前回)に「業務でAIを利用している」と答えた人は約36%でした。1年で、AIを業務で使う人の割合は大きく上昇し、昨年比で倍増という結果となりました。
利用頻度が高まり、利用者の約半数が「毎日」利用
「1年前と比べた利用頻度」では、「大きく増えた」54%と「やや増えた」26%を合わせ、約8割が「増えた」と回答しました。
利用頻度そのものを見ても、利用者の約半数(48%)が「毎日」、「週に数回」まで含めると約8割が週1回以上AIを使っており、日常業務への定着が進みつつある様子がうかがえる結果となりました。
利用者の約半数が1日30分以上の時短を実感
AI活用による1日あたりの時短効果(利用者, n = 90)では、「1時間以上」が30%で最も多く、「30分〜1時間未満」と合わせると約半数(49%)が1日30分以上の時短を感じていました。
「ほとんど変わらない」と答えた人は16%にとどまり、8割超が何らかの時短を実感していました。
利用頻度別に見ると、AIを毎日使う層ほど時短を実感している割合も高く、利用が深まるほどAI活用による恩恵を感じやすい傾向がうかがえる結果となりました。
自由記述でも「調べる時間が飛躍的に減った」「レビューの時間が格段に短縮された」といった、時短を実感する声が寄せられました。
必要性は約8割が実感、満足度も過半数
「AIが業務にどの程度必要か」については、5段階評価で高評価の5と4を合わせて約8割が「必要」と回答しました。
また、AIの利用頻度が高い層ほど必要性を高く感じる傾向があり、日常的に利用する層では98%にのぼりました。
AI活用の満足度(5段階)は、「とても満足(5)」と「やや満足(4)」を合わせて63%であり、利用頻度が高い層ほど満足度も高い傾向がみられました。
一方で、「使ってはいるが、まだ十分に活かしきれていない」層も一定数いることが分かりました。
【利用ツール】ChatGPTが首位、GeminiとNotebookLMが急伸
主に使うツール(利用者 n = 90, 複数選択)は、ChatGPTが77%でトップを維持しました。
次いで、Gemini 73%、情報整理に強いNotebookLMが50%、Microsoft Copilot 34%、Claude 24%と続きました。
昨年からの伸びが目立つのがGeminiとNotebookLMです。Geminiは2025年の36%から73%へ約2倍に、NotebookLMは2%から50%へと大きく利用率が高まりました。一方、首位のChatGPTは79%から77%とほぼ横ばいでした。
使われるツールの「数」も増えています。1人あたりの平均ツール数は2025年の2.2個に対し2026年は3.0個へ、3つ以上を併用する人は26%から61%へと増加しました。
特定の1つのツールに頼るのではなく、複数のAIを併用する使い方が広がりつつある様子がうかがえます。
用途は「資料作成・書類作成・情報収集」が三強
利用業務(利用者, n = 90・複数選択)は「資料作成」80%、「書類作成」71%、「情報収集」67%が上位の三強でした。
その他にも、「アイデア出し」62%、「議事録・要約」51%、「データ分析」42%などに活用されていました。
昨年と比較して、上位の「資料作成」「書類作成」が中心という傾向は共通していました。
前年より増えた用途についても、「資料作成」「書類作成」が中心であり、文書づくりを軸にAI活用の幅が広がっている様子がうかがえる結果となりました。
不安はセキュリティ・正確性に加え、著作権・ルール整備へ
課題・不安(利用者 n=90・複数選択)は「セキュリティ・個人情報の扱い」70%、「出力内容の正確性」59%が引き続き上位でした。
加えて、今年は「著作権・引用」41%、「ルール不足」37%、「有料ツールのコスト」36%が目立ちました。
「使い方がわからない」といった入口の不安よりも、実務利用において生じる“運用・ルール”の課題へ関心が移っている様子がみえてきました。
「個人判断」が約半数、現場が組織のルール整備に先行
職場の活用環境を見ると、「個人判断で使っている」が54%で最多でした。
「組織として導入・運用されている」は12%、「ルールや注意事項がある」は13%にとどまりました。
利用していない人の理由(n=15)でも「職場にルールがない」「禁止・利用困難」が上位に挙がっており、本人の意欲よりも“環境”が利用を左右している面もうかがえる結果となりました。
これらから、現場での活用が、組織のルール整備に先行しつつある実態が浮かび上がってきました。
結果のまとめ
2026年の調査では、AIを業務で利用する人の割合が昨年の36%から86%へと大きく上昇しました。
利用者の約半数(48%)が「毎日」使い、1日30分以上の時短を実感している人も約半数(49%)にのぼりました。
また、必要性を高く評価する人は全体の約8割であり、満足度でも利用者の63%が高評価と回答するなど、リハビリテーション職にとってAIは「試すもの」から「日常的に使うもの」へと移りつつある様子がうかがえる結果となりました。
一方で、「個人判断で使っている」が54%と最多で、組織としてのルール整備はまだ途上にある面もみられました。
自由記述に寄せられた活用の工夫や現場の声、今後への期待については、第二弾の考察記事で続けてお届けします。
引用・参考
■ 【Webアンケート】AI×リハビリ活用実態調査2026 昨年からどう変わった?(PT-OT-ST.NET)
■ 生成AI×リハビリ現場 ― 36%が既に使い始めた“業務効率化”のAI活用事例(PT-OT-ST.NET)
■ 【調査レポート】AI活用は約4割、未利用者は関心高くも「きっかけがない」ーリハ職AI活用アンケート(PT-OT-ST.NET)