3月18日、リハビリテーション専門職団体協議会(以下、リハ団体協議会)は、厚生労働省記者クラブにて、「リハビリテーション専門職の処遇に関する記者会見」を開催した。
会見では、処遇改善に関わる事項として主に以下について取り上げた。
1)リハビリテーション専門職の処遇に関する現状と課題
2)令和6年度報酬改定に係る「処遇改善・賃上げ」に関する3団体合同実態調査の結果
リハ専門職の給料、20年で低下傾向―他職種と明らかな格差も
リハ団体協議会は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の給料水準は直近20年間で下がっている一方、医師や歯科医師、薬剤師、看護師は上昇傾向にあると現状を指摘。年齢別にみても、給料水準は他の医療専門職と比較して低い現状があると提起した。
また、他業界との比較においても医療・福祉の賃金は主要産業の中で伸び率が最も低い現状を報告。平均給与も低いことから、全産業平均を上回る水準の賃上げが必要であると訴えた。
令和6年度報酬改定に係る「処遇改善・賃上げ」実態調査の結果
リハ3団体は合同で、令和6年度の介護報酬改定に係る「賃上げ」に関する実態調査を実施。
リハビリテーション専門職の基本給の引き上げ(ベースアップ)が実施された施設は非常に少ないことがデータより明らかとなった。
一方、基本給ではなくボーナスや手当を含む給与総額の引き上げは半数以上の施設で実施されていた。しかし、医療施設では約3割、介護福祉施設では約4割の施設で昇給が行われていない現状も示された。
医療と介護・障害福祉における賃上げ率の差には、制度上の違いが影響したと指摘されている。
診療報酬の「ベースアップ評価料」ではリハビリテーション3職種が明記されていた。一方、令和6年度に改定された介護の「介護職員等処遇改善加算」および障害施設の「福祉・介護職員等処遇改善加算」では、対象が明記されず「介護職員等」と表現されていた。
なぜリハビリテーション専門職の処遇改善が重要なのか?
リハ団体協議会は、給料水準が低いことで優秀な人材の流出がリハビリ業界全体の衰退を招きかねないとしている。
人材の流出により、可能な限り自立もしくは要介護状態を軽減した状態で生活期へ移行するというリハビリテーション前置主義を堅持できずに、医療・介護保険財源の逼迫につながるとしている。
そのため、リハ団体協議会は、医療・介護・福祉分野における賃金の底上げ・継続的な昇給に関する、抜本的な対策が早急に必要であるとしている。
今回の調査結果を踏まえてリハ専門職団体協議会は、厚生労働省と国会議員で構成される「リハビリテーションを考える議員連盟」に要望書を提出している。
報酬改定におけるリハビリテーション専門職の位置づけや、具体的な賃上げ策の実行など、今後の動向が注視される。
引用・参考
◾️ リハビリテーション専門職の 処遇改善に関する記者会見(理学療法士協会HP)
◾️ リハビリテーション専門職団体協議会による「リハビリテーション専門職の処遇に関する記者会見」が開催されました(理学療法士協会HP)