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2025.06.16

【閣議決定】「骨太方針2025」賃上げによる成長型経済の実現、リハビリテーションの充実など明記



政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太方針2025)」を閣議決定した。骨太では、賃上げを起点とした成長型経済の実現、全世代型社会保障の構築におけるリハビリテーションの充実などが盛り込まれた。

「賃上げ」については、物価上昇を上回る賃上げを普及・定着させ、現在と将来の賃金・所得が継続的に増加する成長型経済への転換を掲げた。

全世代型社会保障の構築の取り組み方針では、 「自立支援・在宅復帰・社会復帰に向けたリハビリテーションの推進」や、予防・健康づくり、重症化予防において「地域の多様な主体の連携協力や、成果指向型の取組等による効果的な介護予防やリハビリテーションを充実する」ことが明記された。



成長戦略の柱としての「賃上げ」 公定価格改革を明記

骨太方針2025では、「実質賃金を年1%程度上昇させることを定着させる」とする目標が掲げられ、「賃上げこそが成長戦略の要」と明記された。

特に、医療・介護・障害福祉分野については、公定価格(診療報酬・介護報酬等)において「コストカット型からの転換」を明示し、物価や他産業の賃上げ動向を踏まえた価格設定によって、現場で従事する者への処遇改善と人材確保を両立させる方針を打ち出した。

これまでの報酬改定では、「財源の付け替え」に終始するとの指摘もあったが、今回の「骨太方針2025」は成長戦略の一環として社会保障費の適正化と賃上げが連動して論じられた。

また、介護・障害福祉分野の職員についても、他職種と遜色のない処遇改善や業務負担軽減等を目指す方針が示された。

これまで、理学療法士で参議院議員の田中まさし議員は、参議院予算委員会にてリハビリテーション専門職の賃金が20年以上横ばいであることや、昇給がない施設が多数存在する点などを指摘。「物価上昇に対応できていない」として、報酬改定による賃上げ幅では不十分であり、より包括的な処遇改善策の必要性を厚生労働大臣に提起してきた。

本年5月に開催された、リハビリテーションを考える議員連盟の総会(第11回)では、リハビリテーション専門職3団体が現場の実態をデータで訴え、国会議員からは処遇改善や働き方改革が本質的な制度改正に結びつくよう、骨太の方針への反映を強く求める声が挙がっていた。

今後、2025年末までに行われる効果検証の結果が、次期報酬改定にどのように反映されるのか、中医協などの議論が注目される。

2.主要分野ごとの重要課題と取組方針

(1)全世代型社会保障の構築

 医療・介護・障害福祉等の公定価格の分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある。このため、これまでの歳出改革を通じた保険料負担の抑制努力も継続しつつ、次期報酬改定を始めとした必要な対応策において、 2025年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う。
 このため、2024年度診療報酬改定による処遇改善・経営状況等の実態を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する。また、介護・障害福祉分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善や業務負担軽減等の実現に取り組むとともに、これまでの処遇改善等の実態を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する。また、事業者の経営形態やサービス内容に応じた効果的な対応を検討する。

出典:経済財政運営と改革の基本方針 2025


「人中心の国づくり」としてのリハビリテーション

骨太方針2025では、「人中心の国づくり」が基本理念として掲げられ、その主要分野に「全世代型社会保障の構築」が盛り込まれた。

日本は、人材や労働力が希少となる「人材希少社会」に向かっている。このような現状を踏まえ、骨太方針2025では、国民一人ひとりがWell-being(幸福度)の高い、豊かさ、安心・安全、自由、自分らしさを実感できる活力ある経済社会の構築を目指すとの指針が示された。

その中で、全世代型社会保障の構築の取り組み方針では、 「自立支援・在宅復帰・社会復帰に向けたリハビリテーションの推進」や、「高齢者の社会参加促進や要介護認定率の低下に向け、データを活用したエビデンスに基づく取組として、地域の多様な主体の連携協力や、成果指向型の取組等による効果的な介護予防やリハビリテーションを充実する」ことが明記された。

リハビリテーションは、国民一人ひとりのWell-being向上、社会参加の促進、そして社会保障制度の持続可能性確保に重要な役割を果たすとの考えが、骨太方針の中で示された。

高齢化が進行する中、リハビリテーションは医療的行為にとどまらず、地域生活の基盤形成、社会参加支援といった観点からも政策的価値が高まっている。


中長期的な医療・介護提供体制の確保へ、DXなど推進

骨太方針2025では、医療・介護DXの技術革新の迅速な実装により、全国で質の高い効率的な医療・介護サービス提供体制の構築の推進することも明記された。

政府は医療DX工程表に基づき、全国医療情報プラットフォームの構築、電子カルテ情報共有サービスの普及、PHR情報の利活用などを進めるとしている。

介護提供体制については、地域包括ケアシステムの深化も重要な課題として明記された。2040年を見据えて、地域医療構想を踏まえた医療・介護連携の推進、介護テクノロジーの社会実装に向けた実証・導入・伴走支援による生産性向上などを支援するとしている。



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引用・参考
■ 経済財政運営と改革の基本方針2025(内閣府HP)
・ 経済財政運営と改革の基本方針2025 ~「今日より明日はよくなる」と実感できる社会へ~(令和7年6月13日閣議決定)(PDF) 
・ 概要(PDF) 
石破内閣主要政策(首相官邸)

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