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2026.11.06

老健の在宅復帰率、特養への退所も対象に 地域リハ・短期集中リハ加算も見直し議論



11月2日に開催された第273回社会保障審議会介護給付費分科会で、令和9年度介護報酬改定に向けた介護老人保健施設(老健)の見直し案が示されました。

厚生労働省は、老健から特別養護老人ホーム(特養)への退所を在宅復帰率の算定対象に含めるほか、看取りへの対応や施設からの入院比率に関する評価指標への見直しを提案。また、地域リハビリテーション活動への参画や、短期集中リハビリテーション関連加算の算定要件についても見直す方向性を示しました。

会議では、評価指標の変更による影響や、地域支援事業と老健の地域貢献活動との関係などについて、委員から意見が出されました。




老健の在宅復帰率、特養への退所も算定対象に

厚労省は、老健の在宅復帰・在宅療養支援等指標について、特養への退所を在宅復帰率の算定対象に含めることを提案しました。

現行制度では、診療報酬において介護保険施設への退院が在宅復帰として評価される一方、老健の在宅復帰率では、他の介護保険施設への退所が対象に含まれていません。今回の見直しでは、診療報酬との整合性や、利用者の自然な移行先であることが理由として挙げられています。





さらに、在宅復帰・在宅療養支援等指標のうち、要介護4・5の入所者割合や経管栄養の実施割合に関する指標を、看取りへの対応や施設からの入院比率に関する指標へ整理する案も示されました。

これに対し、日本医師会の江澤和彦委員は、入院の必要性は本人や家族の意向、病態の変化などにも左右されることから、入院比率を評価指標に導入することには慎重な検討が必要と指摘しました。併設医療機関の有無などによって施設内で対応できる医療の範囲が異なる点にも言及しています。

日本慢性期医療協会の田中志子委員も、必要な入院を行うことが施設の評価を下げる仕組みになってはならないとし、地域の医療・介護資源や施設の役割の違いを踏まえた検討を求めました。

また、高齢社会をよくする女性の会の石田路子委員は、特養への退所を在宅復帰率に含める方向性に賛同する一方、利用者が自宅に戻ることについては、さらに重点的に評価する必要性についても言及しました。

このほか、新型コロナウイルス感染症に加え、インフルエンザの流行によって入退所を停止した期間についても、在宅復帰率の計算から除外する取扱いを制度上明確化する案が示されています。


地域リハへの関与、老健の地域貢献活動として明確化へ

老健の地域貢献活動については、地域ケア会議等へのリハビリテーション専門職の関与や、介護予防・日常生活支援総合事業の「サービス・活動C」への関与を、評価対象として明確化する案が示されました。

背景には、健康寿命の延伸に向けた「攻めの予防医療」の取組があります。老健が有するリハビリテーションの専門性を地域で活用し、介護予防や地域リハビリテーションを推進する狙いです。

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厚労省の資料によると、地域貢献活動を実施している老健は86.8%である一方、通所型サービス・活動Cを実施している施設は15.5%、訪問型は5.7%にとどまっています。



今回の対応案では、こうした地域への関与を明確化するとともに、在宅復帰・在宅療養支援等指標の「居宅サービスの実施数」について、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションの提供体制をさらに評価する方向性も示されました。

会議では、認知症の人と家族の会の志田信也委員が、サービス・活動Cは市町村の地域支援事業として委託費等が支払われるものであり、それを老健の地域貢献活動として評価することの妥当性について質問しました。

これに対し厚労省は、地域支援事業での対価の支払いがあることを認めたうえで、サービス・活動Cや専門職派遣の引受先が不足している現状を説明。新たに個別の介護報酬を設けるという趣旨ではなく、既存の老健の施設類型における地域貢献活動の具体例として明確化する考えを示しました。

志田委員は、既に地域支援事業として対価が支払われている活動を、老健の地域貢献として評価することについて、引き続き疑問を示しました。


短期集中リハ加算、入院後の算定要件を整理へ

短期集中リハビリテーション実施加算と認知症短期集中リハビリテーション実施加算についても、算定要件の見直しが提案されました。

現在、両加算では、入所者が入院した後の再入所時の取扱いなどに違いがあります。厚労省は、効果的なリハビリテーションの提供を推進する観点から、これらの要件を揃えるなど、必要な見直しを行う方針を示しました。



全国老人保健施設協会の東憲太郎委員は対応案に賛同したうえで、認知症短期集中リハビリテーション実施加算について、退所先が未定の場合の訪問要件に配慮を求めました。

令和6年度改定では、認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)について、入所後1週間以内に退所後の生活の場となる居宅や社会福祉施設等を訪問する要件が追加されています。しかし、入所直後に退所先が決まっていない場合には、施設の努力だけでは訪問要件を満たせないことから、必要なリハビリテーションを提供できるよう運用上の配慮を要望しました。

また、江澤委員は、認知症のある入所者が環境に適応し、職員との関係を構築するまでには一定の時間を要することから、入所早期に限定せず、必要性に応じたリハビリテーションを提供できるよう見直しを求めました。


初期加算(Ⅰ)、一般病棟以外からの早期受入れも評価へ

医療機関からの早期受入れを評価する初期加算(Ⅰ)については、急性期医療を担う医療機関の一般病棟以外から退院した患者も対象とする案が示されました。

厚労省の調査では、同加算を算定できなかった理由として「急性期病棟からの退院ではなかった」が65.3%と最も多くなっています。



今回の見直しは、入院に伴うADL低下を防ぎ、退院後早期に適切なリハビリテーションにつなげることが目的です。

一方、健康保険組合連合会の伊藤悦郎委員は、地域包括ケア病棟には急性期からの受入れや在宅復帰支援の機能があることを指摘。対象病棟を単純に拡大するのではなく、初期加算(Ⅰ)の目的や病棟の機能を踏まえた丁寧な検討を求めました。

今回示された内容はいずれも令和9年度介護報酬改定に向けた対応案であり、今後、委員の意見を踏まえて引き続き検討されます。

引用・参考
■ 第273回社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省HP)
 ・【資料2】介護老人保健施設

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