第1 基本的な考え方

居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム、電子処方箋及び電子カルテ情報共有サービスにより、在宅医療における診療計画の作成において取得された患者の診療情報や薬剤情報を活用することで質の高い医療を提供した場合について、新たな評価を行う。

第2 具体的な内容

1.在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の2、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)及び在宅がん医療総合診療料について、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム、電子カルテ情報共有サービス及び電子処方箋により得られる情報を活用して質の高い医療を提供することに係る評価を新設する。

(新) 在宅医療DX情報活用加算  10点

[対象患者]

在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の1、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の2、在宅患者訪問診療料(Ⅱ)及び在宅がん医療総合診療料を算定する患者

[算定要件]

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認等により得られる情報を踏まえて計画的な医学管理の下に、訪問して診療を行った場合は、在宅医療DX情報活用加算として、月1回に限り10点を所定点数に加算する。ただし、区分番号●●に掲げる初診料の注●●、区分番号A●●に掲げる再診料の注●●若しくは区分番号A●●に掲げる外来診療料の注●●にそれぞれ規定する医療情報取得加算、区分番号A●●に掲げる初診料の注●●に規定する医療DX推進体制整備加算、区分番号C●●に掲げる在宅がん医療総合診療料の注●●に規定する在宅医療DX情報活用加算又は区分番号C●●に掲げる在宅患者訪問看護・指導料の注●●(区分番号C●●の注●●により準用する場合を含む。)若しくは区分番号I●●に掲げる精神科訪問看護・指導料の注●●にそれぞれ規定する訪問看護医療DX情報活用加算を算定した月は、在宅医療DX情報活用加算は算定できない。

[施設基準]

(1)療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(昭和51年厚生省令第36号)第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。

(2)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。

(3)電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制を有していること。

(4)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること。

(5)医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。

(6)(5)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。

[経過措置]
  1. 令和7年3月31日までの間に限り、(3)の基準に該当するものとみなす。
  2. 令和7年9月30日までの間に限り、(4)の基準に該当するものとみなす。
  3. 令和7年5月31日までの間に限り、(6)の基準に該当するものとみなす。
(※)在宅患者訪問診療料(Ⅱ)及び在宅がん医療総合診療料についても同様。

2.医療DX及び医薬品の安定供給に資する取組の推進に伴い、処方箋を交付する場合の在宅がん医療総合診療料の点数を見直す。

改定案現行
【在宅がん医療総合診療料】
1 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるものの場合
イ 病床を有する場合
(1)保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合  1,798点
(2)処方箋を交付しない場合  2,000点
ロ 病床を有しない場合
(1)保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合  1,648点
(2)処方箋を交付しない場合  1,850点
2 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院(1に規定するものを除く。)の場合
イ 保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合  1,493点
ロ 処方箋を交付しない場合  1,685点
【在宅がん医療総合診療料】
1 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院であって別に厚生労働大臣が定めるものの場合
イ 病床を有する場合
(1)保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合  1,800点
(2)処方箋を交付しない場合  2,000点
ロ 病床を有しない場合
(1)保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合  1,650点
(2)処方箋を交付しない場合  1,850点
2 在宅療養支援診療所又は在宅療養支援病院(1に規定するものを除く。)の場合
イ 保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付する場合  1,495
ロ 処方箋を交付しない場合  1,685点

3.在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料及び精神科訪問看護・指導料について、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システムが導入されることを踏まえ、初回訪問時等に利用者の診療情報・薬剤情報を取得・活用して、指定訪問看護の実施に関する計画的な管理を行い、質の高い医療を提供した場合について、新たな評価を行う。

(新)訪問看護医療DX情報活用加算  5点

[対象患者]

在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料及び精神科訪問看護・指導料を算定する患者

[算定要件]

別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関の看護師等(准看護師を除く)が、健康保険法第3条第13項の規定による電子資格確認により、利用者の診療情報を取得等した上で訪問看護・指導の実施に関する計画的な管理を行った場合には、訪問看護医療DX情報活用加算として、月に1回に限り、5点を所定点数に加算する。ただし、区分番号A●●に掲げる初診料の注●●、区分番号A●●に掲げる再診料の注●●若しくは区分番号A●●に掲げる外来診療料の注●●にそれぞれ規定する医療情報取得加算、区分番号A●●に掲げる初診料の注●●に規定する医療DX推進体制整備加算、区分番号C●●に掲げる在宅患者訪問診療料(Ⅰ)の注●●(区分番号C●●の注●●の規定により準用する場合を含む。)若しくは区分番号C●●に掲げる在宅がん医療総合診療料の注●●にそれぞれ規定する在宅医療DX情報活用加算又は区分番号●●に掲げる精神科訪問看護・指導料の注●●に規定する在宅医療DX情報活用加算を算定した月は、訪問看護医療DX情報活用加算は算定できない。

[施設基準]

(1)療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(昭和51年厚生省令第36号)第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。

(2)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。

(3)医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い訪問看護を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して訪問看護を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。

(4)(3)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。

[経過措置]

令和7年5月31日までの間に限り、(4)の基準に該当するものとみなす。

4.歯科訪問診療料について、居宅同意取得型のオンライン資格確認等システム、電子カルテ情報共有サービス及び電子処方箋により得られる情報を活用して質の高い医療を提供することに係る評価を新設する。

(新)在宅医療DX情報活用加算(歯科訪問診療料)  8点

[対象患者]

歯科訪問診療料を算定する患者[算定要件]別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関において健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認等により得られる情報を踏まえて計画的な歯科医学管理の下に、訪問して診療を行った場合は、在宅医療DX情報活用加算として、月1回に限り所定点数に加算する。ただし、区分番号●●に掲げる医療情報取得加算又は区分番号●●に掲げる医療DX推進体制整備加算を算定した月は、在宅医療DX情報活用加算は算定できない。

[施設基準]

(1)療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(昭和51年厚生省令第36号)第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。

(2)健康保険法第3条第13項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。

(3)電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制を有していること。

(4)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること。

(5)医療DX推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。

(6)(5)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。

[経過措置]
  1. 令和7年3月31日までの間に限り、(3)の基準に該当するものとみなす。
  2. 令和7年9月30日までの間に限り、(4)の基準に該当するものとみなす。
  3. 令和7年5月31日までの間に限り、(6)の基準に該当するものとみなす。

【参照元】
中央社会保険医療協議会 総会(第584回) 2024年2月14日
○答申について  PDF 総-1